鹿島、実工事に溶接ロボ導入 熟練者と同等以上の品質
鹿島は、高層ビルなどに用いる大型の鉄骨柱の全周を自動で溶接する多関節(マニピュレーター)型のロボットを開発した。2020年に開発した現場溶接ロボットを改良し、技能労働者(技能者)が操作しなくても連続で溶接できるようにした。既に同社が施工中のビルに導入済みで、熟練の技能者と同等以上の品質を確保できているという。 ロボット本体には6軸のロボットアームを採用。柱を取り囲むように設置したレールの上をアー
東京科学大学など、メモリー材料の分極を100fsで制御
東京科学大学(旧・東京工業大学)などの研究チームは、強誘電性と強磁性が共存したマルチフェロイック物質であるビスマスフェライト(BiFeO₃)の単結晶薄膜を、時間幅100フェムト秒(fs、フェムトは1000兆分の1)の光パルスで励起し、分極の大きさがパルス幅以内の時間で室温においても操作できることを実証した。強誘電・磁気メモリーデバイスの10兆分の1秒以下での超高速制御や、光情報と電子情報を超高速
国内半導体新工場、25年も相次ぎ稼働 AI頼り変わらず
先端半導体の受託生産を目指すRapidus(ラピダス、東京・千代田)のパイロット(試作)ライン稼働を筆頭に、2025年は国内で新たな半導体工場の稼働が相次ぐ。政府による助成が後押しとなり、ロジック半導体やメモリー、パワー半導体などの新工場が相次ぎ立ち上がる。ただし半導体市場はAI(人工知能)頼りの状況で、自動車や産業機器分野の低迷が長引けば設備投資に影響が出る可能性もある。 キオクシアは北上第2
半導体再興、設計も官民で セミコンジャパン注目5選
2024年12月11〜13日に東京都内で開催された半導体製造装置・材料の展示会「SEMICON Japan(セミコンジャパン)2024」は連日、日本の半導体復権を期待する参加者の熱気に包まれた。先端半導体の受託生産を目指すRapidus(ラピダス)やキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)など、半導体大手の幹部が事業戦略を語った。1107社/団体が出展し過去最大規模となった展示会を5つのトピッ
JR東海など、水素でハイブリッド車両 28〜30年実用
JR東海とスタートアップのiLabo(アイラボ、東京・中央)は、水素エンジンを利用した鉄道車両用ハイブリッドシステムを開発した。脱炭素に向ける。2028〜2030年をめどに実用化する予定だ。 アイラボが開発した水素エンジンと、JR東海の「HC85系」が使用する発電機、車両制御装置、蓄電池を組み合わせる。シリーズ式のハイブリッドシステムを採用しており、エンジンを発電のみに使用し、駆動をモーターが担
TSMCやインテル、次世代半導体CFETで競演 IEDM解説
半導体素子技術の国際学会「IEDM 2024」が2024年12月7〜11日に米サンフランシスコで開催された。人工知能(AI)ブームを背景に投稿論文数は過去最多を記録した。このIEDMで注目した半導体技術の新潮流は大きく4点。①CFET(相補的電界効果トランジスタ)と呼ばれる2階建てトランジスタの開発例が増えてきた、②NANDフラッシュメモリーを代替するFeFET(強誘電体トランジスタ)が出現、③
産総研など、メモリー向け新規窒化物 動作電圧6割減
産業技術総合研究所(産総研)などの研究チームは、強誘電体メモリー向け材料として、窒化ガリウム(GaN)にスカンジウム(Sc)を従来より高濃度に添加したGaScN結晶を開発した。メモリーとしての動作電圧は、従来の窒化物材料の約4割と低い。低消費電力不揮発性メモリーへの応用が見込める。 東京科学大学(旧・東京工業大学)と共同で研究した。本研究では、GaScN結晶の分極反転に必要な電界強度(抗電界)の
半導体対中規制、一定の効果も野望潰えず 米民間分析
米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は、米政府の対中輸出規制による半導体製造装置業界への影響を分析したリポートを公表した。これまでの様々な規制は、半導体の自給率を高めるという中国政府の計画を妨げる効果はあったものの、その方針を決定的に転換させるまでには至っていないと指摘している。 CSISのリポートでは、中国の政策文書、及び中国/米国/日本/オランダの主要半導体製造装置メーカーの財務状
三菱重工業、地下水利用の熱循環システム CO2半減
三菱重工業が地下水を利用する「帯水層蓄熱システム」の社会実装を進めている。同システムを愛三工業の安城新工場(愛知県安城市)に設置し、2025年冬に稼働させる。従来に比べて、二酸化炭素(CO₂)排出量を大幅に減らせる見込みだ。 帯水層蓄熱システムでは、季節をまたいだ熱の循環利用を実現する。50〜100mの地中に位置する帯水層に地下水を蓄え、これを蓄熱槽に見立てて冬期暖房時の冷排熱を夏期冷房に、夏期
東北大、MoS2への元素添加影響を予測 次世代2D半導体
東北大学の研究グループは、2次元(2D)半導体である二硫化モリブデン(MoS₂)中に、27種の元素をそれぞれ添加(元素ドーピング)した際の安定な原子構造と電気特性を、高精度な理論計算を用いて予測した。全ての添加元素において、導入キャリアが局在する状態が安定となることを明らかにした。この発見はMoS₂中の電気伝導が不純物伝導であることを示唆しており、次世代の電子・光学デバイス開発の指針になると期待