ソニー・ホンダ社長「EVの価格と性能、日米で変える」
【ラスベガス=山田航平、東京=佐藤諒】ソニーグループとホンダが出資するソニー・ホンダモビリティは電気自動車(EV)「AFEELA(アフィーラ)1」を北米・日本で発売する。同社は後発にあたるが、どんな勝ち筋を描いているのか。川西泉社長は米テクノロジー見本市「CES」の会場で報道陣に戦略を語った。
――基本モデルは8万9900ドル(約1420万円)、上位モデルは10万2900ドル(約1625万円)で販売します。米テスラよりも高い印象です。
「もっと高い価格帯もあるし、この顧客層はある程度所得の高い方も多い。商品の価値を認めていただける方に買っていただけたらありがたい。日本向けの価格は発表する時に正式に伝えることになると思うが、若干変わる予定だ。スペックも追ってアナウンスする」
――価値が分かる人に買って欲しいとのことですが、人工知能(AI)の対話機能は各社が取り組んでいます。一番の価値はどこにあると考えていますか。
「AIやインテリジェンス(知性)の部分は強みにしていきたい。従来の車は自分が操縦するモノで一方向的だった。車の機能がインテリジェンス化することによって、よりインタラクティブ(双方向的)な関係になっていく。そこが一番の大きな違いだ。車の進化の方向性を運動性能からインテリジェンスにシフトしていく」
――AIとはどんな会話ができますか。
「例えば、高速道路の渋滞で待たないといけないときに話し相手になってくれる。モビリティーによる人への新しい接し方が提案できると思う。エアコンを操作する、窓開ける、ワイパーを動かすなど車を制御する機能もあるし、目的地を伝えればそこに案内してくれる」
「米マイクロソフトとともに開発しており、AIの進化で常時アップデートして性能を高められる。米国市場への投入が最初なので今は英語中心だが、日本語もできる」
――エンターテインメントに力を入れていますが、あまり競合との差異化にならないのでは。
「自分の思いとは違う風に世の中に捉えられているが、(アフィーラで提供したいのは)既存のエンターテインメントの楽しみ方だけではない。その手前の部分、つまりドライバーを運転から解放し、どれだけ自由な時間を作っていけるかがこれからのモビリティーだ。ハンドルを握っていると、エンタメを楽しむには限界がある」
「一番のポイントは自動運転。運転から解放されるモビリティーを目指す点においてはテスラと近い。中国メーカーも皆狙っているのはそういうところだ」
――先行投資がかさみ赤字が続きます。黒字化の計画は。
「そもそもモビリティーに参入すること自体、短期的な収益をあげるということではなく、長期視点で取り組んでいくつもりでやっている。今の強い自動車ブランドは20年、50年、それ以上の歴史があり、長い時間を掛けてブランドを磨いてきた。だから今の段階で(ソニー・ホンダが)それをどうこう言う時期ではない」
――ホンダと日産自動車の経営統合は事業に影響しますか。
「コメントする立場にないとしかいえない。今のところは(ソニー・ホンダにとって)悪いことにはならないのではないかと。あくまで一般論だが、(ホンダと日産が)一緒になれば生産車の数が増える。今は自動車業界は変わっている時期で、どう転んでいくかはこれから日々変わっていく」
――気の早い話だが、アフィーラ2の開発には取り組んでいますか。
「内部ではやっている」
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