【宮本慎也】「三振NG」→「仕留めてやる」同年代の指導者が変わらないと/〈46〉

ゴールデングラブ賞10度の元ヤクルト宮本慎也氏(54=日刊スポーツ評論家)が、ベテラン小島信行記者との掛け合いで展開する連載「宮本慎也 もっと野球を語ろう」。今回は、日本球界で続く「投高打低」についてです。

プロ野球

■今回の主なトークテーマ

〈1〉得点力が下がり続けるNPB。「投高打低」の原因は

〈2〉大谷、吉田、近藤は他のバッターと何が違うのか

〈3〉ピッチクロックに、DH制。NPBも真剣に検討を!

◆宮本慎也(みやもと・しんや)1970年(昭45)11月5日、大阪府吹田市生まれ。PL学園では2年夏に甲子園優勝。同大―プリンスホテルを経て、94年ドラフト2位でヤクルト入団。ベストナイン1度、ゴールデングラブ賞10度。通算2162試合、2133安打、62本塁打、578打点、打率2割8分2厘。引退後は18、19年にヤクルト1軍ヘッドコーチ。04年アテネ五輪、06年WBC、08年北京五輪代表。現役時代は176センチ、82キロ。右投げ右打ち。


◆小島信行(おじま・のぶゆき)プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。

■「軸を打てる能力のある打者がいるからこそ、緻密な野球が生きてくる」

小島前回はポスティング、FA、ドラフトの制度を見直さなければいけない時期だという話をしました。

今回は日本野球界の内部というか、プレーそのものについて関係するルールを検証してみましょう。

宮本そうやって話すと難しく聞こえるけど、要は日本の野球についての話でしょ?

小島そういうことです(苦笑い)。

宮本簡単に言うと、どうやってレベルアップさせていくのかっていう話になる。

今はメジャーの試合も日本で見られる。身近になった分、比較もされやすい。あまりにもレベルが違ってしまうと「日本の野球はつまらない」ってなっちゃう。それに対しての危機感みたいなものが、日本球界には足りないよね。

その結果が今の「投高打低」の現象につながっているんだと思う。

小島パワー野球に突き進むメジャーに対し、日本はスモールベースボールが加速しているように感じます。結果、日本は長打力が衰退して「打低」を招いてしまっています。

宮本そこが大問題。俺の現役時代は選手個人の能力重視の野球に撤した巨人に対し、ヤクルトの野村さんが掲げた〝ID野球(データ重視の野球)〟で対抗した。

細かく言うと、「パワー VS 緻密さ」で、イメージ的には今のメジャー野球と日本野球の対比に似ているよね。

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プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。