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(2025/1/13 05:00)
思いついたら即トライ
(総合1から続く)大学時代は輸送包装研究室に所属して包装設計を学びました。先生がとても面白い人だったのですが、研究室訪問の時に、包装設計に携わる人の特集番組を見せられ、「こんな世界もあるのか」と驚き、社会にこういう方法で貢献する方法もあるとすごく興味を持ったからです。
卒業後は包装設計などを専門にする会社にしばらく勤めた後、2019年にソニーに転職しました。前職では顧客からの要求に応じて包装仕様を提案しましたが、メーカーなら最初の物流の企画から包装のコンセプト、市場品質まですべて一貫して担当できると思い、入社を決めました。
ソニーに入って一番驚いたのが評価試験の多さです。テレビは大型化と同時に薄型化しています。衝撃に対するケアが重要ですが、ソニーでは一つの製品に対する振動や落下試験などが何種類もある上、輸出地域によって荷役の仕方などが異なるため、物流環境に適応する試験もします。
24年4月には業界で初めて大型テレビに使う緩衝材で発泡スチロール製を撤廃し、代わりに生分解性バイオポリマーを使うことを発表しました。材料探索から設計まで足かけ3年かけて取り組んだプロジェクトです。製品を保護する機能を維持しつつ、緩衝材の安定的な生産とを両立する必要から、金型の形状調整や試作を何度も重ねました。
包装は奥の深い世界です。工夫次第で環境配慮などまだまだ貢献できることがあります。仕事で心がけているのは「思いついたことをすぐ試す」こと。アイデアを具現化してみて、効果があるかないか確認するのが楽しいです。
コロナ禍の運動不足をきっかけに筋トレに目覚めました。今はスクワットなどの「ビッグスリー」で合計250キログラムを目標に励んでいます。(文=編集委員・小川淳、写真=高山基成)
◇ソニー 技術センター 機構設計部門 エンジニア 沢田千奈美(さわだ・ちなみ)さん
(2025/1/13 05:00)