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2023年度 第4回 リポート

ちょっと行ってきました!「NII 市民講座」

【文章:サイエンスライター 池田亜希子】

 「情報学」ってよく聞くけれど、いったい何を研究しているの?どう世の中の役に立っているの?そんな疑問に、情報学のトップ研究者が自分の研究を通して教えてくれるのが「NII 市民講座」。

 今回は、フェイクメディア研究の第一人者である越前 功教授が、「フェイクから身を守るには?―創るAI vs 守るAI―」というタイトルで、最新のフェイク生成技術と、それに対抗する護身術を教えてくれました。

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こんなにリアルとは!!会場もビックリ!
最新「フェイク生成技術」と、見抜く研究を紹介

 越前教授は、「フェイクメディア研究」の第一人者です。「フェイク」とは"偽物"といった意味で、人をだますために本物に見えるように作ったもののこと。

 「フェイクメディア」とは、人間の顔や声、身体といったデータをAIが学習してつくった「人間と見紛うような画像」のことです。

 といっても越前教授は「フェイクを創る側」ではなく、「フェイクから私たちを守る側」の研究者です。

 2018年、越前教授たちのグループは、世界で初めてAIを使ってフェイク顔画像の検出に成功したのです。

 AIにはAIで立ち向かおうというわけです。

 講演では、次々にフェイク顔画像が紹介されました。

 ゼロから顔をつくってしまうAIだけでなく、不自然にならないように顔の部品を入れ替えてしまうAI、性別を変えてしまうAI、表情を操作してしまうAI‥‥

 どれがフェイク顔画像でしょうか?

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正解は、すべてです。

髪の毛の生え際も、眼の中の虹彩も、肌の質感も実にリアル。有名人そっくりにもつくれます。

 どれもこれも必見です。

 こんなリアルなフェイク顔画像が動いたり、何かを言ってきたりしたら、この人が本当に存在すると信じてしまいますよね。

 では、越前教授たちはどうやって、フェイクメ顔画像に対抗しようというのでしょうか。

 顔のデータを集めて、AIが学習するデータをつくって顔画像の真贋判定のできるAIを誕生させました。

 さらに、このAIがどこを見て嘘を見抜いているのかも明らかにしています。

 越前教授の「フェイクメディアから私たちの暮らしを守る技術」詳しくは、ぜひ下記の動画をご覧ください。

  • 8分頃:フェイクメディアには、5つのタイプがある
  • 13分頃:テキストからこんな動画もつくれてしまう!最近、世の中を賑わせている「Sora」
  • 15分30秒頃:表情操作で、モナリザがおしゃべり
  • 20分頃:どちらが本物のオバマさん?
  • 21分30秒頃:いよいよ越前さんのお仕事の話「守るAI」

最先端の「ディープフェイクディテクション(深層学習を使ったフェイクの検出)」技術をお楽しみください!!

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