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「まずは口の健康に関心を持ってほしい」と、歯の模型を手に呼びかける兵庫県歯科医師会の山川達也理事=明石市大久保町西島
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「まずは口の健康に関心を持ってほしい」と、歯の模型を手に呼びかける兵庫県歯科医師会の山川達也理事=明石市大久保町西島

 平均寿命は男女とも80歳を超え、健康寿命も70歳を上回る超高齢社会・日本で、健康寿命をさらに伸ばすのに大きな鍵となるのが口腔(こうくう)の健康だ。定期的に歯科医院で検診を受けることが大切だが、日本歯科医師会による意識調査(2022年)では、半数以上が定期チェックを受けていないという結果も出ている。兵庫県歯科医師会の山川達也理事(60)=兵庫県明石市=に、加齢に伴う口腔機能の低下(オーラルフレイル)や歯周病対策、歯科検診の意義などについて聞いた。(聞き手・綱嶋葉名)

 -高校卒業後に定期的な歯科検診を受ける人は少ない。

 「乳幼児や小中高での歯科検診は義務だが、大学になると検診を実施しているところは県内でもほぼない。有害なガスなど有害物質を取り扱う場で働く事業者を対象とした『歯科特殊健康診断』を受ける人以外は義務化されておらず、妊産婦向けも努力義務だ」

 -新型コロナウイルス禍で“受診控え”の流れもあった。

 「歯科医院での治療で集団感染(クラスター)が発生したことは全国的に見てもないが、感染を気にして歯医者に来ない方は多かった。その間に虫歯や歯周病が悪化した人もいたし、まだ通院の習慣が完全には戻りきってないなと感じる」

 -歯周病は日本人の国民病と言われている。

 「30歳以上の約8割が歯周病に感染しているともされており、抜歯の原因も歯周病が最多。50~60歳で発症することが多いが、20歳前後の半数が、歯肉から出血するなど歯周病の前段階にある」

 「症状は主に歯茎の腫れや出血、口臭から始まり、悪化すると歯がぐらついて抜ける。虫歯と異なり痛みが出ないため、気づかないうちに進行している人が多いのが特徴だ。歯と歯茎の間のポケットの深さや出血量をはかる検査をし、歯石除去や歯磨き指導を行う」

 -高齢化の進展でオーラルフレイルに陥る人の増加も懸念される。

 「オーラルフレイルはかむなどの口腔機能が低下することで、50~60代で自覚する人が多い。食欲が低下し低栄養のリスクがあるので、全身の健康悪化にもつながる」

 「実際にコロナ禍で、高齢者が社会参加する機会が減ったことで、オーラルフレイルの人が増加した。改善法としては口腔体操や早口言葉が効果的で、各市町などが開催している健康教室で指導するケースも多い。日頃からよくかんで食べたり、人とおしゃべりしたりすることが重要だ」

 -歯周病とオーラルフレイルの両方の対策に効果的なのは。

 「早期に自分の状態に気づいた方が健康に戻しやすいので、最低でも半年に1回はかかりつけ医で定期検診を受けるのがお勧めだ。働いている人は歯科医院を訪れるのも大変だと思うが、時間を見つけて受診することが将来の健康につながる」

【やまかわ・たつや】九州歯科大卒業。明石市の山川歯科医院の院長として診察を行いながら、2021年から同市歯科医師会理事、23年6月から兵庫県歯科医師会理事を務める。

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