取材日:2019年12月2日
全国の老人ホームに続々と導入が進む無線コールシステム「あんしんの絆」。そこに、アイ・オー・データ機器のネットワークカメラ「Qwatch」が採用されています。入居者様の安全を見守り、スタッフの効率化を実現するこのシステムの要として、なぜQwatchが選ばれたのか、開発元である株式会社 ユニティーネットワーク・代表取締役、掛川信弘氏に伺いました。
掛川様特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者住宅など、様々なタイプの老人ホームで採用されている「あんしんの絆」は、無線でつながる次世代コールシステムです。特長はコール側がコードレス呼び出し機で応答側のスタッフはスマートフォンで対応することで、Qwatchは追加機能「IPカメラオプション」として利用されています。入居者様の居室に1台ずつ設置され、スタッフステーションのパソコンやスタッフのスマホに映像を送信します。
掛川様入居者様からコールボタンが押されたり離床センサーに反応すると、スタッフのスマホに一斉通知される仕組みです。コールを受けたスタッフのうち、担当できる方が画面の応答ボタンを押します。すると、ほかのスタッフのスマホからは通知が消えて、担当者のスマホにはコールを押した方の居室の映像が映し出されます。Qwatchの通話機能を使って、音声通話も行えます。スタッフステーションに設置されたパソコンでもコールを受信でき、スマホでの対応記録を介護記録と連携することもできます。
掛川様近年、介護の現場でも、映像による情報共有のニーズが高まっていることを体感していましたので、自然な流れだと思います。展示会等でも同様のサービスが見られるようになってきました。ただし現状では価格面を考えると、なかなか気軽に採用というわけにはいきません。当社ではQwatchを採用して安価でのオプション化に成功しています。思った通り好評で、「あんしんの絆」導入と同時に選ばれるケースはとても多いです。
掛川様例えば介護付有料老人ホーム「カーサ・デ・ヴェルデ 黒沢」様は、100室にQwatchを設置されました。コールを受けたら映像ですぐに状況を確認できることで入居者様の安全性が高まり、さらにスタッフの対応にムダがなくなったとご評価いただいています。また、介護記録システムとの連携も行っていて、スマホでの対応記録が自動的に保存されています。映像はコールが押された前後10秒を記録する機能もあります。(記録時間は調整が可能)
掛川様コールと応答というシンプルな基本機能をベースに、ご要望があれば様々な機能を追加しています。現在、ネットワークカメラのほかには、赤外線センサー、ドアの開閉センサー、無線マットセンサー、バイタルセンサー、IP電話などと連携が可能です。
掛川様自社のサービスに組み込みやすいという点は重要なポイントで、インターフェイス(API)が公開されていることは必須でした。しかし、市場にはなかなかこうした製品はありません。なんとか外国製品を2つ見つけたのですが、いずれも音声品質と映像品質が低かったですね。それで、思い立ってアイ・オー・データ機器さんに相談してみたのです。すると、すぐにインターフェイスを公開してくれるという返事をもらえました。もちろん音声品質も映像品質も満足いくものだったので、「それならQwatchでいこう!」と。問い合わせにも非常に素早く、真摯に答えてもらい、サポート面でも安心感が沸きました。
掛川様 コストとニーズのバランス感ですね。今回のような「居室の見守り」というニーズには、「壊れず、きちんと映ること。導入しやすい価格であること。」が大切です。また、Qwatchのようなコンシューマ向け製品のよいところは、安価なだけでなく、調達しやすいところにもありますね。量販店やECサイトで、1台からでも追加導入できます。ライフサイクルが短い点が気になっていましたが、後継機種でカバーできるとのことでしたので安心しました。
掛川様 マイク・スピーカーが付いていることも決め手です。Qwatchのスピーカーを介して、会話はもちろん、一斉放送を行うことができるんです。もちろん、設定でグループ分けをして、必要な居室だけに放送することも可能です。ネットワークカメラと音声通話機能の組み合わせというのは非常に便利なもので、アイデア次第でいろいろなことができるんです。
掛川様 建物のエントランスや廊下など、共有部分のセキュリティ監視に広げられるのではと考えています。セキュリティ分野だと、従来は「高性能・高額」タイプのカメラが使われてきました。しかし近年はコンシューマ製品の性能も上がってきていて、その差は縮まりつつあります。用途と求められる品質を吟味して、できる部分は置き換えていってもよいのではと思っています。
掛川様 ご要望に対して、細やかに、スピーディーに対応できることは当社の強み。この「あんしんの絆」も、ほかにないサービスをご提供しようという切り口で、ニーズを汲みながら開発してきました。これをベースに、ほかの業界でもご利用いただけるシステムへと展開できればと思っています。例えば、入退出管理と連動させた受付記録、センサーとアラートを連動させたセキュリティ対策など、アイデアは尽きません。今後にどうぞご期待ください。
入居者様にとってネットワークカメラの存在は、すでに日常生活に溶け込んだ当たり前のインフラ。また入居者のご家族様からも好評です。きちんと「見守り」されているという安心感があることは、入居先をお選びになる際のポイントの1つになっているようです。
介護報告書などと連携する情報の一元管理ができるようになったことにも、大いに満足しています。スタッフは無線の良さを実感しています。業界的に人材不足の折、効率化の仕組みは有難いものです。また近年、介護業界は働く人の多様化が著しく、コミュニケーションの重要性も高まっています。言葉に加えて、目で見てすぐにわかる映像情報があることは、非常に有用だと感じます。映像によるこのような情報共有のニーズは今後も高まっていくでしょう。それを低コストで実現してくれるのがQwatchのような製品ということですね。