昨年末からインフルエンザの猛威が止まりません。さらに流行期はこれからで、油断できないといいます。

そしてインフルエンザではないのにせきが止まらない方は、もしかしたら「肺NTM症」という感染症の可能性もあるといいます。

7日放送の関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」で、感染症を専門とする宮下修行医師が注意を促しました。

■インフルエンザ「かかりやすい人」がいる

すでにインフルエンザが猛威を振るっていますが、ピークはまだ先なのでしょうか。

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「インフルエンザというのはやっぱり子供から社会へ拡散します。お子さんがかかりやすく、新学期に入るここからが勝負となります」

1度かかると免疫ができて、もうかからないイメージがありますが?

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「インフルエンザというのは、いま日本でも世界でも流行しているのが3タイプあります。A型が2つとB型が1つ。例えば去年なんかはコロナ明けで3つのタイプが全部流行してしまったんです。この3つのタイプが流行する可能性があって、各々感染しても免疫ができませんので、かかる人は残念ながら複数回かかってしまいます」

「インフルエンザの重要なポイントは、かかりやすい人とかかりにくい人がいます。私(宮下医師)はかかりにくいタイプです。かかりやすい人は、一度かかった時にまだ次のタイプにもかかりやすい、ということを覚えておいていただきたいです」

かかりやすい、かかりにくいというのはどうして分かれるのでしょうか?

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「これは免疫なんです。IgAという免疫を鼻で測ることができるんですけれども、これは一般的には売られていません。これが高い方はインフルエンザが入ってくるのをブロックしてくれますが、これがない方は何度もかかってしまうという現象が起こります。普通の病院では測っていなくて、特殊な研究室でしか測っていません」

■ワクチンの役割と有効なインフルエンザ対策

1つの予防接種で防げるのは、3タイプのうちの1つなのでしょうか?

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「いまは3種類全て入っているワクチンを打っています。ただ重要なポイントは、ワクチンというのは重症化を防ぐためのものという意味合いが高いんですね。感染を防ぐわけではありませんので、感染をした時に軽く済むというふうに思っていただくと結構です」

また宮下医師は「薬で免疫がつかない」と指摘します。

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「重要なのは、我々の免疫というのは微生物が入ってきて、これと戦うことによって免疫が獲得されるわけです。かかった時に、お薬を飲んでしまい、戦わないままでいると、免疫ができないわけなんです」

「ただ医療従事者としては早期発見・早期治療が原則です。なぜならば周りに移さないということがある。かかった方はやはり“かかりやすい”ということを知っておいて、防ぐことができる。コロナの時に頑張ってやってきたマスクやソーシャルディスタンスを実践していただくことが重要になってくると思います」

■インフルエンザ予防策をまとめると

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「やはり一番大切なのは『せきエチケット』。すなわち、症状が出ている方、せきをしてる人はきちんとマスクをしていただきたいと思います。それから手洗い。それからできれば少し距離を開けるというソーシャルディスタンスです。やっぱりこれが最も飛沫感染にとっては有効であるということが分かっています」

感染の恐れがある人の近くにいるときに、“息を止める”のは意味がありますか?

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「意味があります。例えば結核というのは空気感染といって、空気を漂ったものが感染しますけども、インフルエンザは飛沫感染(せきやくしゃみなどで飛散する唾液などによって感染すること)ですので、息を止めるというのは正しいです」

■インフルエンザのかげで「肺 NTM症」に注意

もう一つ気になるのが「肺NTM症」です。せきが長引くことによって発覚しやすいということですが、肺NTM症とはどういったものなのでしょうか。

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「まず結核というのは『抗酸菌』となります。この抗酸菌の中に結核と『非結核性抗酸菌=NTM』というものがあります。結核は人に移りますが、NTMは人に移らないというのが重要なポイントです」

放っておくと深刻な症状になることがあります。ゆっくりと進行するので慢性的な肺炎になる場合があるということです。

進行すると長引くせき、そして体重減少、たんに血が混じるなどの症状が出てくるということです。

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「初期症状は無症状の人が多いです。午前中に外来で2人新規の患者さんが紹介で来ましたが、どちらの方も無症状だったんです。発見が遅いと、せきが長引くようになります」

■「中高年の痩せ型の女性」は肺NTM症に気を付けて

気を付けてほしいタイプとして、中高年の痩せ型の女性に多く、やはり年齢が上がると免疫が下がって発症しやすいということです。

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「今の統計を見ましても50代~80代の方が多いです。それから決して痩せ型の人が免疫が落ちているわけではないのですが、やはり栄養状態というところもあり、高齢者の痩せ型の方というのは発症しやすいというふうになっています」

■基本的な感染予防が重要

「肺NTM症」の原因となる菌は身近なところにいるということです。
・水回り お風呂や台所で、水しぶきやミストを吸い込み感染
・庭の土 ガーデニングや家庭菜園で、土ぼこりを吸い込んで感染
このような場合があるということです。

防ぐためには、掃除の時には消毒までするとか、家庭菜園ではマスクをする。それから健康診断で、1年に1回は医師に診てもらうことが大事だということです。

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「自然界にいてしまうのが厄介なところ。そして症状が出なくて、症状が出るころには進行しているのが一番厄介。我々のところで多いのは、健康診断で引っかかった方が、去年やこの数年健康診断を受けていないということが多いです」

生活に身近な水回りでの感染対策として、除菌することは有効なのでしょうか?

【関西医科大学附属病院 宮下修行医師】「有効です。常にきれいに消毒しておくということが重要だと思います」

感染しないように、しっかりと基本的な感染予防対策をしていきましょう。

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!2025年1月7日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。