企業入社難易度ランキング
10年前より「就職偏差値」が上がった大学まとめ 入社が難しい企業への就職が増えたのは
2024.03.22
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大学に対する評価は、時代とともに変わる。新卒採用で「学歴不問」を掲げることが多い企業が、結果としてどんな大学の学生を採用しているのかも、社会からの大学の評価の一つと言えるだろう。企業からの評価がどう変わったかを見るために、大学通信が算出した大学の「就職偏差値」を用いて、この10年間で就職力が上がった大学を調べた。大学通信の雫純平氏(情報調査・編集部)が解説する。
主要企業への就職者数は1割増加
主要企業への大学の就職力を可視化する数値として、大学の「就職偏差値」を算出した。この数値を2013年と23年で比較することで、10年間の就職偏差値の変化を検証し、上がった大学、つまり就職力が高まった大学を中心に紹介する。
大学通信は毎年、大学へのアンケートにより、企業別就職者数を調査している。調査対象企業は、日経平均株価指数の採用銘柄や企業の規模、知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に選んでいる。今回、分析したのは、23年(調査対象418社)と13年(404社)のデータである。13年の就職データについては、当時の社名で記載した。
両年で企業数が異なるのは、この10年間で企業の合併・統合などが進んだことや、外資系コンサルやアマゾンなど、難関大学の学生を中心に人気が上がっている企業を新たに調査対象に加えたことなどによる。
大学の就職偏差値の算出方法は次の通り。まず、各企業の新卒採用者の出身大学と、各大学の入試難易度を組み合わせて、企業の「入社難易度」を算出した。この企業入社難易度と各大学からの就職者数を加重平均して、大学の就職偏差値とした。
例えば、ある大学から三菱商事(入社難易度63.1)に2人、大正製薬(60.0)に3人、全日本空輸(58.7)に4人就職したとすると、就職偏差値は、(三菱商事63.1×2人+大正製薬60.0×3人+全日本空輸58.7×4人)÷合計就職者数9人=60.1になる。ランキング表では、小数点第2位を四捨五入している。
ただし、今回の就職偏差値は、主要企業就職者に限定して算出しているため、当該大学全体の就職者を対象にしたものではない。入社するのが難しい有名企業に、その大学からどれくらい就職しているか、10年前に比べて主要企業への就職力がどう変化したかを表す数値である。したがって主要企業への就職者数が10年前からどう変化したかも、併せて見る必要がある。
まず、13年卒の就職状況はどうだったか。08年秋にリーマン・ショック、11年春に東日本大震災が起こり、企業の採用減や就活スケジュールの混乱など、就活生にとっては厳しい状況が続いていた。13年は製造業を中心にようやく採用が回復し始めてきた時期にあたる。
一方、23年は新型コロナウイルスの感染拡大が収束しつつある時期だった。会社説明会や面接で積極的にオンラインが取り入れられ、特に地方の就活生は負担が軽減された。コロナ禍の影響を強く受けた空運、旅行などの採用数はまだ完全に回復とはいかないものの、求人自体は堅調だった。
そうした異なる状況により、調査対象となる主要企業への全体の就職者数は、13年の5万1133人から23年は5万5810人と、1割ほど増加している。ここ10年間で有名企業に入りやすくなったとも言い換えられ、各企業の入社難易度と各大学の就職偏差値は全体として下降傾向にある。10年前と比べて就職偏差値が下がったとしても、その大学の就職力がダウンしたことを意味するわけではないことに注意してほしい。
大学の就職偏差値は、主要企業の就職者数の規模などを勘案して、主要企業就職者が200人以上、100人以上200人未満、30人以上100人未満の三つのグループに分けてランキングした。