データから読み解く「野党共闘」 6選挙区で前回の得票数を下回る
今回の衆院選では、立憲民主、共産両党などの「野党共闘」により埼玉県内では自民候補との接戦区が増えた一方、野党側の議席数は立憲が1増やしただけだった。野党共闘は奏功したのか。今回と前回の得票数などから探った。
今回の選挙では共産が候補者を絞ったため、県内では9選挙区が、「自公」と、実質的な「野党共闘候補」による事実上の一騎打ちとなった。このうち8選挙区(1、3、5、6、7、10、12、15の各区)では立憲が共闘候補となり、7人が前回と同じ候補者だった。
共闘候補の狙いは、前回の支持層を固めつつ、共産票を上積みするというもの。この8選挙区で、前回、立憲や希望の党の候補がとった得票数と今回を比べると、7選挙区で1万5千~2万7千票増やしていた。県全体の小選挙区投票率は過去最低の前回より2・53ポイント高い53・97%で、7選挙区とも投票率の増分を上回る増加率だった。5区の枝野幸男氏だけは票を減らした。
前回は共産が出ていた6選挙区で、野党候補と共産候補の前回の得票数の和と、今回の共闘候補の得票数を比べると、いずれも前回の和を下回った。減り幅は、6、10、12の各区では最大3千票ほどだったが、日本維新の会の候補がいた1、7、15の各区は減り幅が大きく、1万票以上少なかった。維新は、1、15区では前回も候補者を出していた。
前回共産が出ていなかった3区と5区は自民候補の得票数の増加分を下回った。
8選挙区の結果をみると、獲得議席は前回から一つ増えて3議席、惜敗率80%以上の「接戦区」は三つ増えて5選挙区、このうち同90%以上の「激戦区」は一つ増えて2選挙区だった。
立憲の熊谷裕人県連代表代行は「一騎打ちにして接戦に持ち込むまでは成功だったが、これまで立憲に投票していた無党派層が一定程度離れた可能性もある。分析したい」と話す。
自民候補の場合、この8選挙区で前回から得票を伸ばした。このうち、今回新たに共産が候補を出さなかった6選挙区では共闘候補の増加分を下回った。維新が出た3選挙区では増え幅は小さく、1区、7区は投票率の増分とほぼ同じで、15区は下回っていた。
一方、政党の公認を受けずに自民候補との一騎打ちになった8区の野党系無所属候補の小野塚勝俊氏は、前回から得票数を3万6千票以上増やし、前回の共産候補との和も超えた。小野塚氏と戦って議席を得た自民の柴山昌彦県連会長は、「立憲が共産と共闘したことで(野党共闘候補から)保守層が敬遠した」と指摘。そのうえで、維新や無所属候補が無党派層の受け皿になった面もあるとの見方を示した。
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