2024年最初のキャリア&ライフの特集は、知られざるつながりや意外な共通点のある5組の女性たちのスペシャル対談をお届けします。今の一番の関心事は何? キャリアを築く上で、どんな紆余曲折があった? これからの人生、何を大切にしていく? 本音が思わずこぼれたトークや、心に刻みたい金言の数々を、余すことなくお届けします。自分らしく生きる道を探すためのヒントがきっと見つかるはずです。

 「このままじゃ無理」と40歳手前で働き方を変えて今のスタイルになったという産婦人科医の高尾美穂さんと、38歳で会社を辞め、41歳で二拠点生活を始めたエッセイストの小島慶子さん。何かと共通点の多い2人が、更年期、睡眠不足、新型コロナウイルス禍のメンタル不調……と、働く女性を襲うさまざまな健康問題について、それぞれの立場で本音トーク。機嫌よく生きるために、2人が見直した働き方と体の課題とは?

更年期の不調をなんと表現していいか分からなかった

小島慶子さん(以下、小島) 今、更年期のまっただ中です。ホットフラッシュがないので、見た目には分かりにくいのですが、HRT(ホルモン補充療法)を始めてから、ちょっと落ち着きました。今は不調とうまく付き合いながら暮らしています。

高尾美穂さん(以下、高尾) 一番お困りだったのは何ですか?

小島 最初はめまいでしたが、その後に47歳ぐらいから腟(ちつ)の違和感がありました。私の感じ方として、静電気が帯電しているみたいで。腰にアースがあれば放電できるのに、と。最初は灼熱(しゃくねつ)感という言葉を知らなかったので、なんと表現したらいいのか分からず。本当に仕事が手に付かなくて、イライラして不快で、きつかったです。今も疲れたり、ちょっとジェル剤を塗り忘れたりすると、帯電してくる感じです。

ARIA連載でもおなじみエッセイストの小島慶子さんと産婦人科医の高尾美穂さん。世代も性格も共通点が多い2人
ARIA連載でもおなじみエッセイストの小島慶子さんと産婦人科医の高尾美穂さん。世代も性格も共通点が多い2人

高尾 ホルモン剤は塗るタイプをお使いですかね。やっぱりみんな塗り忘れたり、飲み忘れたりするんですね。私は絶対に、毎朝と決めて習慣にしています。

小島 私はうっかり村の住人で(笑)。塗り忘れるときついっていうことを体が学習したため、最近はずいぶん頻度が下がりました。

 ネットで「腟 不快感」で検索しても、なかなか更年期の症状だと分からなくて、灼熱感という言葉を知って、そうなんだって。でも、対策したことで最初の状態に比べたら症状は軽減されましたし、慣れてきて予測がつくようになりました。

水平になって7時間寝られるのは2日に1回

高尾 忙しそうなイメージですが、生活はどんな感じですか。

小島 先生に叱られそうですけど、週に3日ぐらい椅子で、即身仏みたいな状態で寝ています。水平になって7時間寝られることが2日に1回ぐらい。あとは常に睡眠時間が足りない。寝不足が2日続くと、圧倒的に調子が悪いんです。ADHD(注意欠如・多動症)の特性があるせいか、書き始めると、今日はここまでで続きは明日に、ができない。書き上げるまで何時間でも続けてしまいます。過集中です。はた目にはとてもムラがあるように見えるかも。

「小島さんは、通信簿には、好きなことには一生懸命ですが気が乗らないとやりません、と書かれるタイプですね。実は私も同じです」(高尾さん)
「小島さんは、通信簿には、好きなことには一生懸命ですが気が乗らないとやりません、と書かれるタイプですね。実は私も同じです」(高尾さん)

高尾 私は産婦人科医なので、20代から30代の後半までずっと大学病院や総合病院でお産を取っていたんです。当直で夜中に分娩で起こされ、また次の日も外来を診療して手術して、と。30代の後半になって明らかに日中のパフォーマンスや集中力落ちるがことに気がついて。何がよくないのかと考えたら、理由は睡眠不足以外に思い当たらなかった。それから睡眠医学の先生に学び、調子がよくないのは睡眠時間が足りないからだと確信しました。

 だから、働き方をいつか変えなきゃ、と思って。お世話になった教授が退官したとき、私も40歳手前で大学病院を辞めて、今のスタイルに変えました。