2025年1月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお送りします。ライフ部門の第4位は――。
ライフ部門では、認知症予防に役立つ食材を解説した記事が1位となりました。認知症専門医の白澤卓二さんは「有害物質を完全にシャットアウトしようとするより排出するメカニズムを強化するほうが現実的」と指摘します。2位はコラムニスト・木村隆志さんの寄稿。女性トラブル報道で芸能界を引退した中居正広氏“35日間の苦悩”を解説し、多くの読者から反響をいただきました。3位には、免疫力を上げる効果的な方法を解説した大阪大学名誉教授・宮坂昌之さんの記事です。免疫力は食習慣や運動不足では簡単に上がったり下がったりしないこと、ストレスが免疫に与える影響についても解説しています。1~5位のランキングは以下の通りです。
▼第1位 これを食べると大腸がダメージを受ける…認知症専門医が10年前から絶対に口にしない、みんな大好きな食材
▼第2位 だから中居正広は電撃引退した…「女性トラブル報道」から35日の間にあったトップアイドルの知られざる苦悶
▼第3位 食習慣でも、運動不足でもない…免疫学者が「これだけは避けて」と言う免疫力がヨボヨボになる生活習慣
▼第4位 認知症の最大の原因は「年齢」ではない…「ヨボヨボな75歳」と「元気バリバリな95歳」を決定的に分けるもの
▼第5位 「10カ月で92kg→66kg」1食1合食べられるほど白米好きな40代女性が炭水化物の代わりに増やした食材
※本稿は、内田直樹『早合点認知症』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
「年齢」と「老化」はイコールではない
訪問診療をしていて度々、感じることの1つが、「人によって老化のスピードは違い、見た目だけで75歳か、95歳かは区別がつかない」ということです。
何が老化を早めるのか、一概に示すのは難しいのですが、遺伝的な影響があり、さらに生活習慣や持病の有無などが大いに関係すると感じます。年齢と老化は決してイコールではありません。
そして、老化が早い人ほど認知症を早く発症するとも思います。
認知症の最大のリスク因子は「年をとること」とされますが、それは年齢を重ねて認知症の状態になっていくのではなくて、老化が進むことで認知症の状態になっていくということなのです。
年齢は何歳でも老化が早く、認知症が進行し、自分の身の回りのことのほとんどを人に委ねて暮らしている人がいる一方、100歳を超えても老化を感じさせず、認知症の状態ではない人もいて、年齢はただの数字だと思うようになりました。
『早合点認知症』(サンマーク出版)の137ページではアルツハイマー型認知症の原因であるアルツハイマー病の進行度、重症度を評価するためのスケール「FAST」を紹介しています。この表の最右列に、私たちが左列の機能を何歳頃に獲得するかが示してあります。
93歳の大叔父から友達申請が来た
これを見ていただくと、アルツハイマー病の進行過程は、赤ちゃんの発育・発達の逆をたどることがわかり、つまり、アルツハイマー病とは老化の一部だと考えることもできると感じます。
少し前のこと、私の大叔父(93歳)がSNSを始めて、私に友達申請がありました。しかし私は大叔父の年齢を考え、「きっと“なりすまし”だろう」としばらく放置していたのです。すると叔母(大叔父の娘)との会話の機会に「『直樹が申請許可してくれない』と嘆いていた」と聞いて、失礼を反省したのでした。
高齢者医療に携わるなかで年齢はただの数字だと実感しながら、身近な人に対してエイジズムがあったことに気づきました。
エイジズムとは「高齢者だから」と年齢の型にはめて考えること。年齢を理由に、偏見で差別することを意味する言葉です。
大叔父を客観的に見れば、自分らしく生活を楽しむ達人。老いを感じさせない人ですから、改めてエイジズムで人をみるものではないと感じた出来事でした。