※本稿は、白澤卓二『Dr.白澤の実践メソッド 100寿をめざす認知症最新戦略』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。
Dr.白澤がすすめる毎日食べたい必須の食材
私が研究を始めた1990年代には、アルツハイマー病は医師ですら知らないくらい珍しい病気でした。現在、2022年の認知症の患者数は約443万人、65歳以上の約8人に1人の割合にまで増えています。
たった30年で、患者数がこれほど急激に増えたのには理由があるはずです。遺伝子はこんな短期間では変わりません。では、ここ最近で急激に変化したものはなんだろうと考えたところ、「食生活」に思い至りました。
日本人の食生活は高度経済成長期(※1)を境に急変しました。おいしさ、便利さを追求して変化した「食」がアルツハイマー病の急増を招いたのでしょう。
アルツハイマー病予防、脳の老化予防のカギになるのは食事だ。そう確信した私は、世界中の研究論文をチェックしました。
※1 日本の経済が継続して飛躍的に拡大した期間。1955〜1973年頃。食の欧米化が進み、市販の惣菜、冷凍食品、レトルト食品など加工食品が登場した。ハンバーガーなどファストフード店やファミリーレストランがオープンし、外食チェーン店が増えたのもこの頃。
これまでに膨大な量の文献を読み、最終的に「これだ」とピックアップしたのが、次ページから紹介する「毎日食べたい必須の食材」です。
論文をチェックしてまとめたなら、珍しい食材ばかりと思われるかもしれません。なかには珍しいものもありますが、それはごく一部で、実際には日本人が昔から口にしている、なじみのある食材がほとんどでした。よく考えれば、日本は世界でもトップクラスの長寿国です。これは、日本人が昔から食べてきた食事が健康長寿食だったから、ということなのでしょう。
認知症、脳の老化は食事で予防、改善できる。それを証明するために、私が代表を務める群馬県・館林の介護付き有料老人ホームでは、食事を厳密に管理しています。
施設では、ここで紹介する「毎日食べたい必須の食材」を中心に、脳にいい食材や食べ方を取り入れています。これは、最先端の認知症治療であり、寝たきりになることなく、元気で幸せに生きるためにもっとも大切なことだと私は確信しています。しかも、この治療(食事)はどこの家庭でもすぐにできることばかり。ぜひ参考にしてください。