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 バレーボールの国内リーグは今秋から最高峰の「SVリーグ」と「Vリーグ」に再編されてスタートする。下部に相当するVリーグのカノアラウレアーズ福岡で、今季からゼネラルマネジャー(GM)を務める熊本比奈さん(28)は選手から親しみを込めて「鬼コーチ」と呼ばれている。Vリーグ3部(V3)で戦った2023~24年シーズンをキャプテンとエースアタッカーで引っ張り、引退した現在はフィジカルコーチ的な役割も担っているからだ。現役時代からSNSで積極的に情報発信するなど、人気面でもカノアの「顔」として精力的に活動してきた。変わらぬ愛情をチームに注ぎ続ける情熱の源泉に迫った。

 小学6年生だった07年。熊本は西日本新聞の地域版「僕の夢 私の夢」のコーナーで「やさしい何でも相談にのれるかんごしになりたい」とつづった。思い描いた夢は形を変え、バレーボールとともに随分と長い時間を過ごしてきた。それでも「人のために」との心根は変わらない。

 Vリーグ1部(V1)のトヨタ車体クインシーズ(現クインシーズ刈谷)を皮切りにVリーガーとして10シーズンを過ごし、計99試合に出場した。「地元の福岡を盛り上げたい」との理由で加入したカノアでは、経営問題や練習場の確保など数々の困難に直面。森田亜貴斗監督(42)やチームメートらと乗り越えた。

カノアラウレアーズ福岡の森田亜貴斗監督

 昨季V3に新規参入し、女子のVリーグチームがなかった福岡の地に希望の光をともした。膝を4度手術するなど、現役時代はけがとも闘ってきた。「選手をやりきった感もありました。でも、それだけが引退の理由ではありません」。熊本は真っすぐな目で語り始めた。

一番「足りない」と感じたのが…

 「主将という立場をいただいてから、チームを俯瞰(ふかん)して見るようになり、うちに一番『足りない』と感じたのがスタッフの数でした」。特に実感したのがV1のチームとも相まみえた昨年のサマーリーグだった。指揮を執るのはもちろん、日々の練習メニューの考案から試合前のアップまで全てをつかさどる森田監督の負担を軽減したいと思うようになった。

選手に体調管理の大切さを説くカノアラウレアーズ福岡の熊本比奈GM

 「今を勝つことも大事ですが、カノアを良くしたい。カノアはもっと、もっと上を目指せるチームです。ただ、選手の立場で監督を支えるのは難しい。だったら、フロントだと思い至りました」

【次ページに続く】「鬼、鬼、鬼!」

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西口 憲一

西口 憲一

編集委員

立命館大学でアメリカンフットボールに打ち込み、「人の心を動かし、心に残るような記事を書きたい」とスポーツ記者を志しました。 1993年西日本新聞社入社。 運動部からスタートし、以来、福岡→大分→福岡→東京→福岡→東京→福岡。 主にプロ野球(ダイエー、ソフトバンク、西武)やソフトボールを取材。1999年ダイエー初優勝、2008年北京と2021年東京の両五輪でのソフトボール金メダル獲得に心が震えました。 現在はバレーボールSVリーグ女子のSAGA久光スプリングスの記事も書いています。福岡市出身。

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