(写真:AP/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムはこのほど、自社の電子商取引(EC)事業向けに開発してきた広告技術(アドテック)を外部の小売業者が利用できるようにするサービスを始めると明らかにした

 これは「Amazon Retail Ad Service(Amazonリテール広告サービス)」と呼ぶサービスで、当初米国の小売業者を対象に提供する。「小売業者は自社のECサイト内の検索結果ページや商品ページなどで、適切な場所に適切なタイミングで買いもの客に関連性の高い広告を掲載できるようになる」と説明している。

 小売業者は利用レベルに応じてアマゾンに同サービスの手数料を支払うことになる。ただし、現時点で料金は公表していない。

リテールメディア活況、アマゾン6Q連続で100億ドル超え

 アマゾンは近年、広告事業に力を入れている。小売企業がウェブサイトやアプリなど自社プラットフォームで展開する広告媒体「リテールメディア」は活況を呈している。英広告会社WPP傘下グループエムのリポートによると、リテールメディアの世界広告収入は今後も順調に伸び、2028年にはテレビの広告収入を上回る見通しだ。

 アマゾンは2022年の四半期決算報告で、ネット広告収入を初めて公表し、この事業が同社の業績に大きく貢献していると強調した。2024年7~9月期におけるネット広告事業の売上高は143億3100万ドル(約2兆2500億円)で、前年同期から19%増加した。広告収入は6四半期連続で100億ドルを超えた。現在アマゾンは、デジタル広告市場において米グーグルと米メタに次ぐ、第3位の企業となっている。

 ただ、それでもこの事業は、主力EC事業とクラウドコンピューティング事業に比べて規模が小さい。例えば、2024年7~9月期の直営EC事業売上高は、前年同期比7%増の614億1100万ドル(約9兆6500億円)だった。クラウドコンピューティング事業「Amazon Web Services(AWS)」の売上高は19%増の274億5200万ドル(約4兆3200億円)だった。