(台北中央社)中華民国サッカー協会の年間表彰式が昨年12月28日、台北市内で行われ、女子サッカーのムーランリーグ(台湾木蘭足球連賽)で初優勝した高雄アタッカーズが表彰された。2022年に監督に招聘(しょうへい)された猪口武志さんが就任3年目で悲願を達成させた。アタッカーズからはさらに、若林美里選手がリーグの年間最優秀選手に、三木良美選手が最優秀ゴールキーパーにそれぞれ選ばれた。
ムーランリーグは2014年に始動して以降10年間、花蓮女子フットボールチームと台中ブルーホエールズがそれぞれ5回ずつ優勝しており、アタッカーズがリーグで初めて2強を破った。
中央社の取材に応じた猪口さんは台湾の女子サッカーについて「身体能力が高い選手が多い」と評価。ボールや人にぶつかっていく激しさは日本よりもある一方で、協力や連携といった面で課題があると指摘した。また育成年代に身に付けておくべき内容を習っていない選手も多く、就任当初は基本的な内容の指導に徹していたと振り返った。言語の壁についてはコーチ陣や通訳と連携したり、1対1での面談を行ったりするなどの工夫で解決したという。
多くの選手が仕事や学業とサッカーを掛け持ちしており、練習で全員がそろうことは少ないと吐露。1年目は平均して8~9人ほどだった平日の練習参加人数が、チームへの働きかけで3年目には15~16人くらいにまで増え、主力選手はほぼ毎回来るようになったといい、このことがチーム強化のターニングポイントの一つになったと話した。
チームには若林選手と三木選手の他にも3人の日本人選手が所属している。塚本奈緒選手は副キャプテンを務めた。元日本代表の上辻佑実選手は昨年8月にチームに加わり、シーズン中に3得点を決めた。平田こころ選手は開幕前の故障の影響で、今季は試合出場はならなかったが、猪口さんによればリハビリなどにひたむきに取り組む姿が台湾の選手に良い影響を与えたという。
アタッカーズは今季の優勝により、アジアのクラブ1位を決める「AFC女子チャンピオンズリーグ」への参加も決まっている。
(田中宏樹)