コーカサス(英語:Caucasus)は、黒海とカスピ海の間の地域です。ロシアの南に位置するジョージア、アルメニア、アゼルバイジャンで構成されています。高山地帯で知られるコーカサスにはエルブルス山がそびえ、ヨーロッパとアジアの間の天然の境界に連なると見なされています。
コーカサスはコンパクトで多様な地域です。民族も宗教も言語も異なる背景の人々が暮らしています。多様性の豊かさも影響し、この地域は歴史上、多くの民族の対立や政治の紛争に巻き込まれており、そのいくつかは今日まで未解決のままです。
地域
[編集]アブハジア 黒海のリゾート地。この地域の評判は、2008年の戦乱を経て盛り返してきました。 |
アルメニア 荒涼とした山の風景と遠くまで続く峡谷に囲まれた、何千年も前の古代文明。素晴らしい世界遺産、忘れられた修道院、そして実にのんびりとしたフレンドリーな文化が自慢です。 |
アゼルバイジャン コーカサスの最も豊かな国。石油の富と国際ビジネスに沸く首都、バクーとシェキの シルバン・シャー朝の古い壮麗な宮殿、ゾロアスター教の炎の神殿、地表には石油と塩の不毛の風景が広がり、山岳の北と南に広がる森林が多い地帯には世界クラスのハイキングコースが豊かな緑を縫います。 |
ジョージア コーカサスの緑豊かな中心部。おいしい料理と文化、信じられないほど多様な風景、そして古代の教会や大聖堂、修道院、洞窟都市が非常に豊富です。 |
ナゴルノ・カラバフ(英語)/アルツァフ共和国[※ 1] アゼルバイジャンに囲まれたアルメニア人の多い地域。 |
南オセチア(英語)/アブハジア この山岳地帯はアブハジアと同じ戦乱を経て、まだ政情が安定していません。ロシア側からなら入域できるものの、心づもりを整えた旅人向きです。 |
北コーカサス(英語)、ロシア領) 南コーカサスの国々が独立して以来、南側からこの地域に入ることはほぼできません。この美しい地域には崇高な山々や峡谷が広がり、おいしい料理、石の山頂の見事な村、伝説的なおもてなしがあります。それらをさえぎるように、小競り合いが繰り返されています。 |
大部分が承認していない共和国としてアブハジア、南オセチア(英語)、ナゴルノ・カラバフ(英語)はそれぞれ独立宣言前の国とは別に記事を立てました。これら政府の正当性には議論がありながら、「事実上の」支配権を持った、したがって明確に別個の存在です。主権国家であるという彼らの主張の正当性に対し、ウィキボヤージュはいかなる立場もとりません。 |
トルコとイランの一部も地理的にはコーカサスに含まれるものの、中東で扱うため、この記事では説明しません。
都市
[編集]- 1 バクー — アゼルバイジャンの古都。この地域最大の都市で、国際的な石油取引のハブでもあります。
- 2 バトゥミ — ジョージア最大の港。地域のパーティーの首都でもあり、過ぎ去った皇帝の時代から夏のリゾート地として機能してきました。
- 3 エチミアジン — アルメニア使徒教会の本拠地。大聖堂、教会、美術館があります。
- 4 シャキ — アゼルバイジャンの街。森の山に囲まれた景観の美しさ。
- 5 ステパナケルト — ナゴルノカラバフの主要な町。手付かずの環境を備えた高地を探索する拠点になります。
- 6 スフミ — アブハジアの首都は亜熱帯のビーチリゾート。山岳地帯とはガラリと変化します。
- 7 トビリシ — ジョージア首都は活気に満ちています。山々に囲まれ、おいしい料理とワインでいっぱいです。
- 8 ツヒンヴァリ — 南オセチアの首都は、人里離れた孤立した地域にありながら最もアクセスしやすい場所です。
- 9 エレバン — アルメニアの首都は、この地域で最ものんびりとした場所で、食事をするのに最適な場所であり、国の主要な観光スポットにもすぐ近くに移動できます。
知る
[編集]地理
[編集]コーカサスの名を冠した山脈は2つあります。大コーカサス山脈は黒海とカスピ海の間を走り、主にロシアとグルジアが国境を接しています。ジョージア、トルコ、アルメニアの国境を越えて南に走るのは、小コーカサス山脈。地理上ではこれらコーカサスの山脈は天然の境界として、ヨーロッパとアジアの一部を分けると見なされています。ただし、境界の定義として正確かどうかは一致した見解ではありません。
文化
[編集]コーカサスはオスマンとペルシャとロシアそれぞれの帝国や、地方の王国が何世紀にもわたって何度も国境を引き直した地域です。征服者がさまざまであった影響を強く受け、多くの民族グループが暮らしてきたし、同時に、古代から続く習慣や伝統をつなぎながら、それぞれが固有の自己認識を編み出してきました。宗教に目を向けると、ロシア地域に入るアルメニアとジョージアおよび北オセチアは、キリスト教正教会の信者(カトリック)がたくさん住んでいます。北オセチアを除き、ロシア領内の北コーカサスはほぼ全域にイスラム教徒のスンニ派の人々が暮らし、アゼルバイジャンの住民は主にシーア派でありながら、文化にはソビエト時代から強い世俗主義が表れています。
コーカサスを旅すると、地元が旅人を受け入れるようすに出逢い、地球上でよそには比べようのな食べ物を味わい、息を呑むような山の景色を目撃すると期待できます。、以前はビザ取得の手続きは難解でお金もかかるし官僚的な扱いに驚いたり、わいろを求めてくる警察の腐敗にげんなりしたりしたものですが、徐々にそういう負担は減ってきています。ただし現地に行けば楽に手続きできることなのに、遠くの土地から手配しようとするだけで余分なストレスがかかる点は、今も原因ともども完全に消えたわけではありません。
話す
[編集]言語として考えると、このコーカサス地域は世界で最も複雑な地域の1つです。言語族5つを起源とする60超の言語が通じます。確かに文化の多様性にとって素晴らしい条件ですが、旅行者は混乱するかもしれません。
一般に通じる言語は主にアブハズ語とアルメニア語、アゼルバイジャン語とグルジア語、オセット語です。
全部の地域に当てはまる会話集を1つ選ぶならロシア語がおすすめです。旧ソビエト時代、この地域の国々は共通言語としてロシア語を採用し、他の言語を禁じていたからです。英語は、主な都市では広まり始めましたが、まだまだ根付いてはいません。ロシアとの軍事的緊張を経験したジョージアの人々でロシア語を話したがらない人は多く、若者の間では外国語を選ぶならロシア語よりも英語が人気です。ジョージアに行ったら、最初に英語で話し、じなかったらロシア語を試す方が賢いでしょう。
国家の独立とは、大規模な移住と切っても切れません。しばしば強制移住という形におよび、かつての人々の分布は民族言語単位の分離が目立って進みました。そうなると民族同士の相互作用はぐっと減り、教育の場でも若者が第二言語を学ぶ必要性が少なくなります。そこで旅行者は行き先の国の言語がますます重要になっており、それでもロシア語が役立つ場面も非常に多いのです。
アゼルバイジャンとトルコは言語が密接に関連し、お互いに相手の言語がまぁまぁ理解できるほどなので、トルコ語がわかるとアゼルバイジャンでも役に立ちます。
着く
[編集]飛行機で
[編集]首都3つはそれぞれの国際空港から東西ヨーロッパと中東への接続が良好です。ウルムチ(中国の)への運航も数便あります。係争中の領土へ荷物は送れるけれど、旅客便は飛ばない点にご注意ください。
- バクー (Baku) - ヘイダル・アリエフ国際空港 (GYDIATA)
- トビリシ (Tbilisi) - トビリシ国際空港 (TBSIATA)
- エレバン (Yerevan) - ズヴァルトノッツ国際空港 (EVNIATA)
どの国でも主要空港より1ランク下の地方空港だとロシア便なら離発着する傾向があり、トルコやウクライナ、イランへの接続便も限定されますが飛んでいます。例外はおそらくクタイシ空港です。格安路線のWizzAir(ウィズエアー)はハンガリーの航空会社で、ヨーロッパの複数の国へ運航便はかなりの数です。
鉄道で
[編集]政情により、この地域を通る鉄道ルートの多くは途中で断たれています。
通常、ロシアとアブハジアを結ぶ鉄道の利用に問題はありませんが、ジョージア行きは一般に適法ではありません。ロシア発アゼルバイジャン行きの列車は頻繁に走るものの、国境の最寄り駅で折り返します。
アスタラで乗り換えると、アゼルバイジャンとイランの間を鉄道で行き来できます。
トルコとは、旅客鉄道はまだ接続していません。
観る
[編集]- — アルメニアで最も写真に撮られた場所、アララト山の麓の国境にある巨大な岩の上にある壮大な修道院です。
- — ジョージア砂漠にある洞窟修道院。古い洞窟のフレスコ画が美しく、アゼルバイジャン南部に向かって眺望が開けます。
- 3 英語版 (Գեղարքունիքի մարզ) 誤った名前 — アルメニア山間部の大きくて美しい湖です。
- 4 英語版 (Qobustan) 誤った名前 — バクーの南に、天然の岩に古代の線刻画が残っています。周辺は世界遺産地域です。
- 5 英語版 (Казбек) 誤った名前 — ジョージアの息を呑むように美しい山です。
- 6 英語版 (სამცხე-ჯავახეთის მხარე) 誤った名前 — ジョージアの印象的な洞窟都市の1つです。
する
[編集]トレイル・ハイキングをするなら、コーカサス地方のアルメニアとジョージアで行き来ができる部分に着目します(2021年現在)。
ジョージアではスキーもでき、非常に美しいスキーリゾートがバクリアニ (Bakuriani) とグダウリ (英語版) の2箇所あります。またこの国は黒海に沿ってビーチがあり、バトゥミ (Batumi) 、コブレチ (Kobuleti) 、ウレキ (Ureki) ゴニアなどでリラックスできます。
食べる
[編集]飲む
[編集]コーカサスで注目の飲み物は、ワインならジョージア、コニャックならアルメニア(ブランデー)、ウォッカならロシアが著名です。
ジョージョア特産のワインのぶどう:
- 赤:サペラヴィ (Saperavi) 、Mukuzani、セブアノ語 (Khvanchkara) (やや甘口)、Kindzmarauli (他言語版) (やや甘口)
- 白:チナンダリ (Cinandalis) 、カヘティ州 (Kakheti) (産地)、Tbilisuri
地ビールはコーカサスのどこも素晴らしい製品があります。
脚注
[編集]- ↑ 外務省サイト「アルメニア共和国基礎データ(Republic of Armenia)」によると日本政府はナゴルノ・カラバフ州をアルメニアの一部と認識、経済援助・文化支援を保つ(一般及び草の根文化無償資金協力)。河野太郎外務大臣(2018年9月)以来、本田太郎外務大臣政務官(2022年5月)、吉川ゆうみ外務大臣政務官(2023年5月)の訪問歴あり。2023年(令和5年)6月9日時点。