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CATIA

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
CATIA
工作機械のシミュレーション
開発元 ダッソー・システムズ
初版 1977年 (47年前) (1977)
最新版
3DEXPERIENCE, V5 / 2022年 (2年前) (2022)[1]
対応OS Microsoft Windows
AIX
HP-UX
IRIX
Solaris
プラットフォーム OADG互換 • UNIXワークステーション
対応言語 英語
サポート状況 開発中
種別 CAD • CAM • CAE • 商品ライフサイクルマネジメント • 3D
ライセンス プロプライエタリソフトウェア
公式サイト http://www.3ds.com/jp/products/catia/
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CATIA(キャティア)とは、ダッソー・システムズが開発したハイエンド3次元CADソフトシリーズである。名称はComputer graphics Aided Three dimensional Interactive Applicationの頭文字である。

概要

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開発元はグループ・ダッソーの一員でフランス最大のソフトウェア会社である。

  • CATIA V1.V2.V3.V4
1981年のダッソー・システムズ社創立以来の製品である。
リリース以来プラットフォームをIBMメインフレームからUNIXワークステーションと変えながら四半世紀以上を生き永らえており、CAD、特に競争の激しいハイエンド3次元CADソフトとしてCATIA V4は1993年発売と古く、またWindows非対応にもかかわらず、現在でも世界各国の大企業で利用・併用使用される比類のない長寿製品である。
もともとは、ダッソー・アビアシオン(Dassault Aviation)の製品である航空機(戦闘機・ビジネスジェット等)の設計用に開発されてきたが、現在では、エアロ・スペースの分野以外の民生需要も多く、国内外ともに多くの自動車メーカーや、重工業メーカーなどで使用されている。
  • 極めて大規模、高機能なソフトであるため、複雑で大規模なアッセンブリの設計・開発を必要とする顧客が多い。
  • 操作的には3Dの元となる2D形状作成はMICRO CADAM Helix Design & Draftingと類似しており、これを押し出したり、厚みをつけ3D化する。
  • 基本的にエクスプリシット(履歴編集ができない)要素によってデータを構成するノンヒストリー3D-CADといってもよい。
  • 拡張子は.model。
  • 最終バージョンはCATIA V4R2.5。
  • CATIA V5
同社がSolidWorks社を買収した後、1999年に発売されたのがCATIA V5である。
SolidWorks、PTC Creo ParametricAutodesk InventorSolid Edge等と同様にほとんどの要素を、履歴・論理構造でパラメトリックに結びつけ、動的資産としての価値も高いデータを提供できるシステムに変貌し、OSは主役がWindows版に変った。
CATIA V4CATIA V5はデータの互換性や機能上の連携もなく、機能や操作性も全く異なり、別のソフトウエアとして位置づけられている。CATIA V4(あるいは単にV4)、CATIA V5(同V5)と分別して呼ぶのが技術者同士では一般的である。
  • 敢えてNURBS(NonUniform Rational B-Spline: 非一様有理Bスプライン)ではなく、NUPBS(NonUniform Polynomial B-Spline: 非一様多項式Bスプライン)による曲線定義を採用することにより、有理化による算術計算の重さを排している点も、独特である。
  • 航空機や自動車、電器メーカーのように大規模なアッセンブリを扱うこともできるために、ENOVIAなどのPLMツール(PDM)と連携して利用されることも多い。
  • 拡張子は.CATPart(部品)、.CATProduct(アセンブリ)、.CATDrawing(図面)。
  • CATIA V1~V3のデータは全く開くことができないが、オプションによりV4データをVIEWERとして見ることは可能。
  • 最新バージョンはCATIA V5-6R2022 (旧称はV5R32)。
  • CATIA V6
2008年にはSOAに対応してアーキテクチャーとしてPDM (ENOVIA)と統合されて、チーム設計やコンカレント開発、マルチサイト開発の機能を強化したCATIA V6が発表されている。CATIA V5とV6にはデータの互換性があり、共存使用が可能である。2014年発表のR2014xから、V6の呼称が3DEXPERIENCE (3DEXP)に変更となった。
  • 最新ヴァージョンは3DEXPERIENCE R2014x[2]
なお1981年のダッソー・システムズの創設以来ずっと、CATIA V1-V4,V5,V6,ENOVIAなどダッソー・システムズ製品の販売活動やサポート・サービスについては、IBMが分担するアライアンス体制での提供であったが、2010年4月、IBMのソフトウェア事業部門の中でダッソー・システムズ製品を取扱う事業であったPLM事業部門が、ダッソー・システムズに売却された。

主要な機能

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CATIA V4には、用途に合わせ、5つのモジュールが用意されている。

  • CATIA V4 Application Architecture Solutions(CAA)
  • CATIA V4 Manufacturing Solutions(MFG)
  • CATIA V4 Mechanical Design Solutions(MECH)
  • CATIA V4 Analysis and Simulation Solutions(ANS)
  • CATIA V4 Equipment and Systems Engineering Solutions(ESE)


CATIA V5のシステムは、標準構成とアドオンとの組み合わせで構成される。標準構成はパッケージと呼ばれる。

CATIA V5 プラットフォーム1 標準構成パッケージ

メカニカル・デザイン

  • アセンブリー・デザイン1 (AS1)
  • ファンクショナル・モールドパート 1 (FM1)
  • パート・デザイン・フィーチャー・レコグニション 1 (FR1)
  • 3Dファンクショナル・トレランシング&アノテーション1 (FT1)
  • ジェネレーティブ・ドラフティング1 (GD1)
  • ヒーリング・アシスタント1 (HA1)
  • インタラクティブ・ドラフティング1 (ID1)
  • 2D レイアウト for 3D デザイン 1 (LO1)
  • パート・デザイン1 (PD1)
  • シートメタル・プロダクション1 (SH1)
  • シートメタル・デザイン1 (SM1)
  • ストラクチャー・デザイン1 (SR1)
  • ツーリング・デザイン 1 (TG1)
  • ウェルド・デザイン1 (WD1)
  • ワイヤーフレーム&サーフェス1 (WS1)

マシニング

  • レース・マシニング1 (LG1)
  • マニュファクチャリング・レビュー1 (NG1)
  • プリズマティック・マシニング1 (PG1)
  • STLラピッド・プロトタイピング1 (TL1)

プロダクト・シンセシス

  • DMUナビゲーター1 (DN1)
  • DMUディメンショニング&トレランシング・レビュー 1 (DT1)
  • ナレッジ・エキスパート1 (KE1)
  • プロダクト・ナレッジ・テンプレート1 (KT1)
  • スペース・アナリシス1 (SP1)

シェイプ・デザイン&スタイリング

  • デベロップ・シェイプ 1 (DL1)
  • フリースタイル・シェイパー1 (FS1)
  • フリースタイル・スケッチ・トレーサー 1 (FSK)
  • ジェネレーティブ・シェイプ・デザイン 1 (GS1)
  • リアルタイム・レンダリング1 (RT1)

コンプリメンタリー

  • CADAMドラフティング FOR V5 (CCD)

インフラストラクチャー

  • COM1TO2エクステンション (C12)
  • CADAMインターフェース1 (CC1)
  • インスタント・コラボレーティブ・デザイン 1 (CD1)
  • オブジェクト・マネージャー 1 (CO1)
  • プロダクト・データ・フィルタリング 1 (DF1)
  • ENOVIA VPM サプライチェーン・エンジニアリング・エクスチェンジ 1 (EW1)
  • IGESインターフェース1 (IG1)
  • PPR PDM ゲートウェイ 1 (PX1)
  • STEPコア・インターフェース1 (ST1)
  • V4 インテグレーション 1 (V41)

イクイップメント&システム・エンジニアリング

  • サーキット・ボード・デザイン 1 (CBD)
  • エレクトリカル3Dデザイン&ドキュメンテーション 1 (EC1)
  • プラント・レイアウト1 (PLO)
  • システム・ラウティング1 (SRT)

アナリシス

  • ジェネレーティブ・パート・ストラクチャル・アナリシス1 (GP1)

CATIA V5 プラットフォーム2 標準構成パッケージ

メカニカル・デザイン

  • アセンブリー・デザイン2 (ASD)
  • コア&キャビティー・デザイン2 (CCV)
  • キャスト&フォージド・パート・オプティマイザー 2 (CFO)
  • コンポジット・エンジニアリング 2 (CPE)
  • コンポジット・デザイン for マニュファクチャリング 2 (CPM)
  • ファンクショナル・モールドパート 2 (FMP)
  • 3Dファンクショナル・トレランシング&アノテーション2 (FTA)
  • ジェネレーティブ・ドラフティング2 (GDR)
  • モールド・ツーリング・デザイン2 (MTD)
  • パート・デザイン2 (PDG)
  • シートメタル・デザイン2 (SMD)

マシニング

  • アドバンス・マシニング2 (AMG)
  • レース・マシニング2 (LMG)
  • NCマシン・ツール・ビルダー 2 (MBG)
  • マルチスライド・レース・マシニング2 (MLG)
  • マルチ・アクシス・サーフェス・マシニング2 (MMG)
  • プリズマティック・マシニング・プレパレーション・アシスタント2 (MPA)
  • マルチポケット・マシニング2 (MPG)
  • NCマシン・ツール・シミュレーション 2 (MSG)
  • NCマニュファクチャリング・レビュー2 (NCG)
  • NCマニュファクチャリング・ベリフィケーション2 (NVG)
  • プリズマティック・マシニング2 (PMG)
  • 3アクシス・サーフェス・マシニング2 (SMG)
  • STLラピッド・プロトタイピング2 (STL)

プロダクト・シンセシス

  • DMUエンジニアリング・アナリシス・レビュー2 (ANR)
  • ビジネス・プロセス・ナレッジ・テンプレート2 (BK2)
  • DMUナビゲーター2 (DMN)
  • DMUオプティマイザー2 (DMO)
  • DMU ファスニング・レビュー2 (FAR)
  • DMUフィッティング・シミュレーター2 (FIT)
  • フレックス・フィジカル・シミュレーション 2 (FLX)
  • ヒューマン・アクティビティー・アナリシス2 (HAA)
  • ヒューマン・ビルダー2 (HBR)
  • ヒューマン・メジャメント・エディター2 (HME)
  • ヒューマン・ポスチャー・アナリシス2 (HPA)
  • DMUキネマティクス・シミュレーター2 (KIN)
  • ナレッジ・アドバイザー2 (KWA)
  • ナレッジ・エキスパート2 (KWE)
  • プロダクト・エンジニアリング・オプティマイザー2 (PEO)
  • プロダクト・ファンクション・ディフィニション2 (PFD)
  • プロダクト・ナレッジ・テンプレート・デフィニション 2 (PKT)
  • DMUスペース・アナリシス2 (SPA)
  • DMUスペース・エンジニアリング・アシスタント2 (SPE)

シェイプ・デザイン&スタイリング

  • オートモーティブ・ボディ・イン・ホワイト・テンプレート 2 (ABT)
  • デジタイズ・シェイプ・エディター2 (DSE)
  • シェイプ・スカルター2 (DSS)
  • フリースタイル・オプティマイザー2 (FSO)
  • フリースタイル・プロファイラー2 (FSP)
  • フリースタイル・シェイパー2 (FSS)
  • ジェネレーティブ・シェイプ・デザイン2 (GSD)
  • ジェネレーティブ・シェイプ・オプティマイザー2 (GSO)
  • イマジン&シェイプ2 (IMA)
  • フォト・スタジオ2 (PHS)
  • フォト・スタジオ・オプティマイザー2 (PSO)
  • クイック・サーフェス・リコンストラクション2 (QSR)
  • リアリスティック・シェイプ・オプティマイザー 2 (RSO)
  • リアルタイム・レンダリング2 (RTR)

インフラストラクチャー

  • オブジェクト・マネージャー 2 (COM)
  • ENOVIA VPM サプライチェーン・エンジニアリング・エクスチェンジ 2 (EWE)
  • STRIM/STYLERTOCATIAインターフェース2 (STC)
  • V4 インテグレーション 2 (V4I)

イクイップメント&システム・エンジニアリング

  • コンパートメント&アクセス2 (CNA)
  • エレクトリカル・ケーブルウェイ・ラウティング2 (ECR)
  • エレクトリカル・システム・ファンクショナル・ディフィニション2 (EFD)
  • エレクトリカル・ハーネス・フラットニング2 (EHF)
  • エレクトリカル・ハーネス・インストレーション2 (EHI)
  • エレクトリカル・ライブラリー2 (ELB)
  • エレクトリカル・コネクティビティ・ダイアグラム2 (ELD)
  • イクイップメント・アレンジメント2 (EQT)
  • エレクトリカル・ワイヤー・ラウティング2 (EWR)
  • ハンガー・デザイン2 (HGR)
  • HVACデザイン2 (HVA)
  • HVACダイアグラム2 (HVD)
  • パイピング&インストルメンテーション・ダイアグラム2 (PID)
  • パイピング&デザイン2 (PIP)
  • レースウェイ&コンジット・デザイン2 (RCD)
  • シップ・ストラクチャー・ディテール・デザイン2 (SDD)
  • システム・ダイアグラム2 (SDI)
  • ストラクチャー・ファンクショナル・デザイン2 (SFD)
  • システム・スペース・リザベーション2 (SSR)
  • チュービング&デザイン2 (TUB)
  • チュービング・ダイアグラム2 (TUD)
  • ウェーブ・ガイド・デザイン2 (WAV)
  • ウェーブ・ガイド・ダイアグラム2 (WGD)

アナリシス

  • ELFINIストラクチャル・アナリシス2 (EST)
  • FEMソリッド2 (FMD)
  • FEMサーフェス2 (FMS)
  • ジェネレーティブ・アセンブリー・ストラクチャル・アナリシス2 (GAS)
  • ジェネレーティブ・ダイナミック・レスポンス・アナリシス2 (GDY)
  • ジェネレーティブ・パート・ストラクチャル・アナリシス2 (GPS)

CATIA V5 プラットフォーム3 標準構成パッケージ

メカニカル・デザイン

  • エアロスペース・シートメタル・デザイン 3 (ASL)
  • コンポジット・デザイン 3 (CPD)

マシニング

  • ビジネス・プロセス・ナレッジ・テンプレート 3 (BKT)

シェイプ・デザイン&スタイリング

  • オートモーティブ・ボディ・イン・ホワイト・ファスニング 3 (ABF)

インフラストラクチャー

  • オブジェクト・マネージャー 3 (CO3)

アナリシス

  • トレランス・アナリシス・オブ・デフォーマブル・アセンブリー 3 (TAA)

主な稼動OS

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CATIA関連ソフトウェア

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外部リンク

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参照

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