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Cバス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Cバスの例(LAN)
PC-9801DX 拡張スロット
拡張ボードの例(サウンドカード

Cバス日本電気PC-9800シリーズに搭載されていた拡張スロットの名称である。

この名称は、1990年NESAを搭載したPC-H98シリーズが発売された際に32ビットバスNESAバスをEバス(Extension Bus)、16ビットの従来互換バスをCバス(Compatible Bus)と呼称したことからこれ以降使われるようになったレトロニムであり、それ以前は単に「汎用拡張スロット」または、98バス等と呼ばれていた。

98シリーズ以外にもCバスの採用機種があった。PC-88VAシリーズ文豪シリーズの一部機種、シャープ MZ-2861など。

規格

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  • Intel 8086のCPUバスに準拠。
    • ただし、1985年発売のPC-98XA以降の機種では、Intel 80286に対応し、アドレス線が20bitから24bitに拡大されている。PC-9801N接続時、AB201~AB231出力はHighレベル固定[1]
  • 5MHz、8MHz もしくは 10MHzで駆動され、10Mbytes/secの理論最大転送帯域を有する。
  • 1スロット当り、+5V 0.8A、+12V 0.06A、-12V 0.07A(EPSON98互換機はそれぞれ1A、0.125A、0.075A)の電源容量が保証され、他のスロットを使用しない前提でn倍の電力を消費することも許されている。
  • 拡張カードは奥行き17cm、幅15cmの長方形で、部品実装面の厚さは2.5cmまでが許容されている。
  • 100本(片面あたり50本ずつ)の端子を持ち、アドレスバス、データバスの数本おきに1つGNDを配置、クロックや12V等のノイズが発生しやすい端子は端にまとめるなど、電気的によく考えられた構造になっている。
  • 筐体を開けずに抜き差しできるようにエッジ・コネクタには引き抜き用のレバーが装着されている。

Cバスは、サウンドカードビデオカード、拡張メモリ、TVチューナーカード、ビデオキャプチャカード、LANカード、MIDIカード、MIDIインターフェースカード、SCSIカード、自作基板向けブランクボード、計測器用独自通信拡張カード、NC加工機制御用通信カードなどがあったが、いずれも転送速度の遅さ、さらに98自体の終焉により1990年代後半には減少し消滅した。電力供給には余裕があることから、小型DOS/Vマザーボードなどをはじめ各種専用計算機などをCバスボードに実装した例は多い。初代PC-9801の背面には、ROMボード専用スロットとは別に、拡張スロットが5つ利用可能であった[2]

16bitバスであり、PC-9800シリーズで動作させたMicrosoft Windows NTWindows 2000含む)からは「ISAバス」と表示される場合もある。

PC-98 拡張スロット(Cバス) ピン配列
ピン 信号名 ピン 信号名
A1 GND B1 GND
A2 V1 B2 V1
A3 V2 B3 V2
A4 AB001 B4 DB001
A5 AB011 B5 DB011
A6 AB021 B6 DB021
A7 AB031 B7 DB031
A8 AB041 B8 DB041
A9 AB051 B9 DB051
A10 AB061 B10 DB061
A11 GND B11 GND
A12 AB071 B12 DB071
A13 AB081 B13 DB081
A14 AB091 B14 DB091
A15 AB101 B15 DB101
A16 AB111 B16 DB111
A17 AB121 B17 DB121
A18 AB131 B18 DB131
A19 AB141 B19 DB141
A20 AB151 B20 DB151
A21 GND B21 GND
A22 AB161 B22 +12V
A23 AB171 B23
A24 AB181 B24 IR31
A25 AB191 B25 IR51
A26 AB201 B26 IR61
A27 AB211 B27 IR91
A28 AB221 B28 IR101
A29 AB231 B29 IR121
A30 INT0 B30 IR131
A31 GND B31 GND
A32 IOCHK0 B32 -12V
A33 IOR0 B33
A34 IOW0 B34 RESET0
A35 MRC0 B35 DACK00
A36 MWC0 B36 DACK30
A37 INTA0 S00 B37 DRQ00
A38 NOWAIT0 S01 B38 DRQ30
A39 SALE1 S02 B39 WORD0
A40 MACS0 LOCK0 B40 EXHRQ10 CPKILL0
A41 GND B41 GND
A42 CPUENB10 B42 EXHLA10 RQGT0
A43 RFSH0 B43 DMATC0
A44 BHE0 B44 NMI0
A45 IORDY1 B45 MWE0
A46 SCLK1 B46 EXHLA20 HLDA00
A47 S18CLK1 B47 EXHRQ20 HRQ00
A48 POWER0 B48 SBUSRQ1 DMAHLD0
A49 +5V B49 +5V
A50 B50

2項目あるうちの前者は80286以降搭載モデル、後者は8086/V30搭載モデルの場合。ただし過渡期モデルのPC-9801VX0/2/4(80286/V30切り替え)やVM21(V30搭載)では#1だけが8086/V30仕様、#2、#3、#4が80286以降仕様と、両方の仕様のCバススロットが搭載されている。それらのマイナーチェンジモデルであるPC-9801VX01/21/41(80286/V30切り替え)では80286以降仕様のCバスしか搭載されていない。例えばPC-UXボードや68000ボードを使用する場合は8086/V30仕様のCバスに装着する必要があり、CPUもV30以下でなければならない。

80286以降搭載モデルでは、AB191ピンは拡張スロット上のスイッチがオン時はバスのAB191信号そのまま、スイッチがオフ時はバスのAB201からAB231までのすべてが0かつAB191=1の場合のみハイになる。つまりこのスイッチ切り替えを含めれば上記8086/V30仕様のCバスと合わせて少なくとも3種類のCバス仕様が確認できることになる。PC-9821時代の後期の機種ではCバスの切り替えスイッチが省略されるケースもあり、該当機種では一番上のスロットでのスイッチが省略されていることが多い。ここには優先的にFDDインターフェースやPCカードスロットを増設するように指定されている。それら以外でスイッチを押す機構のないボードはスイッチ付きのスロットで使用するように指定されている。すなわちスイッチの省略されたスロットはスイッチが押された状態に相当する。

色分け凡例
グラウンド 電源および信号の0V基準
電源 電源ユニットから供給される電源
出力 拡張カードからマザーボードへの信号
入出力 マザーボード・拡張カードの双方向信号
入力 マザーボードから拡張カードへの信号
オープンコレクタ 拡張カード間で共有する信号線

他の類似の拡張バス

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  • 98NOTE用110ピン拡張バス - Cバスと増設用FDDの信号線が出力されている[3]EPSONの98互換機ノートタイプパソコンでも後期のもので採用されている(前期のものはEPSON独自のバス)。9821NOTEでは198ピンとなっているがオプションで110ピンに変換可能。
  • Lスロット - EPSON互換機のブック・ノートタイプパソコンに搭載された小型の拡張スロット。

PCカードスロットやPCIスロットをCバスに変換するアダプタもサードパーティーから発売されていた。

脚注

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  1. ^ Note拡張ユニット 1990, p. 29.
  2. ^ 浅野泰之、壁谷正洋、金磯善博、桑野雅彦『PC-9801システム解析(下)』アスキー、1983年12月1日、45頁。ISBN 4-87148-715-6 
  3. ^ Note拡張ユニット 1990, p. 5.

参考文献

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  • PC-9801VM21ハードウエアマニュアル (NEC)
  • PC-9801VXハードウエアマニュアル (NEC)
  • 『PC-9801N-08 I/O拡張ユニットユーザーズマニュアル』NEC、1990年。 

関連項目

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