裸のランチ
『裸のランチ』(はだかのランチ、英語: Naked Lunch)は、1959年に出版されたウィリアム・バロウズの長編小説。また、それを原作として1991年に製作されたイギリス・カナダの合作映画。
ストーリー
[編集]この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
本作には明確なあらすじは無く、非線形な物語であるが、それは作家としてバロウズの意図するところのようである。本書中のいくつかのイベントについては要約できる。
冒頭、ウイリアム・リー(リー・ザ・エージェントとも表現されるバロウズの別人格)の冒険が語られる。彼の旅は、アメリカにおいて警察の捜索から逃れるところから始まり、旅の途中で様々なキャラクターが登場する。
日本語訳
[編集]- 『裸のランチ』鮎川信夫訳 河出書房新社(人間の文学19)1965年
- 『裸のランチ』鮎川信夫訳 河出書房新社(モダン・クラシックス)1971年
- 『裸のランチ』鮎川信夫訳 河出書房新社(河出海外小説選16)1978年
- 『裸のランチ』鮎川信夫訳(補訳山形浩生)河出書房新社 1992年 - 単行本の完全版
- 『裸のランチ』鮎川信夫訳(補訳山形浩生)河出書房新社(河出文庫)2003年 - 完全版の文庫化
映画
[編集]裸のランチ | |
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Naked Lunch | |
監督 | デヴィッド・クローネンバーグ |
脚本 | デヴィッド・クローネンバーグ |
原作 | ウィリアム・S・バロウズ |
製作 | ジェレミー・トーマス |
出演者 |
ピーター・ウェラー ジュディ・デイヴィス イアン・ホルム ジュリアン・サンズ ロイ・シャイダー |
音楽 |
ハワード・ショア オーネット・コールマン |
撮影 | ピーター・サシツキー |
編集 | ロナルド・サンダース |
配給 | 松竹富士 |
公開 |
1992年4月24日 1992年7月4日 |
上映時間 | 117分 |
製作国 |
イギリス カナダ |
言語 | 英語 |
原作を忠実になぞったものではなく、ウィリアム・バロウズの作品を元に再構成された、デヴィッド・クローネンバーグ監督のオリジナル作品というべきものとなっている。
あらすじ
[編集]1953年のニューヨーク。ビル(ウイリアム)・リーは、作家を志したが麻薬に溺れ、今は害虫駆除の仕事で生計を立てながら、作家志望の友人たちと交流していた。麻薬所持の疑いで警察に連行されたビルの前に、彼の上司だと名乗って現れる巨大な喋るゴキブリ。ビルの妻であるジョーンは「インターゾーン商会」の回し者だから殺せと命令され、ゴキブリを叩き潰して帰宅するビル。
ビルの妻・ジョーンは、ゴキブリ駆除の薬を麻薬として使い、中毒になっていた。誘われたビルも薬物中毒がぶり返しており、ベンウェイという医師を訪ねて治療薬が処方された。ビルが帰宅すると、作家志望の男とジョーンがセックスを試みている。気にもとめない様子のビル。だが、処方薬を混ぜた駆除剤を注射したビルはゲームと称して銃でジョーンを撃ち殺した。ベンウェイ博士が処方した薬もまた麻薬だったのだ。
妻の遺体を残して酒場に入ったビルは、マグワンプ(異形の怪物)から逃亡用の旅行チケットを渡され、インターゾーン商会の所在地である北アフリカのインターゾーン市に向かえと指示された。報告書を書くことが条件で、クラーク・ノヴァという機種のタイプライターを勧めるマグワンプ。
インターゾーン市で報告書をタイピングするビル。気づくとクラーク・ノヴァ(タイプライター)は警察で会ったゴキブリと融合し、口をきくようになっていた。クラーク・ノヴァを残して街に出たビルは、ジョーンと瓜二つの女性を見かけた。トム・フロストの妻のジョーンだと聞いて、パーティーで接近するビル。夫のトムは、妻を殺したいとビルに打ち明けた。
自分のタイプライターを試してみろとビルに貸すトム。2台のタイプライターを並べて置くと両方が昆虫化し、クラーク・ノヴァがトムのタイプを食い殺した。ジョーンを誘惑して情報を聞き出せと命じるクラーク・ノヴァ。トムの家にはインターゾーン商会の若者たちが出入りしているのだ。
トムの留守宅を訪れ、ジョーンにアラビア語のタイプライターを打たせながら誘惑するビル。タイプは性的な生物に変形した。そこに現れて二人を引き離し、タイプの生物を窓から追い落とす家政婦のファデラ。帰宅したトムは、アラビア語のタイプが壊れたのを見て、ビルに貸したタイプを返せと迫り、ビルの部屋まで押しかけてクラーク・ノヴァを奪い去った。
アメリカから短期旅行でビルを訪ねて来る作家志望の友人たち。ビルが書いているのは処女作の小説「裸のランチ」であり、出版社が待っているから早く書き上げろと励まされるビル。
男娼のキキの紹介で、壊れたトムのタイプライターを鍛冶屋に持ち込むビル。炉で溶かされたタイプはマグワンプ(怪物)型に生まれ変わった。タイプライターのマグワンプは口をきき、医者のベンウェイ博士こそインターゾーンの黒幕だとビルに伝えた。
トムの家の家政婦・ファデラがベンウェイと親しいとの情報を得るビル。ファデラとジョーンがいるという古い麻薬工事に潜入すると、マグワンプたちが吊り下げられ、触角から出る麻薬を搾り取られていた。憔悴したジョーンを見つけて、ファデラの元に案内させるビル。ファデラが老婆の皮(着ぐるみ)を脱ぎ捨てると、その中身はベンウェイ博士だった。
従来の麻薬より利益率の高いマグワンプの麻薬で儲ける為に、知己の多い北の国「アネクシア」の販路を任せたいとビルを誘うベンウェイ博士。ジョーンを開放することを条件に引き受けるビル。
ジョーンと共に旧式なキャンピングカーでアネクシアの国境まで辿り着くビル。国境警備隊員に職業を聞かれ「作家」と答えると、何か書いて見せろと要求された。迷わずに銃を抜き、後部に乗車していたジョーンを射殺するビル。驚きもせずに通行を許可する警備隊員に、ビルは涙を流しつつも満足げな表情を浮かべた。
キャスト
[編集]※括弧内は日本語吹替
- ビル・リー - 害虫駆除員:ピーター・ウェラー(堀勝之祐)
- ジョーン・フロスト - インターゾーンの作家/ジョーン・リー - ビル・リーの妻で麻薬中毒者:ジュディ・デイヴィス(一城みゆ希)
- トム・フロスト - インターゾーンの作家:イアン・ホルム(麦人)
- イヴ・クローケ - インターゾーンの富裕な青年:ジュリアン・サンズ(仲木隆司)
- ベンウェイ医師 - ”ブラックミート”を与える医師:ロイ・シャイダー(寺島幹夫)
- ファデラ - 家政婦、本職は呪術師:モニーク・メルキューレ(鈴木れい子)
- ハンク - 作家仲間:ニコラス・キャンベル(若本規夫)
- マーティン - 作家仲間:マイケル・ゼルニカー(大滝進矢)
- ハンス - インターゾーンの実業家:ロバート・A・シルヴァーマン(青森伸)
- キキ - インターゾーンの男娼:ジョセフ・スコーシアニー(堀川りょう)
- マグワンプ - リーにインターゾーンに行くように強要する怪物:ピーター・ボレツキー(神山卓三)
- クラーク・ノヴァ - タイプライター:ピーター・ボレツキー(辻村真人)
評価
[編集]レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは36件のレビューで支持率は69%、平均点は7.00/10となった[1]。Metacriticでは16件のレビューを基に加重平均値が67/100となった[2]。
参考文献
[編集]- ^ “Naked Lunch”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年7月21日閲覧。
- ^ “Naked Lunch Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2022年7月21日閲覧。
関連項目
[編集]- ボストンでは禁止
- カート・コバーン - アメリカのミュージシャン。学生時代に本作を読み、人生と歌詞の両面で強い影響を受けたと発言している。これが縁で本作の作者であるバロウズによる詩の朗読に、コバーンがギター演奏を行う作品を発売している。
外部リンク
[編集]- 裸のランチ - allcinema
- 裸のランチ - KINENOTE
- Naked Lunch - オールムービー
- Naked Lunch - IMDb