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第二次クレミンナの戦い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第二次クレミンナの戦い
ロシアのウクライナ侵攻

2023年2月、ウクライナ北東部に展開するロシア軍
2022年10月2日 - 現在
場所ウクライナの旗 ウクライナ
ルハーンシク州クレミンナ
現況 進行中
衝突した勢力
ウクライナの旗 ウクライナ
部隊

ロシア陸軍

ロシア空挺軍

GRU

ルガンスク民兵

ロシア国家親衛隊

  • アフマト特殊部隊[12]

ロシア国防省

ウクライナ空中機動軍

ウクライナ陸軍

ウクライナ国家親衛隊

戦力
7,300人 5,800人

第二次クレミンナの戦い(だいにじクレミンナのたたかい、: Second Battle of Kreminna)は、ウクライナルハーンシク州セヴェロドネツィク地区クレミンナにおいて2022年10月2日から進行中の戦闘である。クレミンナはロシア軍ドンバス攻勢陥落しており[21]ウクライナ軍リマン奪還した2日後にクレミンナをめぐる2度目の戦闘が勃発した。

戦闘経過

[編集]

9月27日から28日の夜、ウクライナ軍がドロニフカでドネツ川を渡り、ドネツ川森林公園を急襲して、重要なクレミンナ-トルスケ間の道路の遮断に成功した[22]

10月2日、ウクライナ軍はクレミンナのロシア軍を激しく爆撃し、同時にクレミンナとスヴァトヴェを結ぶ高速道路を進軍し、北と西から攻撃した[23]。翌日にはチェルボノポピフカ英語版ウクライナ語版とピシュチャネ付近まで進軍したとされる(ともにルハーンシク州にあり、高速道路沿いでクレミンナから5キロメートル以内にある)。ロシアの情報筋はウクライナ軍の進軍を大きな懸念とともに考察し、ウクライナ軍がルハーンシク州境まで進軍し、リマンから東に30キロメートルのところにあるクレミンナを攻撃するだろうと主張した。ロシア軍はリマンから撤退しクレミンナで再編成され、ロシアの情報筋はクレミンナで新たな戦線が敷かれたと主張している[24]

ウクライナ軍が反攻を進める中でクレミンナにも肉薄。同年12月には、ロシア軍も大量の予備兵と装備をクレミンナをめぐる戦線に投入、激しい戦いが繰り広げられた[25]

12月28日、ルハンスク州のハイダイウクライナ語版知事はクレミンナの戦況に触れ、市内にあったロシア軍司令部が移動し、市内のロシアの民間人全員が退去したと報告した[26]

12月2日には、ウクライナ軍はクレミンナから北に10kmほど離れているチェルボノポピフカを奪還した。これにより、ロシア国内のベルゴロドからドネツク州に至るまでの補給路のひとつの遮断に成功した[27]

2023年1月2日、イギリス国防省は数日間の間、重要な補給路である66号線幹線道路の支配権をめぐる攻防が行われたと報告した[28]

2月4日前後には、ロシア軍による「東部攻勢とされるもの[注釈 1]」が開始されたが、OSINTのJ.like JJがTwitter上にて、ウクライナ軍がチェルボノポピフカに留まっていると報告している[32]

2月27日には、戦争研究所が、ロシア軍はチェルボノポピフカ付近でウクライナ軍を押し出したと報告した[33]

3月7日には、Twitter上にて、Ukrine Weapons Trackerが、チェルボノポピフカ近郊でロシアのT-80BV戦車がウクライナの砲撃により破壊されたと映像付きで報告した[34]。また同日には、OSINTのWarMonitorが、Twitter上にて、ウクライナの第25独立空挺旅団がチェルボノポピフカにてロシア軍の戦車5両を撃破したと報告した[35]

3月8日には、ルハーンシク州知事のセルヒイ・ハイダイが、ロシア軍がチェルボノポピフカから撤退したと報告した[要出典]

3月9日、ルハーンシク州知事セルヒ・ハイダイウクライナ語版は、チェルボノポピフカで戦闘が継続中であり、ウクライナ兵士が一部地点から撤退せざるを得ず、占領の帰趨についてはまだ話すべきではないと語った[36]

3月17日、戦争研究所が、ロシア情報筋の主張として、時期は不明ながらチェルボノポピフカ付近のウクライナ軍の地上攻撃は不成功に終わり戦力を蓄積中とする記述を載せた[37]

7月10日、戦争研究所は、トルスケ英語版(クレミンナの西14km)でロシア軍が成功を収めたというロシア人軍事ブロガーの主張を載せたが[38]、12日には位置情報からロシア軍はトルスケに陣地を保持せず(トルスケのウクライナ陣地をロシア軍が突破したという一部ロシア人軍事ブロガーの主張があった)、その成功は限定的だったと指摘した。またクレミンナ付近ではウクライナ軍とロシア軍は小競り合いを続けていると伝えた[39]

9月26日、戦争研究所は地図情報を更新し、位置情報映像からロシア軍がクレミンナの西へ前進したと報告した[40]

12月6日、戦争研究所は、ロシア軍がウクライナ軍を破りテルニー英語版とヤンポロフカ方面へ進んだというロシア人軍事ブロガーの主張を載せた。一方、位置情報映像からは、12月2日にウクライナ軍がディブロバ(クレミンナ南西7km)の西へ進んだことを報告している[41]

12月24日、戦争研究所は、ロシア軍がテルニー東の森林地帯へ前進したことを位置情報映像から確認したと報告した。ロシア人軍事ブロガーはテルニーから4m未満まで進んだと主張したが、戦争研究所は映像から4m以上離れているとしてを否定した[42]

12月30日、戦争研究所は、ロシア軍がテルニーの東と、ディブロバの南西で前進したという12月26日のロシア側情報と、ディブロバの西でロシア軍が前進したという29日付位置情報映像の情報を報告した。[43]。2024年1月4日には、ロシア軍がテルニーの東でさらに前進したことを戦争研究所が確認した。[44]

脚注

[編集]
  1. ^ CDS Daily brief (15.02.23) | CDS comments on key events 防衛戦略センター
  2. ^ «Я смотрела на раненых в надежде увидеть сына живым». Как мать погибшего в Украине российского военного более полугода разыскивала его BBC
  3. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, OCTOBER 3”. Institute for the Study of War. 2022年10月3日閲覧。
  4. ^ Russian 25th army fully staffed, takes up positions near Kreminna – Yevlash ウクルインフォルム
  5. ^ Український наступ. Що сталося на Слобожанщині? LB.ua
  6. ^ Russian Offensive Campaign Assessment, December 8, 2023 戦争研究所
  7. ^ Russian Offensive Campaign Assessment, December 20, 2023 戦争研究所
  8. ^ ロシアの反撃か。露軍がクレミンナに精鋭を注入。ゼレンスキー大統領「ベラルーシ国境からの脅威」に言及。 Yahoo!ニュース
  9. ^ Russian Offensive Campaign Assessment, May 18, 2023 戦争研究所
  10. ^ Russian Offensive Campaign Assessment, July 9, 2023 戦争研究所
  11. ^ Russian Offensive Campaign Assessment, April 3, 2023 戦争研究所
  12. ^ Russian Offensive Campaign Assessment, December 6, 2023 戦争研究所
  13. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, OCTOBER 3”. Institute for the Study of War. 2022年10月3日閲覧。
  14. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, OCTOBER 7”. Institute for the Study of War. 2022年10月7日閲覧。
  15. ^ Тільки заїхали на нові позиції: ЗСУ розгромили окупантів в районі Кремінної スロヴォイディロ
  16. ^ 【舛添直言】プーチンが「核使用」を決断する可能性はどれくらいあるか 日本ビジネスプレス
  17. ^ Recap Deployment Map changes – Week 39 ミリタリー・ランド
  18. ^ Endless Russian assaults near Kreminna test Ukraine’s defenses キーウ・インディペンデント
  19. ^ 🪖 #на_нулі "Напевно, найважче на війні — бути піхотинцем. На своїх плечах вони несуть найбільший тягар боїв. Сьогодні АрміяInform 第67独立機械化旅団 第2機械化大隊 Facebook
  20. ^ "Сталевий кулак": Мінометники батальйону "Донбас" розповіли, як нищать ворожу техніку ドゥムカ
  21. ^ Russia's Donbas offensive advances with fall of Kreminna”. Amp.france24.com (2022年4月19日). 2022年5月31日閲覧。
  22. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, SEPTEMBER 30”. Institute for the Study of War. 2022年9月30日閲覧。
  23. ^ The Battle of Kreminna is underway”. Michael Mackay Twitter. 2022年10月2日閲覧。
  24. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, OCTOBER 3”. Institute for the Study of War. 2022年10月3日閲覧。
  25. ^ ウクライナ東部クレミンナ、ロシアが「大量の予備兵」を投入”. CNN (2022年12月28日). 2023年1月3日閲覧。
  26. ^ ロシア軍司令部が市内離れる、民間人も退去 ルハンスク州要衝クレミンナ”. CNN (2022年12月29日). 2023年1月4日閲覧。
  27. ^ 激戦地・補給路66号幹線道路の攻防。ウクライナの勝利が間近か”. 今井佐緒里 (2023年1月3日). 2023年1月4日閲覧。
  28. ^ 激戦地・補給路66号幹線道路の攻防。ウクライナの勝利が間近か”. 今井佐緒里 (2023年1月3日). 2023年1月4日閲覧。
  29. ^ ロシア軍、東部ドンバス地方で攻勢強める…州知事「絶え間ない攻撃を受けている」” (2023年2月10日). 2023年3月16日閲覧。
  30. ^ *** *****!「ロシアの東部攻勢、思ったより勢いがない気もしてきたが、①これは威力偵察でありこれから本丸が来る、②これは陽動であり他の正面で大攻勢を計画している、③本当にこれが限界、のどれだろうぬ(さすがに③ではないと思う)[1]
  31. ^ *** *****!「まさかそうではないだろう、と思う反面、もう半月も大攻勢やっていて、予備兵力があるならいい加減投入しているだろうという気もやはり強くする[2]
  32. ^ J.like JJ「8/ True that Ru have gained some grounds and still attacking like in the direction of #Nevske, but not "close" enough to close the deal. Also #AFU still on the West part of #Chervonopopivka cross fingers there too.. or again, it won't be good for entre line of defense there..[3]
  33. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, FEBRUARY 27, 2023”. ISW (2023年2月27日). 2023年1月16日閲覧。
  34. ^ Ukrine Weapons Tracker「#Ukraine: A Russian T-80BV tank was destroyed by Ukrainian fire in the vicinity of Chervonopopivka, #Luhansk Oblast.[4]
  35. ^ WarMonitor「25th air assault Brigade hit and destroyed 5 main battle tanks of Russian forces near Chervonopopivka[5]
  36. ^ Active hostilities take place in Chervonopopivka near Kreminna”. Espreso TV (2023年3月17日). 2024年1月5日閲覧。
  37. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, MARCH 17, 2023”. ISW (2023年3月17日). 2024年1月5日閲覧。
  38. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, JULY 10, 2023”. ISW (2023年7月10日). 2024年1月5日閲覧。
  39. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, JULY 12, 2023”. ISW (2023年7月12日). 2024年1月5日閲覧。
  40. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, SEPTEMBER 26, 2023”. ISW (2023年9月26日). 2024年1月5日閲覧。
  41. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, DECEMBER 6, 2023”. ISW (2023年12月6日). 2024年1月5日閲覧。
  42. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, DECEMBER 24, 2023”. ISW (2023年12月24日). 2024年1月5日閲覧。
  43. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, DECEMBER 24, 2023”. ISW (2023年12月30日). 2024年1月5日閲覧。
  44. ^ RUSSIAN OFFENSIVE CAMPAIGN ASSESSMENT, JANUARY 4, 2024”. ISW (2024年1月4日). 2024年1月5日閲覧。

注釈

[編集]
  1. ^ ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領府顧問は2月9日に「既にロシア軍は攻勢を始めている」と述べている[29]ものの、3月16日現在でもロシア軍はめぼしい戦果をあげておらず、小泉悠は自身のTwitterにて「①これは威力偵察でありこれから本丸が来る、②これは陽動であり他の正面で大攻勢を計画している、③本当にこれが限界[30](2月14日)」、「もう半月も大攻勢やっていて、予備兵力があるならいい加減投入しているだろうという気もやはり強くする[31](3月7日)」と指摘しており、攻勢と呼べるほどの占領地拡大はできていない。