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猫ちぐら

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
道の駅関川における猫ちぐらの製作実演風景

猫ちぐら(ねこちぐら)、猫つぐら(ねこつぐら)とは、新潟県および長野県産の稲わらや紙紐を編んで作った猫用の寝床の一種[1]。新潟県関川村秋山郷(新潟県津南町と長野県栄村[2])、新潟県長岡市小国[3]山古志[4]、新潟県出雲崎町[5]民芸品である。関川村および長岡市山古志、出雲崎町[5]では「猫ちぐら」と呼び、秋山郷および長岡市小国では「猫つぐら」と呼ぶ。

概要

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猫ちぐらの原型は、人間のあかんぼう用に藁(わら)で編んだゆりかごつぐら[6]:74(または「ちぐら」[7])。あかんぼうを入れて田んぼのあぜ道の目の届くところに置き、農作業をしながら子どもをあやしていたが、それがいつの間にか飼い猫のためにもつくるようになった。

猫ちぐらに入っているねこ

現代になって用に作られたちぐら(つぐら)は、かまくら型のものが一般的に認められ、広く行き渡っている。また、製作者の創意により種々の形状があり、屋根に開口部を設けた傍系も存在する。猫は暗いところ、狭いところに入り込む習性があるため[8]、猫ちぐら(猫つぐら)を与えられると自分から喜んで入るという。

なお、作り手(作家)それぞれの作品には作風があり、名人と呼ばれる存在が各地にいるが、高齢化が進み人数の減少が顕著なため、若手作家の育成が急務と言われている[9]。猫ちぐら(猫つぐら)1個を作るために、製作に要する日数は約1週間。使用するわらはコシヒカリ約20把である[9]

長野県栄村にある平滝郵便局では、2014年10月1日より風景印に猫つぐらがデザインされているものを使用している[10]

歴史

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江戸後期の猫ちぐら(深川江戸資料館)

江戸後期には江戸でも用いられていた。浮世絵師の歌川広重 (3代目)は『百猫画譜』第八号十頁表「猫ちぐら」にて猫ちぐらに猫が入っている様子を描いている[11]。また、深川江戸資料館に再現されたものは猫が上から出入りするようになっており、横の口は覗き窓となっている。

関川村においては、村の豪農の番頭が愛猫のために作ったのが始まりだとも言い伝えられており[7]、村の古老の記憶では、大正時代にはすでに猫ちぐらがあったという[6]

1980年頃から商品として売り出されている[7]

特徴

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その他

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いやしの猫のモニュメント

関川村のお野立公園[13]には猫ちぐらのオブジェ「いやしの猫のモニュメント」[14]がある。このオブジェは、漫画「魔法陣グルグル」の巻末のオマケマンガにおいて「猫ちぐら」とともに紹介されたことがある[15]:184

脚注

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注釈

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  1. ^ 一般的に、紙紐の材料として古紙が使われている。古紙利用率の高い日本では、ポリアクリルアミドを主成分とする乾燥紙力増強剤を使って強度を補完することが広く行われている。ポリアクリルアミドは、製紙用の乾燥紙力増強剤の他に、塗料原油の三次回収助剤、廃水処理用の凝集剤にも用いられる。
  2. ^ 主に重包装用途(例:セメント運搬用の紙袋)やクラフト粘着テープなどに使用される。木材チップを薬品(苛性ソーダ)で煮て、木材中の繊維を取り出し製造されたクラフトチップを原料としている。

出典

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  1. ^ 誠文堂新光社『猫つぐらの作り方 : 藁や紙紐で編む猫の家』誠文堂新光社、2016年。ISBN 9784416315552国立国会図書館書誌ID:027346233https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I027346233 
  2. ^ 沈恵園, 石川義宗, 青木宏展, 植田憲「長野県栄村における伝統的工芸品「猫つぐら」の魅力と価値の再発見」『日本デザイン学会研究発表大会概要集』第68巻、日本デザイン学会、2021年、380頁、CRID 1390854117455105792doi:10.11247/jssd.68.0_380 
  3. ^ マロンが広告に一役 市役所売店で猫つぐらを販売 - 森民夫のほっと一息”. 森民夫 (2009年12月28日). 2016年7月12日閲覧。
  4. ^ 春来たり せっせと猫ちぐら作り 長岡山古志”. 47news (2018年3月15日). 2018年7月20日閲覧。
  5. ^ a b “いずも雑貨 良い物見つけた! 猫ちぐら 猫ちぐら工房げん” (PDF), 広報いずもざき (出雲崎町) (2016年11月8日号): p. 13頁, (2016-11-08), https://www.town.izumozaki.niigata.jp/_files/00020787/koho2016_1108_No498.pdf 
  6. ^ a b 五月書房“猫ちぐら”編集部 編『しあわせ猫ちぐら-猫と人とふるさとの写真帖 越後せきかわで、こんだニャンコと人におだよ。』新潟県関川村・猫ちぐらの会監修、五月書房、2010年7月。ISBN 978-4-7727-0485-4 
  7. ^ a b c 猫も満足 人の心癒やす技”. 新潟文化物語. file-73 雪国の手仕事 温かさあふれる手仕事. 新潟県. 2018年7月20日閲覧。
  8. ^ 狭くて暗い場所が好き~不思議な行動に現れる猫の本能や習性を知る”. 2017年12月25日閲覧。
  9. ^ a b c 猫ちぐらについて。新潟県関川村の名産品・伝統民芸品・工芸品「猫ちぐら」です。”. 2017年12月25日閲覧。
  10. ^ 平滝郵便局”. 日本郵便 (2014年10月1日). 2018年7月21日閲覧。
  11. ^ 坂本葵 (2018-01-29). 猫の浮世絵 「江戸の猫七変化」の巻. アドレナライズ 
  12. ^ 関川村猫ちぐらの会”. 2017年12月25日閲覧。
  13. ^ 公園”. 新潟県関川村の観光情報. 関川村自然環境管理公社. 2021年7月4日閲覧。
  14. ^ いやしの猫のモニュメント(珍風景番号53)”. 新潟県 (2021年1月22日). 2021年7月4日閲覧。
  15. ^ 衛藤ヒロユキ魔法陣グルグル』 14巻、エニックス〈ガンガンコミックス〉、2001年11月1日。ISBN 978-4757505827 

関連項目

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外部リンク

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