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実語教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

実語教(じつごきょう)は、平安時代末期から明治初期にかけて普及していた庶民のための教訓を中心とした初等教科書である。

概要

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下学集』(文安元年(1444年)成立)の序文に、『童子教』とともに童蒙学習書の筆頭に挙げられている。『図書寮本類聚名義抄』(康和4年(1103年)までに成立)に載っているので、それ以前に成立したとみられる。長門本「平家物語」巻8、無住の「雑談集」に見えるから鎌倉時代には流布していた。著者は不明であるが、その内容から仏教関係者であると推定され、江戸時代寺子屋習字本兼修身書として用いられた。

内容

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三学(善い行い、乱れない心、智恵を学び本当のことに気づく)

七学(気づく、心が見える、努力、喜びを感じる、落ち着く、意識を留める、動じない)

四等(楽しみを与え共に喜ぶ心、苦しみを抜き去り共に悲しむ心、共に喜ぶ優しい心、平等に見る優しい心)

八苦(生まれる苦、老いる苦、病気の苦、死の苦、好きな人と別れる苦、嫌いな人と会う苦、欲しいものが買えない苦、不安の中で生きる苦)

八正道(正しく見る、思う、話す、振舞う、働く、努力する、心を集中する、気づく)

十悪(酷い行いをする、不正な行いをする、淫らな行いをする、真実に反する言葉を言う、人の悪い噂をす、悪口を言う、嘘をつく、欲張る、怒る感情を持つ、愚かな見解を持つ)

参考文献

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  • 齋藤孝『子どもと声に出して読みたい「実語教」 日本人千年の教科書』致知出版社、2013年3月。ISBN 978-4-88474-988-0 
  • 『実語教童子教 研究と影印』三省堂、1999年2月。ISBN 4-385-35847-8 

外部リンク

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