大阪港トランスポートシステム
種類 | 株式会社 |
---|---|
市場情報 | 非上場 |
略称 | OTS |
本社所在地 |
日本 〒559-0031 大阪府大阪市住之江区南港東四丁目10番108号 大阪南港トラックターミナル管理棟2階[1] |
設立 |
1974年(昭和49年)7月10日[1] (株式会社大阪南港複合ターミナル) |
業種 | 倉庫・運輸関連業 |
法人番号 | 3120001031962 |
事業内容 | トラックターミナル・流通施設管理事業・第三種鉄道事業他 |
代表者 | 代表取締役 薮内 弘[1] |
資本金 | 50億円 |
売上高 |
13億6,847万円 (2024年3月期)[2] |
営業利益 |
3億8,527万6,000円 (2024年3月期)[2] |
経常利益 |
3億4,952万6,000円 (2024年3月期)[2] |
純利益 |
2億2,218万7,000円 (2024年3月期)[2] |
純資産 |
134億9,582万2,000円 (2024年3月期)[2] |
総資産 |
248億737万8,000円 (2024年3月期)[2] |
従業員数 |
4人 (2018年3月31日現在[3]) |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 |
大阪市 69.56% 三井住友銀行 3.33% 三菱UFJ銀行 3.33% りそな銀行 2.95% みずほ銀行 2.95% 日本トラスティ・サービス信託銀行 (信託口) 2.95% (2019年3月31日現在[4]) |
外部リンク | http://www.opts.co.jp/ |
株式会社大阪港トランスポートシステム(おおさかこうトランスポートシステム、英: Osaka Port Transport System Co., Ltd.)は、大阪府大阪市内で鉄道事業とトラックターミナルその他流通施設管理などを行っている第三セクター会社。大阪市などが出資している。略称はOTS。本社は大阪府大阪市住之江区南港東四丁目10番108号、大阪南港トラックターミナル管理棟2階。
沿革
[編集]- 1974年(昭和49年)7月10日 - 株式会社大阪南港複合ターミナルとして設立。
- 1976年(昭和51年)10月4日 - 大阪南港トラックターミナル開業。
- 1989年(平成元年)8月 - 大阪港トランスポートシステムに商号変更。
- 1997年(平成9年)
- 2005年(平成17年)7月1日 - 大阪市交通局へテクノポート線の運営を移管、ニュートラムテクノポート線の施設・車両を譲渡。大阪港トランスポートシステムは第三種鉄道事業者となる(詳細は路線の節にて後述)。
- 2009年(平成21年)
トラックターミナル・流通施設管理事業
[編集]本来の事業として、長距離を走る大型路線トラックと市内を走る小型集配車を中継する機能を持つトラックターミナルや流通倉庫などの運営を行っている。これらの拠点はすべて大阪市住之江区にある。
- トラックターミナル
- 駐車場・車両整備設備
- 大阪区域トラックセンター
- 大阪南港海上コンテナシャーシプール
- 流通倉庫
- 大阪港化学品センター
- 大阪南港R物流センター
- 南港航空貨物ターミナル
鉄道事業
[編集]鉄道事業として、Osaka Metro中央線の大阪港駅からコスモスクエア駅まで、およびOsaka Metro南港ポートタウン線のコスモスクエア駅からトレードセンター前駅までの区間における線路を保有している。2005年6月30日までは大阪港 - コスモスクエア - 中ふ頭間を大阪港トランスポートシステムが「南港・港区連絡線」として直接運営していた(詳細は路線の節を参照)。
大阪南港の埋立地に、新たな集客施設として大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC。現在の大阪府咲洲庁舎)やアジア太平洋トレードセンター(ATC)といったタワー型ビルや商業施設が開設されたが、鉄道による交通アクセスが大阪市交通局南港ポートタウン線(現在のOsaka Metro南港ポートタウン線。愛称ニュートラム)しかないという欠点があった。梅田や難波など市内中心部からは、大阪市営地下鉄四つ橋線(現在のOsaka Metro四つ橋線)を経由し住之江公園駅乗り換えでニュートラムを利用するしかなく遠回りで時間がかかるという不便さが災いし、バブル崩壊による不況も重なって企業誘致が思うように進まず空き地だらけなうえに、一度は南港に移転した企業の中には再び都心部へ戻ってしまった企業もあるという悪循環であった。その不便さを解消するために計画されたのが、大阪港駅と中ふ頭駅を結ぶ鉄道路線であった。
ただ、路線が計画された当時は、当区間の建設が公共輸送とは認められず[注釈 1]、「利益誘導」と見做されたため、公共交通の事業者(ここでは大阪市)の路線としては不適格との見解から、大阪市営地下鉄中央線(現在のOsaka Metro中央線)の延伸線としては国から建設費の補助を受けられなかった。そのため、建設費軽減を目的に、第三セクターである大阪港トランスポートシステムに白羽の矢を立て、同社が鉄道路線を建設し、かつ中央線とは「別会社、別路線」扱いにして運営も委ねることで、当区間の建設に漕ぎ付けた。
当初は大阪港 - 中ふ頭の全区間をニュートラムで結ぶ計画(南港テクノポート線)であったが、コスモスクエア駅周辺でのライブホール(Zepp Osaka。1998年開設、2012年閉鎖)の観客輸送など開業後の輸送需要を勘案し、最終的に中ふ頭 - コスモスクエア間はニュートラム(ニュートラムテクノポート線)、コスモスクエア - 大阪港間は中央線と同様の第三軌条方式(テクノポート線)に変更された。
路線
[編集]- 現有区間(ともに大阪港トランスポートシステムが第三種鉄道事業者、大阪市高速電気軌道〈Osaka Metro〉が第二種鉄道事業者)
- 譲渡区間(軌道事業)
- ニュートラムテクノポート線 トレードセンター前 - 中ふ頭 0.7km
2005年6月30日までは大阪港 - 中ふ頭間を南港・港区連絡線として大阪港トランスポートシステムが直接運営しており、愛称は大阪港 - コスモスクエア間がテクノポート線、コスモスクエア - 中ふ頭間がニュートラムテクノポート線であった。
- 未成区間(大阪港トランスポートシステムが第一種鉄道事業者)
大阪港 - コスモスクエア間およびコスモスクエア - 中ふ頭間は1997年の開業以来、大阪港トランスポートシステムが第一種鉄道事業者(大阪港 - コスモスクエア - トレードセンター前間)、軌道事業者(トレードセンター前 - 中ふ頭間)として直接運営していたが、直通運転している大阪市交通局の地下鉄・ニュートラムと運賃体系が別立てであったため[注釈 2]、運賃が割高となり[注釈 3]、開業当初見込みよりも利用者数が低迷していた。
そのため、2005年7月1日に大阪市交通局へ線路以外の鉄道施設・車両を譲渡して、同局が第二種鉄道事業者として路線を運営することで、同局の地下鉄などと運賃体系を統一して運賃値下げを図ることになった。同時に大阪港トランスポートシステムは線路の保有のみを行う、大阪港 - コスモスクエア - トレードセンター前間の第三種鉄道事業者となった[9][10][11]。これにより日本の新交通システムでは唯一であった異なる事業者間での直通運転は消滅した。
乗務員は、OTS線内も交通局の乗務員が通しで乗務していた。
大阪市交通局は、2018年4月1日の市営交通の民営化に伴い廃止され、第二種鉄道事業者は交通局の地下鉄・ニュートラムの事業を継承した大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)となった。
また、コスモスクエア駅から大阪港上の人工島である夢洲(ゆめしま)の夢洲駅、舞洲(まいしま)の舞洲駅(仮称)を経て此花区の新桜島駅(仮称)へ延びる「北港テクノポート線」の開業を目指して事業化に着手したが、最大の目的であった2008年の大阪オリンピック招致に失敗したことからその採算性を問題視され、コスモスクエア駅 - 夢洲駅間の沈埋トンネル「夢咲トンネル」のみが建設された。同トンネルの鉄道部分は準備工事のみで、道路部分のみが2009年8月1日に先行開通している[12]。その後、コスモスクエア - 夢洲間(南ルート)については夢洲が2025年日本国際博覧会の会場として決定したことなどを受け、2019年に事業が再開されている。南ルートについては2023年8月にOsaka Metroが第二種鉄道事業許可を申請しており[13]、大阪港駅 - コスモスクエア駅間と同様に大阪港トランスポートシステムが線路を保有し、Osaka Metroが運営する形になる予定である[14]。
車両
[編集]大阪港トランスポートシステムはテクノポート線・大阪市営地下鉄中央線(現:Osaka Metro中央線)・近畿日本鉄道(近鉄)東大阪線(現:けいはんな線)用の自社車両としてOTS系を保有していたが、2005年7月に大阪市交通局に譲渡され、中央線で24系50番台として走行した後、近鉄けいはんな線との相互直通運転区間拡大に伴う車両転用計画に基づき22系に改造され、大阪市営地下鉄谷町線(現:Osaka Metro谷町線)へ移籍した。移籍後は、OTS系独特の塗装やオーシャンブルーの座席を見ることはできなくなったが、床や化粧板などは現在もOTS時代のままである。前述の通り、近鉄けいはんな線(生駒駅 - 学研奈良登美ヶ丘駅)開業前の2006年3月以前に全編成が転属したため、生駒以東に営業列車で乗り入れたことはない。
また、ニュートラム用の100A系も33 - 35編成がOTS100系を名乗っていたが、こちらも2005年7月の大阪市交通局譲渡時に100A系に編入された。100A系編入後もOTSカラーのままで、車内も座席以外はそのままだった。2016年に第33編成と第35編成が廃車となり、第34編成のみが唯一Osaka Metroに継承されたが[15]、2019年に運用を終了した。
不祥事
[編集]大阪港トランスポートシステムが当時管理を受託していた大阪港咲洲トンネルの通行回数券が、約1万1,000枚(約2億2,800万円分)に亘り紛失していたことが、同社の内部調査により、2009年2月16日に発覚した。また、同回数券の利用実績が、販売実績を上回る異常事態も起こった。トンネル管理事務所の当時の所長で販売管理担当をしていた元社員の男性が横流しした疑いがもたれた[16][17]。
同社は、この元社員を、業務上横領で告訴した上、約2億円の損害賠償を求め大阪地裁に訴えを起こした[18]。2010年5月17日に、大阪府警察捜査2課がこの元社員を業務上横領の容疑で逮捕した[19]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c “会社概要”. 株式会社大阪港トランスポートシステム. 2016年10月13日閲覧。
- ^ a b c d e f 株式会社大阪港トランスポートシステム 第50期決算公告
- ^ 鉄道統計年報平成29年度版 - 国土交通省
- ^ 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』令和元年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会
- ^ 『鉄道ジャーナル』第32巻第3号、鉄道ジャーナル社、1998年3月、56-57頁。
- ^ “大阪港咲洲トンネル・夢咲トンネルのご案内”. 阪神高速道路株式会社. 2019年8月18日閲覧。
- ^ “事業内容”. 株式会社大阪港トランスポートシステム. 2018年11月24日閲覧。
- ^ “平成30年度事業再評価にかかる対応方針の決定について(平成31年2月)”. 大阪市 (2019年3月29日). 2019年8月12日閲覧。
- ^ 「OTS線鉄道料金 平成17年7月下旬値下げに向けて手続きを行います」(InternetArchive) 大阪市交通局、2005年2月9日。
- ^ 「OTS線の事業主体変更等に向けた申請書・届出書の提出について」(PDF, InternetArchive) 大阪市交通局、2005年4月21日。
- ^ 「OTS線を交通局が一体的に運営し、通算料金とします」(PDF, InternetArchive) 大阪市交通局、2005年6月7日。
- ^ 「大阪五輪の夢の跡、夢咲トンネル8月開通へ…利用見込めず Archived 2009年2月15日, at the Wayback Machine.」読売新聞 2009年2月12日
- ^ “北港テクノポート線(コスモスクエア駅から夢洲駅間)の第二種鉄道事業許可を申請しました|Osaka Metro”. Osaka Metro. 2023年9月2日閲覧。
- ^ “Osaka Metroの第2種鉄道事業許可申請及び夢洲新駅の駅名を決定しました”. 大阪市. 2023年9月2日閲覧。
- ^ “【大阪メトロ】イルミネーション列車運転”. RMニュース (鉄道ホビダス). (2018年12月27日)
- ^ “トンネル通行回数券2億2000万円分行方不明に 大阪”. 産経新聞. (2009年2月16日). オリジナルの2009年2月21日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大阪港トンネル回数券2億円分不明、3セク元社員横流しか”. 読売新聞. (2009年2月17日)[リンク切れ]
- ^ “大阪、トンネル回数券不明で提訴 元所長に2億円の損害賠償”. 47NEWS(よんななニュース). (2009年7月25日). オリジナルの2012年7月21日時点におけるアーカイブ。
- ^ “大阪市の三セク元所長を逮捕 トンネル回数券横領容疑”. 47NEWS(よんななニュース). (2010年5月17日). オリジナルの2009年7月17日時点におけるアーカイブ。