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十字屋敷のピエロ

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十字屋敷のピエロ』(じゅうじやしきのピエロ)は、東野圭吾推理小説。単行本は講談社から1989年に刊行され、1992年に講談社文庫版が刊行された。

概要

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資産家一族に降りかかる惨劇の様子が、ピエロ人形「僕」の視点を交えながら語り継がれて行く本格長編推理小説。ただの人形でしかない「僕」に対しては、犯罪者達も無防備だった。ラストには、「僕」の心に澱を残す、意外な結末が用意されている。

あらすじ

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竹宮産業の社長一家が暮らす十字屋敷に、「ピエロ人形」が持ち込まれる。そしてその夜、女社長の頼子が飛び降り自殺をしてしまう所を、ピエロ人形だけが見ていた。

頼子の四十九日、頼子の妹である母の琴子に「頼子の死の真相を探ってくれ」と頼まれ、竹宮水穂は十字屋敷を訪れる。頼子の娘で従妹の佳織が歓迎し、祖母の静香や家政婦の鈴枝にも挨拶していると、ピエロ人形を作った人形師の息子 悟浄が訪ねてくる。悟浄によると、「持ち主に不幸をもたらす悲劇のピエロ」であり買い取らせてほしいと懇願されるが、所有者である当主の宗彦が外出していたため出直してもらうことになる。

夜の晩餐会には、十字屋敷に下宿している大学院生の青江、出入りの美容師の永島、会社役員の松崎、頼子の下の妹の和花子と夫の勝之たちが集まる。その深夜、宗彦がオーディオ・ルームで刺殺されるのを、ピエロ人形だけが見ていた。

翌朝になり、宗彦の死体が発見され、その横には宗彦の不倫相手である秘書の三田理恵子もナイフで胸を突かれて亡くなっていた。警察は外部犯の可能性を追うが、水穂は内部犯である可能性を疑う。青江によると、水穂以外の人間はみんな少なからず宗彦を憎んでおり、動機はあったという。

登場人物

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竹宮水穂 (たけみや みずほ)
琴絵の娘。佳織の従姉。25歳。
竹宮家の十字屋敷に1年ぶりに帰ってきた。
竹宮宗彦 (たけみや むねひこ)
竹宮産業の三代目社長。前社長である竹宮頼子の夫。
皆から少なからず恨みを買っている。様々なパズルの収集を趣味にしている。
竹宮佳織 (たけみや かおり)
宗彦・頼子の一人娘。水穂の従妹。22歳。
生まれた頃から足が不自由で、車椅子に乗っている。
竹宮幸一郎 (たけみや こういちろう)
竹宮産業の創始者で、故人。1年半前に病気で亡くなっている。
林業からスタートし、不動産・レジャー産業まで取り扱う竹宮産業を一代で築いた。
竹宮静香 (たけみや しずか)
竹宮産業の創始者・幸一郎の妻。頼子の実母。
竹宮頼子 (たけみや よりこ)
竹宮産業の二代目社長。幸一郎の長女。宗彦の嫁。佳織の母。
冒頭において、飛び降り自殺をして亡くなる。
竹宮琴絵 (たけみや ことえ)
幸一郎の次女。水穂の母。
日本画家で、年中アトリエにこもって創作活動をしており、四九日にも出席していない。娘の水穂いわく「変人」。
近藤和花子 (こんどう わかこ)
幸一郎の三女。
近藤勝之 (こんどう かつゆき)
和花子の夫。竹宮産業取締役。
青江仁一 (あおえ じんいち)
十字屋敷に下宿している大学院生。
永島正章 (ながしま まさあき)
竹宮家に出入りする美容師。
松崎良則 (まつざき よしのり)
頼子たちの従兄。竹宮産業取締役。
三田理恵子 (みた りえこ)
宗彦の秘書。
梅村鈴枝 (うめむら すずえ)
竹宮家の家政婦。
悟浄真之介 (ごじょう しんのすけ)
ピエロ人形を追う人形師。ピエロ人形を買い取りたいと願い出る。
ピエロ
悟浄の父が作った人形。悲劇を呼ぶといわれる。