ヴェーダーンガ
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インド哲学 - インド発祥の宗教 |
ヒンドゥー教 |
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ヴェーダーンガ(vedāṅga)とは、古代インドのスムリティ(smṛti、聖伝文学)の一種で、バラモンが祭祀を適切に行うための6種類のヴェーダの補助学をいう。文字通りには「ヴェーダの四肢(aṅga)」を意味する。
内容
[編集]ヴェーダーンガは以下の6つの学問から構成される[1]。
- シクシャー(śikṣā) - ヴェーダを正確に唱えるための音声学。
- カルパ (kalpa) - 祭祀の行い方に関する規定。
- ヴィヤーカラナ(vyākaraṇa) - ヴェーダを正確に理解するための文法学。
- ニルクタ(nirukta) - 語源学。とくにヴェーダに使用される古語を集めて解釈したもの[2]。
- チャンダス (chandas) - ヴェーダの韻律の学問。
- ジヨーティシャ (jyotiṣa) - 時節に応じた祭儀を行うための天文学、占星術。
このうち、カルパについては、ある学派に属するスートラ(経典、バラモン教ではシュルティ(śruti、天啓文学)より新しい層に属するヴェーダの注釈を指す)の全部が『カルパ・スートラ』の名でまとめられた[3]。『カルパ・スートラ』には、大規模な祭祀に関するシュラウタ・スートラ(śrautasūtra、天啓経)、祭壇の寸法などを記したシュルバ・スートラ[1](śulbasūtra または śulvasūtra、祭壇経)、小規模な祭祀に関するグリヒヤ・スートラ(gṛhyasūtra、家庭経)、バラモンの行動規範を示すダルマ・スートラ(dharmasūtra)が含まれる。
これらのスートラはブラーフマナ時代よりも新しく、言語学上の証拠からパーニニの文法と同じころに書かれたと考えられている[4]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- Macdonell, A.A. (1900). A History of Sanskrit Literature. New York: D. Appleton and Company