レスリー・ランポート
レスリー・ランポート Leslie Lamport | |
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生誕 |
Leslie B. Lamport 1941年2月7日(83歳) アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク |
研究分野 | 計算機科学 |
研究機関 | |
出身校 |
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博士論文 | The analytic Cauchy problem with singular data (1972) |
博士課程 指導教員 | リチャード・パレイ[1] |
主な業績 |
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主な受賞歴 |
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公式サイト lamport | |
プロジェクト:人物伝 |
レスリー・B・ランポート(Leslie B. Lamport、1941年2月7日 - )は、アメリカ合衆国の計算機科学者である。
分散システムの先駆的な研究で知られる。文書作成システムLaTeXの最初の開発者であり、その最初のマニュアルの著者でもある[2][3]。ランポートは、自律的に動作する複数のコンピュータがメッセージをやり取りして相互に通信を行う分散コンピューティングシステムの一見するとカオスな振る舞いに、明確でWell-definedな一貫性を課したことで、2013年のチューリング賞を受賞した[4]。彼は、実際の分散システムの品質を向上させるための重要なアルゴリズムを考案し、その形式モデルと検証プロトコルを開発した。これらの貢献は、コンピュータシステムの正確性、性能、信頼性の向上につながっている[5][6][7][8][9]。
若年期と教育
[編集]ブロンクス科学高校を卒業した。マサチューセッツ工科大学で1960年に数学の学士号を、ブランダイス大学で1963年に数学の修士号、1972年に数学のPh.D.を取得した[10]。彼の博士論文は解析的偏微分方程式の特異点に関するものであった[11]。
キャリアと研究
[編集]1970年から1977年までマサチューセッツ・コンピュータ・アソシエイツ(COMPASS)、1977年から1985年までSRIインターナショナル、1985年から2001年までデジタル・イクイップメント・コーポレーション(DEC、1998年にコンパックにより吸収合併)に計算機科学者として在籍した。2001年にカリフォルニア州マウンテンビューにあるマイクロソフトリサーチに入社した[10]。
分散システム
[編集]ランポートの研究は、分散システムの理論の基礎の構築に貢献してきた。彼の注目すべき論文には、以下のものがある。
- "Time, Clocks, and the Ordering of Events in a Distributed System",[6] - 2000年のダイクストラ賞を受賞[12]
- "How to Make a Multiprocessor Computer That Correctly Executes Multiprocess Programs"[13] - 逐次一貫性の表記法を定義した。
- "The Byzantine Generals' Problem"[14]
- "Distributed Snapshots: Determining Global States of a Distributed System"[15]
- "The Part-Time Parliament"[16]
これらの論文は、論理クロック(およびHappened-Before関係)やビザンチン障害などの概念に関連している。これらの論文は、計算機科学の分野で最も引用されている論文の一つであり[17]、分散システムにおける多くの基本的な問題を解決するための、以下に掲げるアルゴリズムを記述している。
- 合意のためのPaxosアルゴリズム
- コンピュータシステムにおける同時に同じリソースを必要とする複数のスレッドの相互排除のためのパン屋のアルゴリズム
- 一貫性のあるグローバルな状態(スナップショット)を決定するためのチャンディ=ランポートのアルゴリズム
- デジタル署名のプロトタイプの1つであるランポート署名
LaTeX
[編集]1980年代初頭にドナルド・クヌースがTeXの初版をリリースしてから、ランポートは本を書きたいという個人的な欲求から、それが後に標準のマクロパッケージになることを期待して、TeXをベースにしたマクロのセットの作成を始めた。この一連のマクロは後にLaTeXとして知られるようになった。ランポートは1983年にアディソン-ウェスリーの編集者であるピーター・ゴードンから、LaTeXのユーザーマニュアルを書籍化することを提案された[18][19]。
1984年9月、ランポートはLaTeXのバージョン2.06aをリリースし、1985年8月にはランポートによるLaTeXの最後のバージョンであるLaTeX 2.09がリリースされた。1986年にランポートによる初のLaTeXユーザーマニュアルLaTeX: A Document Preparation Systemが刊行された。1989年8月21日、スタンフォード大学で開かれたTeXユーザーグループの会議で、ランポートはLaTeXのメンテナンスと開発をフランク・ミッテルバッハに移管することに同意した。ミッテルバッハはクリス・ローリー、Rainer SchöpfとともにLaTeX3チームを結成し、1994年にLaTeXの現在のバージョンであるLaTeX 2eをリリースした[19][3][20]。
時相論理
[編集]ランポートは時相論理の研究でも知られており、アクションの時相論理(TLA)を導入した[21][22]。
最近の彼の貢献の中には、並行・反応型システムを指定・推論するための言語であるTLA+がある。彼は著書Specifying Systems: The TLA+ Language and Tools for Hardware and Software Engineers[23]でこの言語について記述しており、この言語を「数学に対する技術者の反感を払拭するためのドン・キホーテ的な試み」と定義している[24]。
賞と栄誉
[編集]- 2003年 - レンヌ第1大学 名誉博士号[10]
- 2003年 - クリスティアン・アルブレヒト大学キール 名誉博士号[10]
- 2004年 - IEEEエマニュエル・R・ピオレ賞[25]
- 2004年 - スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EFPL) 名誉博士号[10]
- 2005年 - ダイクストラ賞 論文"Reaching Agreement in the Presence of Faults"[26]に対して[27]
- 2006年 - ルガーノ大学 名誉博士号[10]
- 2007年 - ナンシー大学 名誉博士号[10]
- 2008年 - IEEEジョン・フォン・ノイマンメダル[28]
- 2011年 - 米国科学アカデミー会員[29]
- 2013年 - チューリング賞 「分散・並行システムの理論と実践への基本的な貢献、特に因果性と論理クロック、安全性と生存性、複製状態機械、逐次一貫性などの概念の発明に対して」[30]
- 2014年 - ACMフェロー[31]
- 2019年 - コンピュータ歴史博物館フェロー(コンピュータの殿堂)[32]
- 2019年 - C&C賞
2001年、ランポートの60歳の誕生日を記念して、第20回分散コンピューティングの原理に関するシンポジウム(PODC 2001)で一連の講演が企画された[33]。
脚注
[編集]- ^ レスリー・ランポート - Mathematics Genealogy Project
- ^ Lamport, Leslie (1986). LaTeX: A Document Preparation System. Addison-Wesley. ISBN 978-0-201-15790-1 2019年6月20日閲覧。
- ^ a b “The Definitive, Non-Technical Introduction to LaTeX, Professional Typesetting and Scientific Publishing” (英語). Math Vault (2015年9月5日). 2019年7月19日閲覧。
- ^ Lamport, Leslie (2013年). “Leslie Lamport - A.M. Turing Award Winner”. ACM
- ^ レスリー・ランポート - ACM Digital Library
- ^ a b Lamport, L. (1978). “Time, clocks, and the ordering of events in a distributed system”. Communications of the ACM 21 (7): 558–565. doi:10.1145/359545.359563 .
- ^ 著作一覧 - Microsoft Academic Search.
- ^ Savage, N. (2014). “General agreement: Leslie Lamport contributed to the theory and practice of building distributed computing systems that work as intended”. Communications of the ACM 57 (6): 22–23. doi:10.1145/2601076.
- ^ Hoffmann, L. (2014). “Q&A Divide and Conquer: Leslie Lamport on Byzantine generals, clocks, and other tools for reasoning about concurrent systems”. Communications of the ACM 57 (6): 112–ff. doi:10.1145/2601077.
- ^ a b c d e f g Lamport, Leslie (2006年12月19日). “My Writings”. 2007年2月2日閲覧。
- ^ Lamport, Leslie (1972). The Analytic Cauchy Problem with Singular Data 2007年2月2日閲覧。.
- ^ Neiger, Gil (2003年1月23日). “PODC Influential Paper Award: 2000”. 2013年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年2月2日閲覧。
- ^ Lamport, Leslie (1979). “How to Make a Multiprocessor Computer That Correctly Executes Multiprocess Program”. IEEE Trans. Comput. 28 (9): 690–691. doi:10.1109/TC.1979.1675439. ISSN 0018-9340 .
- ^ Lamport, Leslie; Robert Shostak; Marshall Pease (July 1982). “The Byzantine Generals Problem”. ACM Transactions on Programming Languages and Systems 4 (3): 382–401. doi:10.1145/357172.357176 2007年2月2日閲覧。.
- ^ Chandy, K. Mani; Leslie Lamport (February 1985). “Distributed Snapshots: Determining Global States of a Distributed System”. ACM Transactions on Computer Systems 3 (1): 63–75. doi:10.1145/214451.214456 2007年2月2日閲覧。.
- ^ Lamport, Leslie (May 1998). “The Part-Time Parliament”. ACM Transactions on Computer Systems 16 (2): 133–169. doi:10.1145/279227.279229 2007年2月2日閲覧。.
- ^ “Most cited articles in Computer Science” (September 2006). 2007年10月8日閲覧。
- ^ Lamport, Leslie. “How (LA)TEX changed the face of Mathematics”. 2020年4月26日閲覧。
- ^ a b “The Writings of Leslie Lamport”. lamport.azurewebsites.net. 2019年7月19日閲覧。
- ^ “TeX, LaTeX, and AMS-LaTeX” (1998年12月3日). 1998年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月19日閲覧。
- ^ Lamport, Leslie (1990-04-01). A Temporal Logic of Actions 2007年2月2日閲覧。.
- ^ Lamport, Leslie (May 1994). “The Temporal Logic of Actions”. ACM Transactions on Programming Languages and Systems 16 (3): 872–923. doi:10.1145/177492.177726 2007年2月2日閲覧。.
- ^ Lamport, Leslie (2002). Specifying Systems: The TLA+ Language and Tools for Hardware and Software Engineers. Addison-Wesley. ISBN 978-0-321-14306-8 2007年2月2日閲覧。
- ^ “The International Conference on Dependable Systems and Networks keynote speaker biography”. 2007年3月6日閲覧。
- ^ “IEEE Emanuel R. Piore Award Recipients es”. IEEE. 2010年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年12月31日閲覧。
- ^ Pease, Marshall; Robert Shostak; Leslie Lamport (April 1980). “Reaching Agreement in the Presence of Faults”. Journal of the Association for Computing Machinery 27 (2): 228–234. doi:10.1145/322186.322188 2007年2月2日閲覧。.
- ^ “Edsger W. Dijkstra Prize in Distributed Computing: 2005”. 2007年2月2日閲覧。
- ^ “IEEE John von Neumann Medal Recipients”. IEEE. December 31, 2010閲覧。
- ^ Members and Foreign Associates Elected Archived May 7, 2011, at the Wayback Machine., National Academy of Sciences, May 3, 2011.
- ^ “Turing award 2013”. ACM. 2020年4月26日閲覧。
- ^ ACM Names Fellows for Innovations in Computing Archived 2015-01-14 at the Wayback Machine., Association for Computing Machinery, January 8, 2015.
- ^ “Fellow Awards - CHM”. コンピュータ歴史博物館. 2020年4月26日閲覧。
- ^ “PODC 2001: Lamport Lecture Series”. 2009年7月2日閲覧。
外部リンク
[編集]- Leslie Lamport's Home Page 公式ウェブサイト
- 20世紀の数学者
- 21世紀の数学者
- アメリカ合衆国の計算機科学者
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- 並行・並列・分散コンピューティング関連の研究者
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- マサチューセッツ工科大学出身の人物
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- 存命人物