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ルイス・カッファレッリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Luis Caffarelli
ルイス・カッファレッリ
生誕 (1948-12-08) 1948年12月8日(75歳)
アルゼンチンの旗 アルゼンチン ブエノスアイレス
国籍 アルゼンチンの旗 アルゼンチン
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
研究分野 数学
研究機関 テキサス大学オースティン校
プリンストン高等研究所
シカゴ大学
クーラント数理科学研究所
ミネソタ大学
出身校 ブエノスアイレス大学
博士論文 Sobre Conjugación y Sumabilidad de Series de Jacobi
On Conjugation and Summability of the Jacobi Series
 (1971)
博士課程
指導教員
カリスト・カルデロン(Calixto Calderón)
博士課程
指導学生
オヴィディウ・サヴィン英語版
グイド・デ・フィリッピス英語版
主な受賞歴 ボッチャー記念賞 (1984)
ローマ教皇庁科学アカデミー (1994)
ショック賞 (2005)
スティール賞 (2009)
ウルフ賞数学部門 (2012)
ショウ賞 (2018)
アーベル賞 (2023)
プロジェクト:人物伝
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ルイス・エンジェル・カッファレッリLuis Angel Caffarelli1948年12月8日 - )は、アルゼンチン出身でアメリカ合衆国数学者偏微分方程式とその応用の分野の権威である。

経歴

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カッファレッリはブエノスアイレスで生まれ育ち、ブエノスアイレス大学でで修士号(1968)と博士号(1972)を得た。博士課程の指導教授は、カリスト・カルデロン(Calixto Calderón)だった[1][2]。カッファレッリは現在テキサス大学オースティン校のSid Richardson Chairに就いている。カッファレッリはかつて、ミネソタ大学シカゴ大学、そしてニューヨーク大学クーラント数理科学研究所の教授でもあった。1986年から1996年までは、プリンストン高等研究所の教授を務めていた。

重要な成果

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カッファレッリは、1977年にActa Mathematicaに掲載された画期的な論文『The regularity of free boundaries in higher dimensions』(高次元における自由境界の正則性)により、高い評価を獲得した[3]。それ以降、カッファレッリは障害問題英語版非線型微分方程式英語版において世界的な専門家のリーダーと見なされるようになった。カッファレッリは、モンジュ・アンペール方程式英語版を含む完全非線型楕円型方程式に対する様々な正則性の結果を発展させた。カッファレッリはまた、均質化英語版への貢献でも有名である。近年は、積分微分方程式に関心を移した。

カッファレッリの最も引用され評価された成果の一つは、ルイス・ニーレンバーグロバート・V・コーン英語版との共同研究により得られた『Partial regularity of suitable weak solutions of the Navier–Stokes equations』(ナビエ–ストークス方程式の適切な弱解の部分正則性) の論文であると見なされている[4]

賞と名誉

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1988年、ピウス11世メダル受賞。1991年には米国科学アカデミーの会員に選出された。カッファレッリはパリの高等師範学校 (フランス)ノートルダム大学マドリード自治大学、アルゼンチンのラ・プラタ国立大学から名誉学位を授与された。1984年には、ボッチャー記念賞を受賞した。カッファレッリは科学情報研究所 (ISI) の「最も引用された研究者」の一人にリストされている[5]

2003年、アルゼンチンのコネックス財団英語版は、カッファレッリに、直近の10年間でアルゼンチンで最も重要な科学者であるとして、ダイアモンドコネックス賞英語版を授与した。これは、アルゼンチンで最も有名な賞の一つである。2005年、「非線型偏微分方程式の理論への重要な貢献」に対して、スウェーデン王立科学アカデミーからショック賞が贈られた。2009年には、数学における生涯の業績に対して、スティール賞が授与された。そして2012年、ミハエル・アッシュバッハーと共同で、ウルフ賞数学部門が授与され。アメリカ数学会のフェローとなった[6]。2017年、カッファレッリはヤギェウォ大学にて、ロヤシェヴィチ講義英語版(「分離について」)を行った[7]

2018年、カッファレッリはSIAM (学会)のフェローに指名され[8]、数学におけるショウ賞が授与された[9]2023年アーベル賞受賞[10][11]

著書目録

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査読付学術雑誌における200以上の記事に加えて、以下の2つの書籍を共著している。

  1. Fully Nonlinear Elliptic Equations by Luis Caffarelli and Xavier Cabré (1995), American Mathematical Society. ISBN 0-8218-0437-5
  2. A Geometric Approach to Free Boundary Problems by Luis Caffarelli and Sandro Salsa (2005), American Mathematical Society. ISBN 0-8218-3784-2

出典

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  1. ^ Elaine Kehoe . "Aschbacher and Caffarelli Awarded 2012 Wolf Prize", Notices of the AMS, V. 60 N. 3. April 2013, pp. 474–475
  2. ^ Juan Luis Vázquez . "Entrevista a Luis Caffarelli, Steele Prize de la American Mathematical Society 2009", La Gaceta de la RSME, Vol. 12 (2009), N. 3, pp. 449–455 Archived 2016-03-04 at the Wayback Machine. (in Spanish)
  3. ^ Caffarelli, Luis (1977), “The regularity of free boundaries in higher dimensions”, Acta Mathematica 139: 155–184, doi:10.1007/bf02392236 
  4. ^ Caffarelli, Luis; Kohn, Robert; Nirenberg, Louis (1982), “Partial regularity of suitable weak solutions of the navier-stokes equations”, Communications on Pure and Applied Mathematics 35 (6): 771–831, doi:10.1002/cpa.3160350604 
  5. ^ List of ISI highly cited researchers”. 4 April 2020閲覧。
  6. ^ List of Fellows of the American Mathematical Society, retrieved 2012-11-10.
  7. ^ S. Lojasiewicz Lecture 2018”. www.im.uj.edu.pl. 2018年9月23日閲覧。
  8. ^ “SIAM Announces Class of 2018 Fellows”, SIAM News, (March 29, 2018), https://sinews.siam.org/Details-Page/siam-announces-class-of-2018-fellows 
  9. ^ Shaw Prize 2018
  10. ^ Citation - Luis A. Caffarelli”. 2023年3月30日閲覧。 The Abel Prize (2023/03/22)
  11. ^ Abel Prize: Pioneer of ‘Smooth’ Physics Wins Top Maths Award”. 2023年3月30日閲覧。 Nature Vol.615 No.7954, 30 March 2023, News p777

外部リンク

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