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モダン・ライブラリーが選ぶ最高の小説100

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ユリシーズ(ジェイムズ・ジョイス)

モダン・ライブラリーが選ぶ最高の小説100(モダンライブラリーがえらぶさいこうのしょうせつひゃく、Modern Library's 100 Best Novels)は、モダン・ライブラリー英語版を所有するランダムハウスが出版した小説400冊のうち、20世紀に英語で出版された小説の中から、1998年にモダン・ライブラリーが選んだ100冊の小説の一覧である[1][注釈 1]。この一覧の目的は、モダン・ライブラリーに対する注目を集め、本の販売を促進することだった[2]。同年、モダン・ライブラリーのノンフィクションから100冊を選んだ一覧も発表された。

一覧

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1998年初頭、モダン・ライブラリーは編集委員会に、この一覧の選出についての意見を求めた。編集委員会はダニエル・J・ブーアスティンA・S・バイアットクリストファー・サーフ英語版シェルビー・フット英語版ヴァルタン・グレゴリアンエドモンド・モリス英語版ジョン・リチャードソン英語版アーサー・シュレジンジャーウィリアム・スタイロンゴア・ヴィダルで構成されていた。グレゴリアン以外全員、ランダムハウスやその関連会社から本を出版している[2]

1位はジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』で、F・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』、ジョイスの『若き芸術家の肖像』がそれに続く。一覧の中で最も新しいのは、1983年に出版されたウィリアム・ケネディ英語版の『アイアンウィード英語版』(映画『黄昏に燃えて』の原作)、最も古いのはサミュエル・バトラーの『万人の道英語版』である。『万人の道』が執筆されたのは1873年から1884年の間だが、出版されたのは1902年だった。ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』は、最初に発表されたのは1899年であるが、出版されたのは1902年であり、選出の対象となった。コンラッドの作品は『闇の奥』を含めて4冊選出されており、これはこの一覧の中で最多である。ウィリアム・フォークナーE・M・フォースターヘンリー・ジェイムズ、ジェイムズ・ジョイス、D・H・ローレンスイーヴリン・ウォーの作品は3冊選出され、2冊選出された作家は10人である。

リスト

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以下に100位までの作品を示す[3]

順位 タイトル 著者
1 1922 ユリシーズ ジェイムズ・ジョイス
2 1925 グレート・ギャツビー F・スコット・フィッツジェラルド
3 1916 若き芸術家の肖像 ジェイムズ・ジョイス
4 1955 ロリータ ウラジーミル・ナボコフ
5 1932 すばらしい新世界 オルダス・ハクスリー
6 1929 響きと怒り ウィリアム・フォークナー
7 1961 キャッチ=22 ジョセフ・ヘラー
8 1940 真昼の暗黒 アーサー・ケストラー
9 1913 息子と恋人英語版 デーヴィッド・ハーバート・ローレンス
10 1939 怒りの葡萄 ジョン・スタインベック
11 1947 火山の下 マルカム・ラウリー
12 1903 肉なるものの道 サミュエル・バトラー
13 1949 1984年 ジョージ・オーウェル
14 1934 この私、クラウディウス ロバート・グレーヴス
15 1927 灯台へ ヴァージニア・ウルフ
16 1925 アメリカの悲劇 セオドア・ドライサー
17 1940 心は孤独な狩人 カーソン・マッカラーズ
18 1969 スローターハウス5 カート・ヴォネガット・ジュニア
19 1952 見えない人間 ラルフ・エリソン
20 1940 アメリカの息子 リチャード・ライト
21 1959 雨の王ヘンダソン ソール・ベロー
22 1934 サマーラの町で会おう ジョン・オハラ
23 1932~1935 U.S.A.(三部作) ジョン・ドス・パソス
24 1919 ワインズバーグ・オハイオ シャーウッド・アンダーソン
25 1924 インドへの道 E・M・フォースター
26 1902 鳩の翼 ヘンリー・ジェイムズ
27 1903 大使たち ヘンリー・ジェイムズ
28 1934 夜はやさし F・スコット・フィッツジェラルド
29 1932~1935 若いロニガン(三部作) ジェイムズ・T・ファレル
30 1915 よき兵士 フォード・マドックス・フォード
31 1945 動物農場 ジョージ・オーウェル
32 1904 黄金の盃 ヘンリー・ジェイムズ
33 1900 シスター・キャリー セオドア・ドライサー
34 1934 一握の塵 イーヴリン・ウォー
35 1930 死の床に横たわりて ウィリアム・フォークナー
36 1946 すべて王の臣 ロバート・ペン・ウォーレン
37 1927 サン・ルイ・レイの橋 ソーントン・ワイルダー
38 1910 ハワーズ・エンド E・M・フォースター
39 1953 山にのぼりて告げよ ジェイムズ・ボールドウィン
40 1948 事件の核心 グレアム・グリーン
41 1954 蠅の王 ウィリアム・ゴールディング
42 1970 救い出される ジェイムズ・ディッキー
43 1951~1975 時の流れにあわせての舞踏(三部作) アンソニー・パウエル
44 1928 恋愛対位法 オルダス・ハクスリー
45 1926 日はまた昇る アーネスト・ヘミングウェイ
46 1907 密偵 ジョゼフ・コンラッド
47 1904 ノストローモ ジョゼフ・コンラッド
48 1915 デーヴィッド・ハーバート・ローレンス
49 1920 恋する女たち デーヴィッド・ハーバート・ローレンス
50 1934 北回帰線 ヘンリー・ミラー
51 1948 裸者と死者 ノーマン・メイラー
52 1969 ポートノイの不満 フィリップ・ロス
53 1962 青白い炎 ウラジミール・ナボコフ
54 1932 八月の光 ウィリアム・フォークナー
55 1957 オン・ザ・ロード ジャック・ケルアック
56 1930 マルタの鷹 ダシール・ハメット
57 1924~28 パレードの終わり(四部作) フォード・マドックス・フォード
58 1920 無垢の時代 イーディス・ウォートン
59 1911 ズレイカ・ドブスン マックス・ビアボーム
60 1961 映画狂時代 ウォーカー・パーシー
61 1927 大司教に死来る ウィラ・キャザー
62 1951 地上より永遠に ジェームズ・ジョーンズ
63 1957 ワップショット家の人びと ジョン・チーヴァー
64 1951 ライ麦畑でつかまえて J・D・サリンジャー
65 1962 時計じかけのオレンジ アンソニー・バージェス
66 1915 人間の絆 サマセット・モーム
67 1902 闇の奥 ジョゼフ・コンラッド
68 1920 本町通り シンクレア・ルイス
69 1905 歓楽の家 イーディス・ウォートン
70 1957~1960 アレクサンドリア四重奏(四部作) ロレンス・ダレル
71 1929 ジャマイカの烈風 リチャード・ヒューズ
72 1961 ビスワス氏の家 V・S・ナイポール
73 1939 いなごの日 ナサニエル・ウェスト
74 1929 武器よさらば アーネスト・ヘミングウェイ
75 1938 スクープ イーヴリン・ウォー
76 1961 ブロディ先生の青春 ミュリエル・スパーク
77 1939 フィネガンズ・ウェイク ジェイムズ・ジョイス
78 1901 少年キム ラドヤード・キップリング
79 1908 眺めのいい部屋 E・M・フォースター
80 1945 ブライヅヘッドふたたび イーヴリン・ウォー
81 1953 オーギー・マーチの冒険 ソール・ベロー
82 1971 静止の角度 ウォーレス・E. ステグナー
83 1979 暗い河 V・S・ナイポール
84 1938 心の死 エリザベス・ボウエン
85 1900 ロード・ジム ジョゼフ・コンラッド
86 1975 ラグタイム E・L・ドクトロウ
87 1908 二人の女の物語 アーノルド・ベネット
88 1903 野性の呼び声 ジャック・ロンドン
89 1945 愛すること ヘンリー・グリーン
90 1981 真夜中の子供たち サルマン・ラシュディ
91 1932 タバコ・ロード アースキン・コールドウェル
92 1983 黄昏に燃えて ウィリアム・ケネディ
93 1965 魔術師 ジョン・ファウルズ
94 1966 サルガッソーの広い海 ジーン・リース
95 1954 網のなか アイリス・マードック
96 1979 ソフィーの選択 ウィリアム・スタイロン
97 1949 極地の空 ポール・ボウルズ
98 1934 郵便配達は二度ベルを鳴らす ジェームズ・M・ケイン
99 1955 赤毛の男 J・P・ドンレヴィー
100 1918 偉大なるアンバーソン家の人々 ブース・ターキントン

脚注

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注釈

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  1. ^ アーサー・ケストラーの『真昼の暗黒』は、ドイツ語で出版された"Sonnenfinsternis"(日食)が原文であるが、この一覧が発表された当時はドイツ語の原文が失われ、これを英語に訳した"Darkness at Noon"のみが知られていたため、英語の小説とみなしてこの一覧に含めている。その後、2015年にドイツ語で書かれた原稿が発見され、2018年にドイツ語版、2019年にそれを英訳した版が出版された。

出典

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  1. ^ Jessica Woodbury, "Back Away From that 100 Best Novels List". Book Riot, August 23, 2017.
  2. ^ a b Paul Lewis, "'Ulysses' at Top As Panel Picks 100 Best Novels", The New York Times, July 20, 1998.
  3. ^ The Modern Library | Random House Publishing Group” (英語). 2024年11月17日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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