ダイン
表示
ダイン dyne | |
---|---|
記号 | dyn |
度量衡 | メートル法 |
系 | CGS単位系、非SI単位 |
種類 | 組立単位 |
量 | 力 |
SI | 10−5 N |
組立 | g·cm/s2 = g·Gal |
定義 | 1 g の質量に 1 cm/s2 の加速度を生じさせる力 |
語源 | ギリシャ語 δύναμις dynamis(力) |
ダイン(dyne、記号:dyn)は、CGS単位系における力の単位である。非SI単位かつ非法定計量単位であるので現在ではほとんど使われていない。
ダインという名称は、「力」を意味するギリシア語: δύναμις[1]に由来する。
1ダインは、質量1グラム (g) の物体に働くとき、その方向に1センチメートル毎秒毎秒(cm/s2)の加速度を与える力と定義されている。また、1 dyn の力のもとで 1 cm 動かすエネルギーがエルグ (erg) である。
ダインと同様の定義でグラムをキログラム (kg)、センチメートルをメートル (m) に置き換えると、国際単位系の力の単位ニュートンの定義となる。1 N = 1 kg·m/s2 = (1000 g)(100 cm)/s2 = 105 g·cm/s2 = 105 dyn で、同様に、1dyn = 10−5 N である。
ダインは非SI単位であり、同じ物理量のニュートンの使用が推奨されている。日本においては、SIへの移行を目的として1993年11月1日に施行された新計量法において力の単位にはニュートンを使用することが定められており、1995年10月1日以降は商取引などでのダインの使用が禁止されている。
1メガダイン (Mdyn = 106 dyn = 10 N) は1重量キログラム (kgf) に近い (1 kgf = 0.980665 Mdyn) ことから、かつてはよく用いられていた。
歴史
[編集]CGS単位系における力の組立単位に対する固有の名称「ダイン」は、1873年にイギリス科学振興協会で初めて提案された[2]。
基本単位 | 力・長さ・時間 | 重さ・長さ・時間 | 質量・長さ・時間 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
力 (F) | F = m⋅a = w⋅a/g | F = m⋅a/gc = w⋅a/g | F = m⋅a = w⋅a/g | |||||
重さ (w) | w = m⋅g | w = m⋅g/gc ≈ m | w = m⋅g | |||||
単位系 | BG | GM | EE | M | AE | CGS | MTS | SI(MKS) |
加速度 (a) | ft/s2 | m/s2 | ft/s2 | m/s2 | ft/s2 | Gal | m/s2 | m/s2 |
質量 (m) | slug | slug | lbm | kg | lb | g | t | kg |
力 (F) | lb | kgf | lbF | kgf | pdl | dyn | sn | N |
圧力 (p) | lb/in2 | at | PSI | atm | pdl/ft2 | Ba | pz | Pa |
変換後 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
ニュートン(SI単位) N |
ダイン dyn |
重量キログラム kgf |
重量ポンド lbf |
パウンダル pdl | ||
変換前 | 1 N | =1 kg·m/s2 | =105 dyn | ≈0.10197 kgf | ≈0.22481 lbf | ≈7.2330 pdl |
1 dyn | =10−5 N | =1 g·cm/s2 | ≈1.0197×10−6 kgf | ≈2.2481×10−6 lbf | ≈7.2330×10−5 pdl | |
1 kgf | =9.80665 N | =980665 dyn | =gn·(1 kg) | ≈2.2046 lbf | ≈70.932 pdl | |
1 lbf | =4.4482216152605 N | ≈444822 dyn | ≈0.45359 kgf | =gn·(1 lb) | ≈32.174 pdl | |
1 pdl | =0.138254954376 N | ≈13825 dyn | ≈0.014098 kgf | ≈0.031081 lbf | =1 lb·ft/s2 | |
重量ポンドの値は、公式には重量キログラムによって定義されている標準重力加速度 gn を用いて計算している。 |
脚注
[編集]- ^ ラテン文字翻字: dynamis
- ^ Thomson, Sir Wl; Professor GC, Foster; Maxwell, Professor JC; Stoney, Mr GJ; Professor Flemming, Jenkin; Siemens, Dr; Bramwell, Mr FJ (September 1873). Everett, Professor (ed.). First Report of the Committee for the Selection and Nomenclature of Dynamical and Electrical Units. Forty-third Meeting of the British Association for the Advancement of Science. Bradford: Johna Murray. p. 224. 2012年4月8日閲覧。
- ^ Lindeburg, Michael R. (2011). Civil Engineering Reference Manual for the Pe Exam (英語). Professional Publications. ISBN 1591263417。
- ^ Wurbs, Ralph A. Fort Hood Review Sessions for Professional Engineering Exam (PDF). 2011年8月15日時点のオリジナル (PDF)よりアーカイブ。2011年10月26日閲覧。