ギアード・タービン方式
この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
ギアード・タービン方式(ギアードタービンほうしき、Geared-Turbine)とは、艦船(軍艦・船舶)の推進動力伝達方式の一つ。タービンエンジンで減速機とそれに直結されたプロペラ(スクリュープロペラ、スクリュー)を回して船を推進する方式を指す。
概要[編集]
蒸気タービンが船舶の推進に導入された当初はチャールズ・アルジャーノン・パーソンズのタービニアのようにタービンとスクリューを直結していたため、スクリューの回転数が速過ぎてキャビテーションが発生する問題が生じた。これを解決するために各国で研究・開発が進められたのがギアード・タービン方式である。後にアメリカ海軍のニューメキシコ級戦艦では、ターボ・エレクトリック方式との優劣を検証するために「ミシシッピ」および「アイダホ」に従来のギアード・タービン(蒸気タービンエンジン)方式、1番艦「ニューメキシコ」のみにターボ・エレクトリック方式を採用し、遠距離航海に出て燃費を比較した。結果として目を見張るような差はなかったが、他国の海軍ではギアード・タービン方式が主流になったのに対して、アメリカ海軍ではその後もいくつかの軍艦で採用事例があり、完成時は世界最大の航空母艦であったレキシントン級もこの推進形式だった。
ギアード・タービン方式はタービンを減速歯車を介して推進装置に直結するために伝達損失が少なく推進効率に優れる利点があるが、一方で速力によっては蒸気タービンの効率が最適でない回転数域で運転しなければならないという欠点もある。またターボ・エレクトリック方式と比較すると発電機や電動機や配電盤等が不要になるので艦内空間の占有が減り、軽量化が可能になる。一方でギアード・タービン方式ではタービン、減速機、プロペラシャフトがほぼ一直線に並んでいなければならず、ターボ・エレクトリック方式と比較して艦内の機器配置の自由度が制限される。
最近の艦船ではガスタービンエンジンの採用例が多いが、ガスタービンエンジンも低出力時の燃費効率が悪いという弱点がある。そのため低速用の低出力ディーゼルエンジンと併用する場合がある。ただし、ガスタービンエンジンとディーゼルエンジンでは回転数や出力特性が違いすぎるため、ギアで接続して使用するとギアボックスの設計が複雑になる(CODAG方式)か、低速時と高速時で切り替えて使用する事(CODOG方式)となる。
原子力潜水艦への応用[編集]
静粛性を必要とする原子力潜水艦では、フランス海軍のすべての原潜、アメリカ海軍の初期の原潜である「タリビー」や「グレナード・P・リプスコム」、中国海軍の漢型、ロシア海軍のアルファ型のように原子力ターボ・エレクトリック方式が採用される事例はあるものの、上述の得失を判断してギアード・タービン方式が主流である。
関連項目[編集]
- 電気推進 (船舶)
- 汽力発電
- ターボ・エレクトリック方式
- ディーゼル・エレクトリック方式
- ズムウォルト級ミサイル駆逐艦 - 主推進動力を含むエネルギーの全てをガスタービン発電機が作る電気によって得る統合電気推進
- ギヤードターボファンエンジン
- ターボコンパウンド