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「グレナード・P・リプスコム (原子力潜水艦)」の版間の差分

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| 全幅
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| 喫水
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| 予備浮力
| 機関:
| 11.5%
| S5W reactor
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| 機関
| 最大速:
| 原子力[[ターボ・エレクトリック方式]]<br/>WEC S5Wa [[加圧水型原子炉]]×1基<br/>7翼ハイスキュード・スクリュー×1軸<br/>12,500[[軸馬力|SHP]]
| 水上18ノット (33 km/h), 水中23ノット (43 km/h)
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| 電池
| 最大深:
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| 1,300 ft (400 m)
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| 最大速
| 水上18[[ノット]] (33 km/h), 水中23ノット (43 km/h)
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| 最大深
| 400 m
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| 安全潜入深度
|396[[メートル|m]]
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| 乗員:
| 乗員:
| 士官12名, 兵員109名
| 士官12名, 兵員109名
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| 兵装:
| 兵装
| 21インチ (533 mm) [[魚雷]]発射管4基
| 21インチ (533 mm) [[魚雷発射管]]4基<br/>[[魚雷]]・[[ミサイル]]×23<br/>Mk113 Mod8 水中射撃指揮装置
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'''グレナード・P・リプスコム'''('''USS Glenard P. Lipscomb, SSN-685''')は、[[アメリカ海軍]]の[[原子力潜水艦]]。艦籍番号SSN-685
'''グレナード・P・リプスコム'''('''USS Glenard P. Lipscomb, SSN-685''')は、[[アメリカ海軍]]の[[原子力潜水艦]]。艦[[カリフォルニア州]]選出[[アメリカ合衆国下院|下院]]議員[[グレナード・P・リプスコム]](Glenard P. Lipscomb, [[1915年|1915]] - [[1970年]])に因む
==概要==
グレナード・P・リプスコムは、アメリカ海軍の潜水艦としては[[タリビー (SSN-597)|タリビー]]に次いで2番目に、原子力[[ターボ・エレクトリック方式]]を採用した潜水艦(TEDS: Turbin Electric Drive Submarine)である。


== 概要 ==
現在の原潜で主流の原子力[[ギアード・タービン方式]]で、[[原子炉]]の[[蒸気発生器 (原子力)|2次冷却系統]]から得られた高圧蒸気によって[[蒸気タービン]]を回し、減速ギア・ボックスによって回転数を減速・調整して[[シャフト|プロペラシャフト]]に伝え、[[スクリュー]]を回して推進力を得ている。しかし、減速ギア・ボックスの複雑な機構と多くのギアの動作は、原潜にとって最大の騒音源(したがって弱点)となる。ターボ・エレクトリック方式では、2次冷却系統の高圧蒸気によって[[タービン発電機]]を回し、得られた電力で[[電動機|電動モーター]]とこれに直結されたプロペラシャフトを回して推進力を得ている。すなわち、ギア・ボックスを廃止することによる静粛化のほか、ギアード・タービン方式よりもシャフト回転数の微妙な調整が可能になることによる操艦の柔軟性が期待できるのである。
グレナード・P・リプスコムは、アメリカ海軍の潜水艦としては[[タリビー (SSN-597)|タリビー]]に次いで2番目に、原子力[[ターボ・エレクトリック方式]]を採用した潜水艦(TEDS: Turbin Electric Drive Submarine)である。試験艦としての性格が強く同型艦は建造されていない


子力水艦で主流の機関は、原子力[[ギアード・タービン方式]]であり、[[原子炉]]の[[蒸気発生器 (原子力)|2次冷却系統]]から得られた高圧蒸気によって[[蒸気タービン]]を回し、減速ギア・ボックスによって回転数を減速・調整して[[プロペラシャフト]]に伝え、[[スクリュー]]を回して推進力を得ている。しかし、減速ギア・ボックスの複雑な機構と多くのギアの動作は、原潜にとって最大の騒音源(したがって弱点)となる。ターボ・エレクトリック方式では、2次冷却系統の高圧蒸気によって[[タービン発電機]]を回し、得られた電力で[[電動機|電動モーター]]とこれに直結されたプロペラシャフトを回して推進力を得ている。すなわち、ギア・ボックスを廃止することによる静粛化のほか、ギアード・タービン方式よりもシャフト回転数の微妙な調整が可能になることによる操艦の柔軟性が期待できるのである。
しかし、これらの利点があるにせよ、ターボ・エレクトリック方式は、電機系の増設とそれに伴う重量増大を引き受けなければならないという問題があるため、旧ソ連時代の[[アルファ級原子力潜水艦|一部の潜水艦]]や[[:Category:フランスの潜水艦|フランス海軍の原子力潜水艦]]を除けば、ほとんど採用されていない。実際、本艦の建造にあたっては[[スタージョン級原子力潜水艦|スタージョン級]]の設計が大幅に流用されたが、[[排水量]]で20%強、全長で約30[[メートル|m]]も上回り、ただでパワー不足が指摘されつつあったS5W原子炉をもとにしたパワープラントを装備した本艦は、速力においてもスタージョン級に劣るものとなってしまった。


しかし、これらの利点があるにせよ、ターボ・エレクトリック方式は、電機系の増設とそれに伴う重量増大を引き受けなければならないほか、ギアード・タービン方式に比べて効率が劣るせいで速力が低下するという問題があるため、旧ソ連時代の[[アルファ級原子力潜水艦|一部の潜水艦]]や[[:Category:フランスの潜水艦|フランス海軍の原子力潜水艦]]を除けば、ほとんど採用されていない。実際、本艦の建造にあたっては[[スタージョン級原子力潜水艦|スタージョン級]]の設計が大幅に流用されたが、[[排水量]]で20%強、全長で約19[[メートル|m]]も大型化し、ただでさえパワー不足が指摘されつつあったS5W原子炉をもとにしたパワープラントを装備した本艦は、速力においてもスタージョン級に劣るものとなってしまった。
上記のような問題点に加え、複雑な機構の信頼性が不安視されたこと、ターボ・エレクトリック方式の動力プラントが生産性に欠けることなどから、本艦は1985年には事実上の退役(活動停止)に追い込まれた。ほぼ同時期に、原潜の静粛化の試みとして取り組まれた兄弟分の[[ナーワル (SSN-671)|ナーワル]](1969年就役)からの技術的知見が後に生かされたのとは、まったく対照的な道筋をたどったのである。


上記のような問題点に加え、複雑な機構の信頼性が不安視されたこと、ターボ・エレクトリック方式の動力プラントが効率に欠けることなどから、本艦は1985年には事実上の退役(活動停止)に追い込まれた。ほぼ同時期に、原潜の静粛化の試みとして取り組まれた兄弟分の[[ナーワル (SSN-671)|ナーワル]](1969年就役)により自然循環式原子炉の技術的知見が後に生かされたのとは、まったく対照的な道筋を辿ったのである。
なお、本艦の命名の由来となったグレナード・ポール・リプスコム([[:en:Glenard P. Lipscomb]], [[1915年|1915]] - [[1970年]])は、アメリカの下院議員。


==歴==
== ==
本艦の建造[[1971年]][[6月5日]][[コネチカット州]][[グロトン]]の[[エレクトリック・ボート]]で開始された。[[1973年]][[8月4日]]に進水、翌[[1974年]][[12月21日]]に就役した。[[1990年]][[7月11日]]に退し、[[1997年]][[12月1日]]に解体された。
グレナード・P・リプスコムは[[1971年]][[6月5日]][[コネチカット州]][[グロトン (コネチカット州)|グロトン]]の[[エレクトリック・ボート]]起工する。[[1973年]][[8月4日]]にリプスコム夫人によって命名、進水、翌[[1974年]][[12月21日]]にジェームズ・F・コールドウェル艦長の指揮下就役した。式では[[メルヴィン・ライアード]]がスピーチを行った。


グレナード・P・リプスコムは[[1990年]][[7月11日]]に退役し、[[1997年]][[12月1日]]に[[原子力艦再利用プログラム]]に基づき[[ピュージェット・サウンド海軍造船所]]で解体された。
==要目==
*種別:攻撃型原子力潜水艦
*1番艦就役:1974年
*全長:111.2[[メートル|m]]
*全幅:9.6[[メートル|m]]
*排水量(水上/水中):5,813[[トン|t]]/6,480[[トン|t]]
*予備浮力:11.5%
*機関:原子力ターボ・エレクトリック方式 ―― WEC S5Wa [[加圧水型原子炉]]×1基/7翼ハイスキュード・スクリュー×1軸
*出力:12,500[[軸馬力|SHP]]
*電池:ガピーIC型×126個1群
*速力(水上/水中):18kt/23[[ノット|kt]]
*乗員:121名
*安全潜入深度:396[[メートル|m]]
*兵装:533[[ミリメートル|mm]]水圧式魚雷発射管×4 ―― [[魚雷]]・[[ミサイル]]×23
*[[ソナー]]:BQQ-2B(アクティヴ/パッシヴBQS-6B、パッシヴBQR-7、氷海行動/機雷探知BQS-8)、BQG-3 PUFFS、WLR-9A
*水中射撃指揮装置:Mk113 Mod8
*[[レーダー]]・ESM機材:BPS-15、BRD-6、WLR-4


==関連項==
== 関連項==
* [[タリビー (SSN-597)]] &mdash; G.P.リプスコムと同じく原子力ターボ・エレクトリックを採用した数少ない米原潜のひとつ。
*[[アメリカ海軍艦艇一覧]]
* [[ナーワル (SSN-671)]] &mdash; ほぼ同時期に就役した、米海軍における原潜の静粛化への取り組み(自然対流循環方式)を示す潜水艦。
*[[タリビー (SSN-597)]]
* [[スタージョン級原子力潜水艦]] &mdash; 本艦の設計上の母体となった艦級。
*[[ナーワル (SSN-671)]]
*[[スタージョン級原子力潜水艦]]
*[[ロサンゼルス級原子力潜水艦]]
*[[オハイオ級原子力潜水艦]]


==外部リンク==
== 外部リンク ==
*[http://www.navsource.org/archives/08/08685.htm navsource.org: USS Glenard P. Lipscomb (SSN-685)]
{{Commonscat|USS Glenard P. Lipscomb (SSN-685)|グレナード・P・リプスコム (原子力潜水艦)}}
*[http://www.fas.org/man/dod-101/sys/ship/ssn-685.htm Glenard P. Lipscomb (SSN-685) - FAS.org]
* [https://www.navsource.org/archives/08/08685.htm navsource.org: USS Glenard P. Lipscomb (SSN-685)]
* [https://man.fas.org/dod-101/sys/ship/ssn-685.htm Glenard P. Lipscomb (SSN-685) - FAS.org]


[[Category:アメリカの潜水艦|くれなとひりふすこむ]]
{{第二次世界大戦後のアメリカ海軍の潜水艦}}
[[Category:原子力潜水艦|くれなとひりふすこむ]]


{{DEFAULTSORT:くれなとひりふすこむ}}
[[en:USS Glenard P. Lipscomb (SSN-685)]]
[[Category:アメリカ合衆国の原子力潜水艦]]
[[Category:1974年竣工船]]
[[Category:ジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボート建造の潜水艦]]

2024年11月25日 (月) 00:58時点における最新版

USS Glenard P. Lipscomb
艦歴
発注 1968年12月16日
起工 1971年6月5日
進水 1973年8月4日
就役 1974年12月21日
その後 原子力艦再利用プログラム
除籍: 1990年7月11日
性能諸元
排水量 水上5,813トン,
水中6,480トン
全長 111 m
全幅 9.8 m
喫水
予備浮力 11.5%
機関 原子力ターボ・エレクトリック方式
WEC S5Wa 加圧水型原子炉×1基
7翼ハイスキュード・スクリュー×1軸
12,500SHP
電池 ガピーIC型×126個1群
最大速 水上18ノット (33 km/h), 水中23ノット (43 km/h)
最大深 400 m
安全潜入深度 396m
乗員: 士官12名, 兵員109名
兵装 21インチ (533 mm) 魚雷発射管4基
魚雷ミサイル×23
Mk113 Mod8 水中射撃指揮装置
電子戦兵装 ソナー:BQQ-2B(アクティヴ/パッシヴBQS-6B、パッシヴBQR-7、氷海行動/機雷探知BQS-8)、BQG-3 PUFFS、WLR-9A
レーダー・ESM機材:BPS-15、BRD-6、WLR-4

グレナード・P・リプスコム(USS Glenard P. Lipscomb, SSN-685)は、アメリカ海軍原子力潜水艦。艦名はカリフォルニア州選出下院議員グレナード・P・リプスコム(Glenard P. Lipscomb, 1915 - 1970年)に因む。

概要

[編集]

グレナード・P・リプスコムは、アメリカ海軍の潜水艦としてはタリビーに次いで2番目に、原子力ターボ・エレクトリック方式を採用した潜水艦(TEDS: Turbin Electric Drive Submarine)である。試験艦としての性格が強く同型艦は建造されていない。

原子力潜水艦で主流の機関は、原子力ギアード・タービン方式であり、原子炉2次冷却系統から得られた高圧蒸気によって蒸気タービンを回し、減速ギア・ボックスによって回転数を減速・調整してプロペラシャフトに伝え、スクリューを回して推進力を得ている。しかし、減速ギア・ボックスの複雑な機構と多くのギアの動作は、原潜にとって最大の騒音源(したがって弱点)となる。ターボ・エレクトリック方式では、2次冷却系統の高圧蒸気によってタービン発電機を回し、得られた電力で電動モーターとこれに直結されたプロペラシャフトを回して推進力を得ている。すなわち、ギア・ボックスを廃止することによる静粛化のほか、ギアード・タービン方式よりもシャフト回転数の微妙な調整が可能になることによる操艦の柔軟性が期待できるのである。

しかし、これらの利点があるにせよ、ターボ・エレクトリック方式は、電機系の増設とそれに伴う重量増大を引き受けなければならないほか、ギアード・タービン方式に比べて効率が劣るせいで速力が低下するという問題があるため、旧ソ連時代の一部の潜水艦フランス海軍の原子力潜水艦を除けば、ほとんど採用されていない。実際、本艦の建造にあたってはスタージョン級の設計が大幅に流用されたが、排水量で20%強、全長で約19mも大型化し、ただでさえパワー不足が指摘されつつあったS5W原子炉をもとにしたパワープラントを装備した本艦は、速力においてもスタージョン級に劣るものとなってしまった。

上記のような問題点に加え、複雑な機構の信頼性が不安視されたこと、ターボ・エレクトリック方式の動力プラントが効率に欠けることなどから、本艦は1985年には事実上の退役(活動停止)に追い込まれた。ほぼ同時期に、原潜の静粛化の試みとして取り組まれた兄弟分のナーワル(1969年就役)により自然循環式原子炉の技術的知見が後に生かされたのとは、まったく対照的な道筋を辿ったのである。

艦歴

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グレナード・P・リプスコムは1971年6月5日コネチカット州グロトンエレクトリック・ボート社で起工する。1973年8月4日にリプスコム夫人によって命名、進水し、翌1974年12月21日にジェームズ・F・コールドウェル艦長の指揮下就役した。就役式ではメルヴィン・ライアードがスピーチを行った。

グレナード・P・リプスコムは1990年7月11日に退役し、1997年12月1日原子力艦再利用プログラムに基づきピュージェット・サウンド海軍造船所で解体された。

関連項目

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外部リンク

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