琉球エアーコミューター
琉球エアーコミューター株式会社(りゅうきゅうエアーコミューター、英: RYUKYU AIR COMMUTER CO.,LTD.、略称:RAC)は日本航空(JAL)グループの構成企業である。那覇空港をベースにターボプロップ機(プロペラ機)を用いて沖縄内及び奄美の離島路線を運航している。
種類 | 株式会社 |
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略称 | RAC |
本社所在地 |
日本 〒900-0027 沖縄県那覇市泉崎1-20-1 カフーナ旭橋A街区3階[1] 北緯26度12分40.6秒 東経127度40分37.5秒 / 北緯26.211278度 東経127.677083度座標: 北緯26度12分40.6秒 東経127度40分37.5秒 / 北緯26.211278度 東経127.677083度 |
設立 | 1985年12月24日[2] |
業種 | 空運業 |
法人番号 | 7360001002234 |
事業内容 | 航空運送事業、航空機使用事業、その他の事業[2] |
代表者 | 代表取締役社長 波平進[2] |
資本金 | 3億9600万円[2] |
純資産 |
6億7721万1000円 (2022年3月31日現在)[3] |
総資産 |
19億1848万4000円 (2022年3月31日現在)[3] |
従業員数 | 147名(2022年3月31日現在)[2] |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 |
日本トランスオーシャン航空 74.5% 沖縄県 6.1% その他 19.4%[2] |
外部リンク | https://rac-okinawa.com/ |
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法人番号 | 7360001002234 | |||
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設立 | 1985年12月24日[2] | |||
拠点空港 | 那覇空港 | |||
マイレージサービス | JALマイレージバンク | |||
航空連合 | 未加盟 | |||
親会社 | 日本トランスオーシャン航空[2] | |||
保有機材数 | 5機 | |||
就航地 | 10空港 | |||
本拠地 | 沖縄県那覇市泉崎1-20-1 カフーナ旭橋A街区3階[2] | |||
代表者 | 代表取締役社長 波平進[2] | |||
外部リンク | https://rac-okinawa.com/ |
概要
編集2020年4月時点では沖縄県及び鹿児島県奄美群島で12路線を運航している。
日本航空(JAL)の系列会社の日本トランスオーシャン航空 (JTA)が株式の過半数を保有している。JALとの直接の資本関係はなく、JALに対しては一般にいう孫会社の関係であるが、JALが間接的にRACの議決権の過半数を所有しているため法令上はJALの連結子会社にあたる[4]。
また、ワンワールドのメンバーではない。JAL以外の航空会社においてワンワールド・エメラルド会員のステイタスを保有している場合でも、琉球エアーコミューターでの優先搭乗が適用されることはない。優先搭乗にはJALマイレージバンクのステイタスが必須となる。
同社のIATAコードは設定されていないが、JALマイレージバンクの搭乗履歴に表示される2レターコードは、親会社であるJTAのIATAコードである「NU」となる。また、JALグループのチェックインカウンターで発行された手荷物タグに表示される2レターコードも「NU」となる。(2019年のJALグループ旅客サービスシステム更新前までは、手荷物タグの2レターコードが「RC」と表記されていた。)
JALグループ各社はJAL・J-AIR・JAC・HACの4社においては運航全便にて運送の共同引き受けを実施し、便名をJAL便に統一しているが、RAC・JTAの2社はRAC・JTA間を含むJALグループ各社間で運送の共同引き受けを実施していない。なお、JTAでは2021年3月28日より、一部の便にてJALとの運送の共同引受を開始したことに伴い、当該便はJAL便として運航している[5][6]。
RACの便名の数字は700番台・800番台となっており、JTAと便名の数字が重複することはないが、JAL・JTA両社運航便については便名の数字が重複するケースが多いことから[注 1]、JAL国内線時刻表にも両社運航便には同数字の便名が存在することへの注意喚起の記述が見られる[7]。
沿革
編集1982年から那覇 - 慶良間線を運航していた公共施設地図航空[注 2]の経営危機に伴い、同路線の運航継続の受け皿となるべく1985年12月24日に設立。公共施設地図航空が1986年に倒産し運航を停止した後、1987年2月17日にRACによって那覇 - 慶良間線の運航が再開された[8]1989年には那覇 - 粟国線を開設して、計2路線を運航することになった。
1991年に南西航空(SWAL。現:日本トランスオーシャン航空、JTA)の増資を受け傘下に入り、1992年にSWALからDHC-6で運航されていた6路線の移管を受けた。
年表
編集- 1985年
- 1986年
- 1987年
- 2月17日:初の就航路線となる那覇 - 慶良間線開設(使用機種・BN-2Bアイランダー)。
- 1989年
- 1991年:南西航空(SWAL、現・日本トランスオーシャン航空 (JTA))からの増資を受け、同社の子会社となり、同時にJALグループの一員となる。
- 1992年
- 1997年
- 1月:DHC-6の後継機となるDHC-8-Q100(ダッシュ8)を導入[1]。
- 4月15日:那覇 - 与論線をJTAから移管、機材はそれまでのYS-11に代わりDHC-8-Q100が就航[1]。
- 7月20日:現・南大東空港開港により、那覇 - 南大東線にDHC-8-Q100が就航。
- 10月9日:北大東空港の滑走路が1,500mに延長により、那覇 - 北大東線にDHC-8-Q100が就航。同時に南大東 - 北大東線を開設[1](ただし那覇 - 南大東 - 北大東 - 那覇あるいは那覇 - 北大東 - 南大東 - 那覇の三角運航)。
- 11月7日:那覇 - 久米島線開設(DHC-8-Q100)[1]。
- 1999年
- 2000年
- 2002年
- 1月23日:DHC-6が退役(同機が就航していた路線は、機材をBN-2Bに変更)。
- 2003年
- 2006年
- 3月31日:那覇 - 慶良間線、石垣 - 多良間線廃止。
- 7月:那覇 - 宮古線開設(DHC-8-Q100、7月半ば - 9月の季節限定運航)。
- 2007年
- 2009年
- 2011年
- 4月:JAL同様、ロゴを鶴丸に変更。鶴丸内の文字はJALのまま。
- 2013年
- 2015年
- 2016年
- 2017年
- 2018年
- 2022年
就航路線
編集2022年7月現在[14]
- 那覇空港 - 与論空港、久米島空港、北大東空港、南大東空港、宮古空港、新石垣空港、与那国空港
- 南大東空港 - 北大東空港[注 4] - 2024年8月1日より運休
- 宮古空港 - 多良間空港、新石垣空港
- 新石垣空港 - 与那国空港
与論空港は沖縄県外に所在する同社唯一の就航地であり、また同社最北端の就航地でもある。
運航機材
編集保有機材
編集- ボンバルディアDHC-8-Q400CC
- DHC-8-Q100/-Q300の後継機として2015年から2017年にかけて5機導入された[17]。
- DHC-8-Q400の貨物室を拡大したコンビ機(貨客型)仕様で、同社がローンチ・カスタマーとなった。貨物室はDHC-8-Q400より拡大された。与那国線など日本トランスオーシャン航空から引き継いだ路線において機材の小型化により貨物搭載量減少が問題になっており[18]、貨物スペースを拡大した機材への更新でこの問題の解決が図られた[19]。貨物室を拡大したことで座席スペースが減少している。その一方で客室乗務員の配置が1名で済むよう座席数をDHC-8-Q300と同じ50席にするためシートピッチを35インチに拡大し、快適性を高めている。
- 2015年9月30日に、琉球エアーコミューターが本タイプのローンチカスタマーの1社になること、及び、2015年12月に初号機が引き渡され、2016年4月から運航開始予定であることと座席数が50席になることが公式にアナウンスされた[20][21]。2016年1月10日にカナダから東回りでフェリーされた初号機(JA81RC。フェリー時はカナダ籍C-FKIYのレジ)が那覇空港に到着した。鶴丸塗装を施したRAC初の機体でもある。
退役機材
編集- デ・ハビランド・カナダDHC-6(ツインオッター)
- ブリテン・ノーマン アイランダー(BN-2B)
- ボンバルディアDHC-8-Q100
- ボンバルディアDHC-8-Q300(JA8936)
-
粟国空港に駐機するBN-2Bアイランダー
-
与那国空港に駐機するDHC-8-Q100
-
「太陽のアーク」塗装で納入されたDHC-8-Q300
塗装
編集JALグループの一員となってからも長らく独自デザインを使用していたが、3代目からJALグループ各社と統一したデザインに変更している。
- 設立当時
- ホワイトボディに水色のラインを配し、垂直尾翼に水色のRACの文字を配し、Cの上部にノグチゲラが止まっているデザインである。RACの文字はAの横棒が真下に配置されたスタイルである。
- 3代目
- 2007年4月より当時のJALグループの統一ビジュアルイメージであった「Arc of the Sun(太陽のアーク)」デザインが採用されたが、「JAL」が「RAC」(Aの横棒がなくノが入る)に置き換えられ、「RYUKYU AIR COMMUTER」表記を添えたものであった。同年4月導入のDHC-8-Q300はこの塗装で納入された。
- 4代目
- 2011年4月よりJALの鶴丸デザインに変更する。ホワイトボディに「RYUKYU AIR COMMUTER」と斜体字で表記されるが、垂直尾翼の鶴丸はJAL表記である。2016年1月導入のDHC-8-Q400CCはこの塗装にて納入された。これによりRACの機体に初めて鶴丸塗装が施されることになった。
-
2代目塗装の垂直尾翼
-
3代目ロゴ
ボーディング・ミュージック
編集親会社の日本トランスオーシャン航空とともに同社の地元である沖縄県に因んで沖縄音楽が起用されている。
機内サービス
編集注意点
編集運航開始当初から小型機のみの運航であり、設立経緯も異なるなどの事情から、親会社の日本トランスオーシャン航空をはじめ他のJALグループ各社とは異なる点があった。
- 持込手荷物・受託手荷物の重量制限があったが、機材が大型のDHC-8シリーズに統一されたため、これらは撤廃された。
- 各空港の設備が最新のものに置き換えられ、航空券が磁気券に切り替わり、JALのカウンターでそのまま手続きができるようになった。この結果webチェックインやICカード、おサイフケータイ、バーコード読取りによる搭乗などのJAL ICサービスも通常のJAL便と同様に使用でき、事前座席指定も可能となった。
- 以前は、JALマイレージバンク(JMB)のマイル加算対象となる路線は日本トランスオーシャン航空も運航している路線(那覇 - 宮古線、那覇 - 久米島線、石垣 - 与那国線、宮古 - 石垣線)と那覇 - 与那国線のみであり、その他の路線はマイル加算・特典航空券利用の対象外であったが、2012年7月18日搭乗分より残りの運航路線でマイルが積算され[注 6]、さらに同年9月1日より特典航空券利用もできるようになった[注 7]。
脚注
編集注釈
編集- ^ 便名が重複する例として、JAL567便(東京国際空港発女満別空港行き)・JTA567便(那覇空港発宮古空港行き)が存在する。
- ^ 一時期、金のペーパー商法で有名な豊田商事を傘下に持つ銀河計画のグループ会社だった。会社自体は現存しており、航空機整備などの事業を行っている。
- ^ 翌日7月15日からは同路線と日本エアコミューター(JAC)運航の奄美 - 与論線を統合しJACによる奄美→与論→那覇→奄美の三角運航路線に再編された。
- ^ 空港間の距離は13kmで、日本の国内航空定期便としては最も短かった[15][16]。
- ^ パイロットの退職に伴い那覇 - 粟国便を休止し、運用が消滅する。当初2009年10月から運休する予定であったが、大阪の第一航空が2009年6月からの路線引継を表明したため休止を繰り上げた。
- ^ ただし、那覇 - 南大東線を北大東経由で同日乗り継ぎする場合、または那覇 - 北大東線を南大東経由で同日乗り継ぎする場合は、南大東 - 北大東間の区間マイルは加算されない。これらの場合、マイル実績には那覇 - 経由地までの区間マイルとして記載される[29]。
- ^ ただし、北海道・本州・四国・九州と沖縄(那覇、石垣、宮古、久米島)を結ぶ路線2区間と同時に予約することにより5,000マイルの追加で利用出来る「RAC離島路線」は引き続き対象外とされ、通常のマイル数が必要となる(RAC離島路線の対象は従来からマイル積算対象だった5路線のみのまま)。
出典
編集- ^ a b c d e f g h i j k l m “RACの歴史”. 琉球エアーコミューター株式会社. 2022年7月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “会社概要”. 琉球エアーコミューター株式会社. 2022年7月20日閲覧。
- ^ a b “第37期(2022年3月期)決算公告” (PDF). 琉球エアーコミューター株式会社. 2022年7月20日閲覧。
- ^ “有価証券報告書” (PDF). 日本航空株式会社. 2018年2月17日閲覧。
- ^ 『JTA、2021年度基本便数計画決定』(プレスリリース)日本トランスオーシャン航空、2021年1月19日 。2022年2月25日閲覧。
- ^ “宮古→羽田の「JTA22」が「JAL936」へ便名変更 なぜ? 生じる「一挙両得」のメリットとは”. 乗りものニュース. (2021年4月4日) 2022年2月25日閲覧。
- ^ “時刻表(路線・時刻表)”. JAL国内線. 日本航空. 2022年2月25日閲覧。
- ^ a b “慶良間空港”. 沖縄県. 2018年2月12日閲覧。
- ^ KOHASE, Yusuke (2016年1月4日). “ボンバルディア、Q400貨物拡張型ローンチ 琉球エアコミューターが初号機受領”. Aviation Wire 2018年2月17日閲覧。
- ^ YOSHIKAWA, Tadayuki (2016年3月31日). “RAC、Q400CC公開 貨物室2.5倍「魚積んでも匂わない」”. Aviation Wire 2022年2月25日閲覧。
- ^ “RAC DHC8-Q100型機のご紹介”. 美らっく RAC. 琉球エアーコミューター株式会社 (2017年4月30日). 2022年2月25日閲覧。
- ^ “琉球エアーコミューター、ボンバルディア「DHC-8-Q300型機」が定期便から退役。スタッフが感謝の横断幕で出迎え”. トラベル Watch (2018年2月1日). 2018年10月7日閲覧。
- ^ 『JALグループ、2022年度国内線基本便数計画を決定』(プレスリリース)JALグループ、2022年1月18日 。2022年2月25日閲覧。
- ^ “航空路線案内”. 琉球エアーコミューター株式会社. 2022年7月15日閲覧。
- ^ “距離13km弱 ユニークすぎる「日本最短航空路線」の機内とは RAC南大東~北大東線に乗った”. 乗りものニュース. (2021年2月2日) 2022年2月25日閲覧。
- ^ “日本最短、15分の定期航空便 となり合う島を結ぶ空路、なぜ誕生?”. 乗りものニュース. (2017年4月10日) 2020年4月6日閲覧。
- ^ “JALグループ中期経営計画 ローリングプラン 2015” (PDF). 日本航空. p. 24 (2015年2月18日). 2018年2月17日閲覧。
- ^ “「与那国線撤退、町に説明 RAC増便で対応 カジキ積載に制限 JTA」”. 八重山日報. (2012年9月14日). オリジナルの2018年1月14日時点におけるアーカイブ。 2018年2月17日閲覧。
- ^ 「琉球エアーコミューター 貨物室を拡大した地元待望の航空機を導入!」(PDF)『明日の翼』第6号、日本航空、2016年、14頁、2018年2月17日閲覧。
- ^ 『RAC、ボンバルディア DHC-8-400型機の導入を決定』(PDF)(プレスリリース)日本トランスオーシャン航空、2015年9月30日 。2018年2月17日閲覧。
- ^ KOHASE, Yusuke (2015年9月30日). “RAC、Q400貨物拡張型に更新 12月に初号機”. Aviation Wire 2022年2月25日閲覧。
- ^ “琉球エアーコミューター (RAC) 機材一覧 デ・ハビランド・カナダ DHC-6 ツインオッター”. FlyTeam. 2017年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月25日閲覧。
- ^ “RACの歴史”. 琉球エアーコミューター株式会社. 2022年2月25日閲覧。
- ^ “琉球エアーコミューター (RAC) 機材一覧 ブリテン・ノーマン BN-2 アイランダー/ディフェンダー”. FlyTeam. 2015年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月25日閲覧。
- ^ 沖縄タイムス2008年11月27日付夕刊記事
- ^ “琉球エアーコミューター (RAC) 機材一覧 ボンバルディア DHC-8-100”. FlyTeam. 2015年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月25日閲覧。
- ^ “新機種の機体にシーサーをデザイン RAC”. 琉球新報. (1997年3月8日). オリジナルの2013年5月1日時点におけるアーカイブ。 2018年2月17日閲覧。
- ^ “ドリンクサービス始めました!”. 美らっく RAC. 琉球エアーコミューター株式会社 (2016年4月1日). 2022年2月25日閲覧。
- ^ “JAL国内線区間マイル表”. 日本航空株式会社 (2017年12月). 2018年2月12日閲覧。