巨細胞性動脈炎
巨細胞性動脈炎(きょさいぼうせいどうみゃくえん、英: Giant-cell arteritis;GCA)は、リウマチ関連疾患の1つ。側頭動脈炎(そくとうどうみゃくえん (英: temporal arteritis)とも呼ばれていたが、血管炎の名称を定める国際基準CHCCの2012年改訂で現在の名前となった[1]。
巨細胞性動脈炎 | |
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顔面と頭蓋の動脈 | |
概要 | |
診療科 | 免疫学, リウマチ学 |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | M31.5-M31.6 |
ICD-9-CM | 446.5 |
OMIM | 187360 |
DiseasesDB | 12938 |
eMedicine | neuro/592 |
Patient UK | 巨細胞性動脈炎 |
MeSH | D013700 |
病因
編集詳細な原因は不明である。
症状
編集- 側頭動脈の自発痛
- 浅側頭動脈・後頭動脈の腫脹・硬化・圧痛・脈拍微弱/缺如(側頭動脈の数珠状変化・拡張は尤度比4.6および4.3であった[2])
- 拍動性の頭痛
- 発熱
- 視野欠損、失明
- 間歇性顎跛行 (jaw claudication; 食べ物を噛むときに頬に痛みがある。噛むことにより血流が不足するため。顎跛行は感度に乏しいものの、陽性尤度比が4.2と特異度が高い[2])
- 体重減少
などを認める。
検査
編集赤血球沈降速度 (ESR) 上昇、CRP増加、白血球数増加などが認められる。 眼底での動脈炎から失明を来たすことがあるため、眼底検査や眼科医の診察を受ける必要がある。 側頭動脈の生検が診断を下すうえで重要である。
- 超音波断層走査で側頭動脈、後頭動脈または滑車上動脈に低エコーの同心性血管壁肥厚(hypoechoic halo sign)が認められる[3]。
- 典型例ではCRP ≧5mg/dL, ESR ≧50mm/1hr
分類基準
編集アメリカ・リウマチ学会(ACR) 1990年
- 発病年齢 50歳以上: 臨床徴候の出現が50歳以上
- 頭痛: 新たに出現し、新しい性質の頭部に限局した疼痛(片頭痛などと鑑別できる)
- 側頭動脈の異常: 側頭動脈の圧痛・拍動の低下
- 赤沈亢進: 赤沈(ESR) 50mm/hr以上
- 動脈生検異常所見: 単核球細胞浸潤あるいは多型核巨細胞をもつ肉芽腫性病変
以上の5項目のうち3項目を満足した場合を側頭動脈炎と診断する。
治療
編集ステロイドが奏効する。ただし15mg/dayの少量ステロイドでよいリウマチ性多発筋痛症と違い、側頭動脈炎ではプレドニゾロン40〜60mg/dayの高用量を用いる。
関連項目
編集外部リンク
編集参考文献
編集- 三森明夫 (2013-02-20). 膠原病診療ノート 症例の分析 文献の考察 実践への手引き. 日本医事新報社. ISBN 978-4784953448
脚注
編集出典
編集- ^ 高橋啓 「CHCC2012」の概要と改訂のポイント,2016年1月確認
- ^ a b Smetana GW, and others. Does this patient have temporal arteritis? JAMA. 2002;287(1):92-101.
- ^ Buttgereit F, and others. Polymyalgia Rheumatica and Giant Cell Arteritis: A Systematic Review. JAMA 2016;315(22):2442-58