ナイトウィッシュ

フィンランドのシンフォニックメタル・バンド

これはこのページの過去の版です。頭が固い奴等 (会話 | 投稿記録) による 2020年4月29日 (水) 11:10個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (スタジオアルバム)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ナイトウィッシュNightwish)は、フィンランド出身のシンフォニックメタルバンド1990年代後半にこの分野の音楽が躍進する上で、最も重要な役割を担ったバンドの一つとされ[4]オペラティック・メタルの代表的存在として知られる[5]。バンドは、リードソングライター及びキーボーディストツォーマス・ホロパイネンギタリストエンプ・ヴオリネン、リードシンガーのターヤ・トゥルネンによって結成された。バンドはすぐにドラマーユッカ・ネヴァライネンを迎え入れ、1997年にデビュー・アルバム「エンジェルズ・フォール・ファースト」の発売後に、ベーシストのサミ・ヴェンスケが正式に加入した。2002年、ヴァンスケの後釜としてマルコ・ヒエタラが加入。ヒエタラは、ホロパイネンまたはゲスト歌手によって行われていた男性ボーカルの役割を引き継いだ[6]

ナイトウィッシュ
Nightwish
『エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル』ツアー (2015年11月)

バンド ロゴ
基本情報
出身地  フィンランド
北カルヤラ州北カルヤラ県キテー
ジャンル シンフォニックメタル[1][2]
ゴシックメタル[1][3]
パワーメタル[1]
活動期間 1996年 -
レーベル スパインファーム
ユニバーサルミュージック
ニュークリア・ブラスト
ロードランナー
ヴァーティゴ
NEMS エンタープライズ
センチュリー・メディア
ドラッカー
トイズファクトリー
公式サイト Nightwish.com
メンバー フロール・ヤンセン (ボーカル)
ツォーマス・ホロパイネン (キーボード)
エンプ・ヴオリネン (ギター)
マルコ・ヒエタラ (ベース、ボーカル)
トロイ・ドノクリー (イリアン・パイプス)
カイ・ハフト (ドラムス)
旧メンバー ターヤ・トゥルネン (ボーカル)
アネット・オルゾン (ボーカル)
サミ・ヴェンスケ (ベース)
ユッカ・ネヴァライネン (ドラムス)

「エンジェルズ・フォール・ファースト」以来、母国フィンランドでは顕著な存在だったが、彼らはアルバム「オーシャンボーン」(1998年)、「ウィッシュマスター」(2000年)、「センチュリー・チャイルド」(2002年)を発表するまで世界的な名声を得ることは出来なかった。2004年に発売したアルバム「ワンス」は100万枚以上を売り上げるヒット作となり[7]アメリカ合衆国でもブレイクを果たした。アメリカ最大のヒット曲「Wish I Had an Angel」は、MTVでのオンエアを受け、アメリカ映画のサウンドトラックにもなった[8][9]。バンドは2015年10月、トゥルネンを解雇する前に3枚のシングルと2つのミュージック・ビデオの他、「ベスト・オブ・ナイトウィッシュ」のために「Sleeping Sun」の再録音を生産した。彼女の最後のパフォーマンスはライブアルバム/DVD「エンド・オブ・アン・エラ」に収録されているコンサートである。このコンサート後、他のメンバーは彼女に公開書簡で解雇を通知した。

2007年5月、トゥルネンの後任としてアネット・オルゾンの加入が発表された[10]。同年9月、6作目のアルバム「ダーク・パッション・プレイ」を発売し、世界で約200万枚を売り上げた。アルバムのリードシングル「Amaranth」は、ヨーロッパでナイトウィッシュの最も成功したシングルの1つになった[11] 。アルバムを携えての世界ツアーは、2007年10月6日に始まり、2009年9月19日に終了した[12][13]。ライブアルバム「メイド・イン・香港」は2009年3月に発売された。7作目のアルバム「イマジナリアム」は2011年後半と2012年初めに様々な国で発売された[7][14]

2012年10月1日、ツアー中にオルゾンの脱退を発表。ツアーは、リヴァンプで元アフター・フォーエヴァーのメンバーフロール・ヤンセンをサポートに起用し続けられた[15][16]2013年10月、ヤンセンが正式メンバーとなり、長年にわたるセッション・プレイヤーであったイリアン・パイプス奏者のトロイ・ドノクリーがバンドの常設メンバーになったことを発表。2015年3月27日、アルバム「エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル」を発売し、批評家から肯定的評価を受けた。

ナイトウィッシュは、フィンランドで3番目に商業的に成功したバンドかつ音楽的存在であり、フィンランドで約90万枚のCDを売り上げている[17][18][19][20][21]。このグループは世界で最も成功したフィンランドのバンドでもあり、世界で800万枚以上のレコードを売り上げ、アルバムで5作、シングルで13作がチャート1位を獲得し、60以上のゴールド、プラチナ認定を受けている[22]

略歴

エンジェルズ・フォール・ファースト(1996~1997年)

 
ターヤ・トゥルネン(Vo) (2005年)

キーボード担当のツォーマス・ホロパイネンギター担当のエンプ・ヴオリネンの2人にボーカル担当のターヤ・トゥルネンが加わり、アコースティック・プロジェクトとして1996年7月にフィンランドのキテーにて始動。3人は10月から12月にかけて「ナイトウィッシュ」、「ザ・フォーエヴァー・モーメンツ」、「エティエイネン」の3曲を録音するが、このデモではレコード契約には至らず。なお、バンド名はこの楽曲名に由来する。

トゥルネンの強力なボーカルに驚いた2人は、ヘヴィメタルを愛好していたこともあり翌1997年ドラムス担当のユッカ・ネヴァライネンを加入させ、4月にスタジオ入りしてヘヴィメタルの要素を取り入れた7曲のデモを録音する。これにより同年5月にフィンランドのレコード・レーベル、スパインファーム・レコードと2枚のレコード契約を獲得し、11月に『エンジェルズ・フォール・ファースト』でデビューを果たした(日本盤は2004年7月22日発売)。同アルバムはフィンランドのアルバムチャート31位、さらに先行シングル「カーペンター」はシングルチャート8位となった。

オーシャンボーン~ウィッシュマスター(1998~2000年)

1998年、正式ベーシストとしてサミ・ヴェンスケが加入し、12月に本国で『オーシャンボーン』を発表。このアルバムは楽曲、演奏、音質、ほか全てにおいて前作を凌駕しており、ホロパイネン自ら「実質的なファースト・アルバム」と言わしめるほど充実した作品となった[要出典]。フィンランドでのチャート成績はアルバムチャート5位、シングル「サクラメント・オブ・ウィルダーネス」はシングルチャート1位。

同アルバムは翌1999年トイズファクトリーより日本盤も発売(4月21日)されたほか、世界各国でも発売された。このアルバムで世界進出したことにより、特にヨーロッパや南米で大きな人気を得ることになる。さらにドイツゴールドディスクになるなどブレイクしたことより、シングル「スリーピング・サン」を発売。

2000年に新曲「スリープウォーカー」でユーロヴィジョン・ソング・コンテストのフィンランド最終選考に残り、電話投票で圧勝したものの結局2位という結果で終わる。

その年の5月に『ウィッシュマスター』を発表、フィンランドのアルバムチャートで初登場1位、3週連続でトップになりゴールドディスクに認定される。

オーヴァー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ(2001年)

2001年、前年にフィンランドのタンペレで撮影・録音されたライブ作品『フロム・ウィッシュ・トゥ・エタニティ』がDVD、VHS、CDで発売(日本盤は2004年7月22日発売)。

6月にゲイリー・ムーアのカバー曲をタイトルトラックにし、新曲やリメイク曲を収録した『オーヴァー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ』を発表(日本盤は翌2002年1月23日発売)。フィンランド国外では『フロム・ウィッシュ・トゥ・エタニティ』のトラックが追加された。それから間もない同年10月、ヴェンスケが脱退し、フィンランド初のプロフェッショナル・メタラーであるマルコ・ヒエタラが加入することが発表される。

センチュリー・チャイルド(2002~2003年)

2002年、ヒエタラのボーカルとヨエンスー市立管弦楽団をフィーチャーした『センチュリー・チャイルド』を発表。同アルバムはフィンランドにおいて発売2時間でゴールドディスク、2週間でプラチナムディスクに認定される大ヒットとなり、日本でも次第に注目されるようになっていく[要出典]

2003年、ドキュメンタリービデオ『End of Innocence』発表(日本盤は未発売)。ホロパイネンらの証言や過去の貴重映像、ライブ音源などが収録された。

ワンス(2004~2006年)

 
『ワンス』ツアー (2005年)
 
ターヤ・トゥルネン(Vo) (2006年)

バンドを大きく躍進させる新作『ワンス』が2004年6月7日に発売(日本盤は同年7月21日発売)。今回起用されたオーケストラはロンドン・セッション・オーケストラで、映画『ロード・オブ・ザ・リング』三部作のサウンドトラックに参加したメンバーでもある(正確に言うと、ロンドン在のオーケストラから集められた演奏者の中に参加メンバーがいたということ)[要出典]。今作は前作までの総売上を上回る大ヒットになり、フィンランドでトリプルプラチナム、ドイツでプラチナムになったほか、世界各国でゴールドディスクやチャート1位になっていった[要出典]

日本でも前作の倍以上のヒットとなり、2005年3月には初の日本ツアーとして4都市5公演をアングラとともに行った。さらに2005年世界陸上選手権ヘルシンキ大会の開会式で大ヒット曲「ニモ」をパフォーマンスするなど、バンド活動は波に乗っていく。9月にはコンピレーション・アルバムハイエスト・ホープス』が発売された。

今作に伴うツアーは約1年半に及び、2005年10月21日にヘルシンキのハートウォール・アリーナで行われた最終公演はライブDVD/CD/LP用に収録された。そしてこの日、メンバーはトゥルネンに手紙を渡してバンドを脱退するように伝え、同時にその手紙を公開書簡としてインターネット上に公開した[23]。この事件はニュース番組や新聞で取り上げられて大きな騒動となった。この書簡に対し、トゥルネンも同様に公開書簡で応じている[24]

ツアー最終日の模様は翌2006年6月2日に『エンド・オブ・アン・エラ』として発売(日本盤は同年9月27日)され、即日ゴールドディスクになった。

ダーク・パッション・プレイ(2007年~2010年)

 
アネット・オルゾン(Vo) (2009年)
 
『ダーク・パッション・プレイ』ツアー (2008年)

2005年10月21日以降のバンドの活動は予定通り停止するが、そこにボーカリスト探しという仕事が加わった。メンバーは各々ソロで活動しながらナイトウィッシュとしての新曲をリハーサルし、2000人を越える候補の中からシンガーを選別していった。

トゥルネン脱退から約1年半後の2007年5月24日、後任ヴォーカリストとしてアネット・オルゾンの加入が発表された。彼女はミュージカルの主役を務めたことがあり、かつてはスウェーデンのメロディアス・ハードロックバンド、アリソン・アヴェニューで活動していた人物。

その後ファースト・シングル「エヴァ」をダウンロード販売のみのチャリティシングルとして5月25日に発表。8月にセカンド・シングル「アマランス」を発表し、アルバム『ダーク・パッション・プレイ』は9月26日に発売された。

アルバムは12月までに母国で100,000枚を超える売り上げになり、各国でプラチナ・ディスクやゴールド・ディスクを獲得、ツアーも盛況で、衰えない人気を示した。日本でも自己最高位となるオリコン54位を記録し[25]、初のワンマン・ツアーを成功させる等さらなる成功を収めた。また世界ツアーの模様は、アルバム『メイド・イン・香港』として残された。

ワールド・ミュージック・アワードでは“Best-Selling Artist - Scandinavia”を受賞し、「世界で一番売れたスカンジナビア出身アーティスト」として表彰された[26]

イマジナリアム(2011年〜2014年)

 
フロール・ヤンセン(Vo) (2013年)
 
『イマジナリアム』ツアー (2013年)

2010年より録音が始まった新作について2011年2月にその一部が公式発表され、『イマジナリアム』と題されたアルバムと映画が製作中である事が明かされた[27]

2012年10月1日、ツアー中にアネット・オルゾンの脱退が発表された。脱退の理由は、音楽性の違いによるメンバー間との軋轢が修復不可能であると判断したためであった。ツアーの代役には、元アフター・フォーエヴァーのボーカリスト、フロール・ヤンセンが参加することになった。

2013年10月9日、それまでサポートメンバーとしてツアーに参加していたフロールが、正式なボーカリストとして加入することが発表された。これに合わせて、イリアン・パイプス奏者のトロイ・ドノクリーの加入も発表された。

2014年、ドラム担当のユッカ・ネヴァライネンが、病気の治療専念により長期間の休業に入る。不在中はサポートのドラマーで対応する。

エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル(2015年〜 )

 
『エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル』ツアー (2015年)

2015年3月、フロールとドノクリーが加入してから初めてのスタジオ・アルバムエンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル』をリリース。タイトルは"種の起源"からの引用で[28]、動物行動学者リチャード・ドーキンスがゲスト参加。ライブサポートのドラマーは、カイ・ハフトが担当した[29]

2016年は結成20周年にあたり、大々的なライブステージを展開。同4月に来日公演を開催し[30]、同10月にも『LOUD PARK 16』出演にて再来日した。

同年秋にフロールの妊娠を発表。そのため、翌2017年は活動を休止し休暇に充てた。そして2018年春より活動を再開する。

2019年7月、最初期よりドラマーを務めたユッカ・ネヴァライネンの脱退を発表[31]。声明の中で、ユッカは5年程前より深刻な不眠症を患っており、前のアルバム『エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル』やリリースツアーも不参加となり、その後もバンド活動には関わらなかった[31]。結果、不眠症は快方に向かい、2019年7月迄には治療の必要が無いほどまでとなったが、バンドに戻らないことを決めたという[31]。後任には、サポートドラマーとしてユッカの休業後から、アルバムやツアーに参加していたカイ・ハフトが正式メンバーとして加入することとなった[31]。ユッカは、今後裏方としてバンドに関わるとしている[31]

音楽性

以前のナイトウィッシュは、女性オペラのボーカルが盛り上げるシンフォニックメタルを演奏していた[32]。彼らの音楽は、「ゴシック様式の雰囲気を作り出す鍵盤と弦を持つ、大胆で重厚でシンフォニックで映画的である」と言われている[33]。彼らはまた、パワーメタル[34][35]ゴシック・メタル[36][37][38]も演奏することで知られている。

バンドの音楽は、複雑であり[39] 、階層化[40]されていることも知られている。彼らのアプローチは壮大で[32]、演劇的で劇的[40]なものである。批評家チャド・バウアーは、この音楽は「いつも非常にメロディアスで、思い出に残るコーラスと多くのフックを伴う」と指摘している[33][41]

女性ボーカルの使用法は一種の商標になったが、2000年代半ばにエヴァネッセンスウィズイン・テンプテーションリーヴズ・アイズなどのような女性をフロントに置いたメタルバンドの普及によりラクーナ・コイルトリスタニアエピカなどの女性と男性のボーカルを混合したゴシック・メタル・バンドも誕生した[42]

ベーシストとボーカリストのマルコ・ヒエタラはバンドの音楽のスタイルを「メロディック・シンフォニー・メタル」と表現している[43]。これはバンドの作曲家ツォーマス・ホロパイネンを含むグループの全メンバーが共有するものではない[44][45]。バンドは単にシンフォニックメタルである[46]。いくつかの批評家は、デビュー以来バンドにゴシックなサウンドがあることを発見した[47]。ナイトウィッシュの音楽は、「際立ったオペラ声」のソプラノターヤ・トゥルネンの「強力な声でカリスマ性のあるフロントウーマン」と区別されていた[48]。批評家は、彼女のボーカルは、「ワンス」ではオペラ性が低くなったことを認めた[49]。グループからターヤ・トゥルネンが脱退した後、ナイトウィッシュは以前のアルバムの「特有のオペラボーカル」を残した[49]

ナイトウィッシュの音楽は女性リードシンガーを中心にしているが[50]、デビュー・アルバム「エンジェルズ・フォール・ファースト」以来、彼らのアルバムには何人かの男性ボーカルが登場している[51]。このデビューアルバムには、「フォーク・ミュージックとアンビエントの要素」も含まれていたが、これは後のアルバム「オーシャンボーン」で捨てられた[52]。しかし、アルバム「ワンス」の収録曲「クリーク・メリーズ・ブラッド」は民族思考のアメリカ先住民のメロディを使用していた。そして、2007年発売のアルバム「ダーク・パッション・プレイ」では「ジ・アイランダー」と「ラスト・オブ・ザ・ワイルズ」にフォーク・ミュージックの要素を取り入れている[53]

歌詞の主題

当初、ホロパイネンは主に神話やファンタジーをテーマに書いており[54]、しばしば「形而上学自然」への言及を用いた[55]。ファンタジー小説は、特にナイトウィッシュの歌詞に大きな影響を与えている。「ウィッシュマスター」、「エルヴェンパス」、「ワンダーラスト」などの曲はファンタジー小説、この場合は「ドラゴンランス」シリーズとJ・R・R・トールキンの「指輪物語」に影響を受けている[42]。アルバム「ウィッシュマスター」の収録曲「ファンタスミック英語版」はウォルト・ディズニーとディズニーアニメーション映画に対する直接的な賛辞であり、ホロパイネンは彼の影響を受けていると公言している[56]。アルバム「ダーク・パッション・プレイ」の収録曲「サハラ」、「フーエヴァー・ブリングス・ザ・ナイト」、「メドウズ・オブ・ヘヴン」などはファンタジー・テーマへの回帰を特徴とする。これはスティーブン・キングダーク・タワーシリーズの1つ「カーラの狼」から緩やかな影響を受けている[42][57]。「ザ・ポエット・アンド・ペンデュラム」の最初のセクションは「White Lands of Empathica」というもので、ダーク・タワーシリーズの第7作「暗黒の塔」を参照にしている[58]

長年を通して、歌詞はより個人的になった[56]。アルバム「ウィッシュマスター」の収録曲「デッド・ボーイズ・ポエム」は非常に感情的な作品であり、ホロパイネンは「世界全体の遺産や遺言。死ぬ前にこの曲をやりたかったのは、私が思って感じることを世界に伝えたいから。」と語る[56] 。個人的なものは「ウィッシュマスター」の後の作品「センチュリー・チャイルド」でより明らかになった。トゥルネンは、歌詞はもはや「私たちが慣れていた夢の世界ではなく、人生の残酷な現実」を扱っていないと考えている[59]

「ワンス」の収録曲「クオレマ・テキー・タイテイヤン」は、喪失の経験と芸術への影響を描写している。「ニモ」は喪失の気持ちを扱い[42]、「デッド・ガーデンズ」はアーティストとしての障害に苦悩するホロパイネンの姿を描く[42]。「クリーク・メリーズ・ブラッド」は、19世紀末にネイティブ・アメリカンの状況を示すディ・ブラウン英語版の同名の物語に基づいている[42]。2007年の「ダーク・パッション・プレイ」には、ホロパイネンの人生物語として描かれている「ザ・ポエット・アンド・ペンデュラム」など、珍しい量の個人的な曲が含まれている[58]。もう一つの曲「メドウズ・オブ・ヘヴン」は、ホロパイネンの幼年時代の描写と、それが決して戻ってこないという気持ちが描かれている。「バイ・バイ・ビューティフル」と「マスター・パッション・グリード」の2曲は元メンバーのターヤ・トゥルネンとその夫マルセロ・カブリについてのものである[58]。アルバムのもう1つの曲「ケイデンス・オブ・ハー・ラスト・ブレス」は、逃げることについての「非常に個人的な曲」である[58] 。アルバムには、エドガー・アラン・ポーウォルト・ホイットマンのような著者への多くの言及も含まれている[58]

言語

デビュー・アルバム「エンジェルズ・フォール・ファースト」では、フィンランド語の曲は1曲、それ以来バンドは英語で歌を書いているが、唯一の例外は「ワンス」(2004年)のシングル「クオレマ・テキー・タイテイヤン」、「イマジナリアム」(2011年)に収録されたインストルメンタル「ラスト・オブ・ザ・ワイルズ」に歌詞をつけたシングル「Erämaan Viimeinen」と「タイカタルヴィ」の3曲である。ホロパイネンは「Erämaan Viimeinen」の歌詞については非常に不確かであると考えている。なぜならフィンランド語での作詞はかなり難しく、「フィンランド語はすばやく本当に安っぽく聞こえる」という意見があったからである[60]

影響

バンドの主要な作詞・作曲者であるホロパイネンは、ナイトウィッシュの歌のほとんどは映画音楽から影響を受けていると語っている[61]。「ビューティ・オブ・ザ・ビースト」(「センチュリー・チャイルド」収録)、「ゴースト・ラヴ・スコア」(「ワンス」収録)、「ザ・ポエット・アンド・ペンデュラム」(「ダーク・パッション・プレイ」収録)がその一例である[61]。ホロパイネンは、映画音楽は余暇のために聴く音楽だとも語っている。彼は、例えば「ヴィレッジ」、「ヴァン・ヘルシング」、「ナルニア国物語/第1章: ライオンと魔女」、「クリムゾン・タイド」、そしてハンス・ジマーによって書かれた音楽の楽譜を好んでいる[61] 。「Bye Bye Beautiful」(「ダーク・パッション・プレイ」収録)や「Wish I Had an Angel」(「ワンス」収録)などの曲は、インダストリアル・メタルや「人魚の島で英語版」、「ラスト・オブ・ザ・ワイルズ」(「ダーク・パッション・プレイ」収録)、「クリーク・メリーズ・ブラッド」(「ワンス」収録)、そしてアルバム「エンジェルズ・フォール・ファースト」にはフォークミュージックの要素が含まれている。ナイトウィッシュが影響を受けたバンドには、チルドレン・オブ・ボドムマイ・ダイイング・ブライドティアマットザ・サード・アンド・ザ・モータル英語版など[62]

ナイトウィッシュに影響を受けたことを公言する者も出てきている。オランダシンフォニック/ゴシックメタルバンドエピカのリード歌手であるシモーネ・シモンズは、ナイトウィッシュの1998年のアルバム「オーシャンボーン」を聴いたことをきっかけに声楽を習い始めた[63]アフター・フォーエヴァーサンダー・ホマンズ英語版は、ナイトウィッシュは「新しい曲を作る際に私たちに確実に影響を与えている」と語っている[64]パワーメタルバンドソナタ・アークティカのリード歌手トニー・カッコは、ナイトウィッシュが彼にどれほど大きな影響を与えているかを説明している[65]

メンバー

現ラインナップ

旧メンバー

 
ユッカ・ネヴァライネン(Ds) 2013年
2014年から2019年まで、深刻な不眠症が原因でバンド活動には参加していなかった。

ディスコグラフィ

スタジオアルバム

ミニアルバム/EP

コンピレーション

ライブ作品

シングル

公演

主なツアー

日本公演

脚注

  1. ^ a b c Nightwish - ナイトウィッシュ - キューブミュージック・2014年8月28日閲覧。
  2. ^ MusicMight :: Artists :: NIGHTWISH” (HTML) (英語). MusicMight. 2008年9月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月29日閲覧。
  3. ^ The OFFICIAL Nightwish Bebo Page” (HTML). 2008年12月29日閲覧。
  4. ^ Brief Description of Metal Genres, as they are used as a reviewing and classification tool.” (HTML). The Metal Crypt. 2007年8月21日閲覧。
  5. ^ Sharpe-Young, Garry (2007年8月15日). “Nightwish (Finland)” (HTML) (英語). Rockdetector. 2007年8月21日閲覧。
  6. ^ Nightwish Biography”. TheTableWorld.com. 2010年7月7日閲覧。
  7. ^ a b Spinefarm”. Spinefarm.fi. 2011年1月11日閲覧。
  8. ^ Nightwish Official Biography”. Nightwish.com. 2010年6月5日閲覧。
  9. ^ The Cave: Music theme”. Soundtrack.net. 2009年10月16日閲覧。
  10. ^ Nightwish Announces New Singer”. RoadRunnerRecords.com (2007年5月27日). 2007年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年7月9日閲覧。
  11. ^ Nightwish – The Official Website”. Nightwish.com. 2007年6月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年7月12日閲覧。
  12. ^ Nightwish Live- 2007”. Nightwish.com. 2007年7月12日閲覧。
  13. ^ Nightwish Live- 2009”. Nightwish.com. 2007年7月12日閲覧。
  14. ^ NIGHTWISH: "Imaginaerum" - release date”. Nuclearblast.de. 2012年4月17日閲覧。
  15. ^ Press statement - October 1, 2012”. Facebook (2012年10月1日). 2012年10月1日閲覧。
  16. ^ CROMCarl. “Nightwish Singer Anette Olzon Splits With Band”. Metalunderground.com. 2012年10月1日閲覧。
  17. ^ Nightwish” (Finnish). Musiikkituottajat – IFPI Finland. 2012年1月29日閲覧。
  18. ^ Kaikkien aikojen myydyimmät kotimaiset albumit” (Finnish). Musiikkituottajat – IFPI Finland. 2012年1月29日閲覧。
  19. ^ Kaikkien aikojen myydyimmät ulkomaiset albumit” (Finnish). Musiikkituottajat – IFPI Finland. 2012年1月29日閲覧。
  20. ^ Kaikkien aikojen myydyimmät kotimaiset singlet” (Finnish). Musiikkituottajat – IFPI Finland. 2012年1月29日閲覧。
  21. ^ Kaikkien aikojen myydyimmät ulkomaiset singlet” (Finnish). Musiikkituottajat – IFPI Finland. 2012年1月29日閲覧。
  22. ^ Nightwish - Once”. finnishcharts.com (2015年). 17 October 2015閲覧。
  23. ^ Nightwish.jp - End of an Era - The open letter to Tarja” (HTML). Nightwish.jp. 2007年8月21日閲覧。
  24. ^ Nightwish.jp - Letter of Tarja” (HTML). Nightwish.jp. 2007年8月21日閲覧。
  25. ^ [1]
  26. ^ Nightwish が World Music Awards で表彰される
  27. ^ ニュー・アルバムのコンセプト “Imaginarium” を公開!
  28. ^ Nightwish To Release 'Endless Forms Most Beautiful' Album In March”. Blabbermouth.net (2014年12月22日). 2017年4月23日閲覧。
  29. ^ ナイトウィッシュが新アルバム『Endless Forms Most Beautiful』を3月リリース - amass
  30. ^ ナイトウィッシュ、4月に来日公演を行うことが明らかに”. NME JAPAN (2016年2月2日). 2018年9月17日閲覧。
  31. ^ a b c d e Nightwish press statement / July 15th, 2019”. Nightwish Official Facebook (2019年7月15日). 2019年7月28日閲覧。
  32. ^ a b Bowar, Chad. “Highest Hopes review”. About.com. 2008年7月14日閲覧。
  33. ^ a b Bowar, Chad. “Dark Passion Play review”. About.com. 2008年7月14日閲覧。
  34. ^ Nightwish - Power Metal”. 2017年6月14日閲覧。
  35. ^ Nightwish: Endless Forms Most Beautiful”. 2017年6月14日閲覧。
  36. ^ Finnish Gothic Metallers Nightwish Want To Grow Their North American Cult - Chart Attack” (23 October 2007). 2017年6月14日閲覧。
  37. ^ Nightwish: Dark Passion Play”. 2017年6月14日閲覧。
  38. ^ Nightwish: Once / Over the Hills and Far Away”. 2017年6月14日閲覧。
  39. ^ Bowar, Chad. “End of an Era review”. About.com. 2008年7月14日閲覧。
  40. ^ a b Fulton, Katherine. Review of End of an Era - オールミュージック. 2008年7月14日閲覧。
  41. ^ Huey, Steve. Biography of Nightwish - オールミュージック. 2010年8月7日閲覧。
  42. ^ a b c d e f Weber, Klaudia. “Nightwish Interview” (German). Underground-Empire.com. August 3, 2007閲覧。
  43. ^ Dusedau, Zack (2004年8月19日). “Interview with Marco Hietala and Emppu Vuorinen of Nightwish”. Metalunderground.com. 2008年7月14日閲覧。
  44. ^ Interview with Tuomas Holopainen and Anette Olzon of Nightwish”. Hallofmetal.com. 2007年12月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年3月16日閲覧。
  45. ^ Maria Paula Carvalho (23 December 2004). "Nightwish Interview" in Almanaque TV program (Globo News channel). Brazil. 2009年3月13日閲覧 Well, we kind of dress in black and we have a female singer, but that's pretty much it. I mean so many people consider us as a gothic metal band but I totally disagree. I don't think that... we can be put into any category
  46. ^ Interview with Tuomas Holopainen, Nightwish interview in Brasil”. dailymotion (2008年). 2017年6月14日閲覧。
  47. ^ Angels Fall First review” (German). Metal.de. 2015年2月25日閲覧。
  48. ^ Interview with Tarja Turunen (ex-Nightwish)”. Muzici si Faze (2005年11月30日). 2008年3月4日閲覧。
  49. ^ a b Grant, Sam (2004年5月7日). “Once review”. Sonic Cathedral.com. 2008年7月14日閲覧。
  50. ^ Begrand, Adrien (2004年1月24日). “Once review”. PopMatters. 2008年7月14日閲覧。
  51. ^ Grant, Sam (2003年2月10日). “Angel Fall First review”. Sonic Cathedral.com. 2008年7月14日閲覧。
  52. ^ Ravelin, Antti J. Review of Oceanborn - オールミュージック. 2008年1月27日閲覧。
  53. ^ Blackie, Andrew (2007年10月4日). “Dark Passion Play review”. PopMatters. 2008年7月14日閲覧。
  54. ^ lancelot (11 May 2005). “Nightwish: Oceanborn --> einfach genial!!!” (German). Yopi.de. August 3, 2007閲覧。
  55. ^ Matthias Mineur: Nightwish. Suomi Superstars in EMP 4/99, p. 26
  56. ^ a b c Weihrauch, Georg (November 12, 2000). “Interview Nightwish – Tuomas Holopainen” (German). Power-Metal.de. August 15, 2007閲覧。
  57. ^ Schwoebel, Ricarda (August 3, 2007). “Interview Nightwish – Anette, Tuomas” (German). Powermetal.de. November 4, 2007閲覧。
  58. ^ a b c d e Tuomas about the DPP tracks”. Tuomasholopainen.net. 2011年7月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年10月23日閲覧。
  59. ^ Klaner, Tom. “Nightwish” (German). Bright-Eyes.de. August 3, 2007閲覧。
  60. ^ Schwoebel, Ricarda (July 14, 2006). “Interview Nightwish – Tuomas Holopainen, Mape Ollila” (German). Powermetal.de. August 10, 2007閲覧。
  61. ^ a b c Nightwish.com”. Profile of Tuomas Holopainen. 2006年4月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。December 28, 2005閲覧。
  62. ^ Once Upon a Nightwish: Official Biography 1996–2006
  63. ^ Epica Online”. Profile Simone. April 22, 2006時点のオリジナルよりアーカイブ。December 28, 2005閲覧。
  64. ^ Musical Discoveries”. After Forever (2004年6月13日). 2011年1月13日閲覧。
  65. ^ The Gauntlet”. Sonata Arctica Interview (2007年3月31日). 2007年6月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年6月17日閲覧。

参考文献

外部リンク