ノートルダム大聖堂の火災
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ノートルダム大聖堂の火災(ノートルダムだいせいどうのかさい)は、2019年4月15日にフランス・パリのノートルダム大聖堂で起きた火災。
激しく燃える大聖堂(16日19:50撮影) | |
日付 | 2019年4月15日 |
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場所 | フランス・パリ |
概要
2019年4月15日の現地時間18時50分頃、フランスのパリにあるノートルダム大聖堂で大規模な火災が発生した[1][2]。火災の中心は大聖堂の上部であり消火は難航した[3]。2019年4月16日現在鎮火しているが、尖塔とその周辺の屋根が崩落した[4][5]。フランスの大統領エマニュエル・マクロンは、大聖堂を再建することを表明した[6]。
被害の状況
木組み構造の屋根部分はほぼ全焼し、尖塔が崩壊した。屋根に用いられていた鉛は火災により溶融した。[7]一方、石組みのヴォールトは被害を受けたが大部分は元の形を保ち材木の落下を食い止めた。溶融した鉛を含む燃焼物が身廊内に落下したが、身廊内への延焼は食い止められた。[8][9][10]
13世紀のバラ窓は3つとも生き残った。[11]
改修工事の内容
当時、大聖堂では改修工事が行われており、工事が原因で出火した可能性があると報道された[3]。ノートルダム大聖堂は老朽化が進んで壁に亀裂が入るなどしており、2018年にフランスのカトリック教会が改修工事のために寄付を募った[5]。2019年4月11日には尖塔にある彫像16体がクレーンで下ろされており、彫像の修復作業中に尖塔の改修工事を行う予定だった[13]。
火災原因の分析
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火災後の再建
2019年4月17日にフランス大統領のエマニュエル・マクロンは大聖堂の再建に関する会議を開き、出席したユネスコ事務局長のオードレ・アズレ、パリ市長のアンヌ・イダルゴ、建築の専門家などと共に焼失部は5年以内に再建が可能であることや焼失部以外の補強も必要であることを確認した[6]。また、それに先行する閣僚会議では崩壊した尖塔の復元において、焼失前の19世紀に増築された木製のデザインが石で作られた大聖堂に合わないとする批判があったことを考慮し、国際的コンペティションを実施して焼失前のデザイン以外についても募集する方向であることが示された[6]。
世界各国への影響
国家元首など
- バチカン:2019年4月16日にフランシスコ・ローマ法王は、ノートルダム大聖堂の大司教に対する「荘厳なゴシック建築は、周辺の景観も含めて世界遺産に認定されたパリの象徴でもある。悲しむ声は各国から上がっている」とするメッセージを発表した[14]。
- イギリス:2019年4月16日にエリザベス女王は、「(夫の)フィリップ(王配)と共に、大聖堂が炎に包まれる映像を見て深く悲しんでいます。私の思いと祈りは大聖堂で祈りを捧げる人々と、困難に見舞われたフランス国民と共にあります」という声明を発表した[14]。
- 日本:今上天皇、皇后が火災に心を痛め、「このたびのニュースに触れ、貴大統領閣下及び貴国民の深い悲しみに思いをいたしています。聖堂が再び姿をよみがえらせる日の確かな望みをあなたと共にしています」という見舞いの言葉を外務省を通じてフランス大統領のエマニュエル・マクロンに贈ることにしたのを2019年4月17日に宮内庁が発表した[15]。
各国首脳
- 日本:安倍晋三首相はマクロン大統領に宛てた見舞いのメッセージを送り、「パリの象徴であり、ユネスコの世界遺産として世界中に愛されているノートルダム大聖堂が炎に包まれるのを見て、大変な衝撃を受け、深く心を痛めている。日本政府と日本国民を代表して、フランス国民の皆様に心からお見舞いを申し上げる。この大いなる喪失に際し、すべての日本国民はフランスと共にある」と表明した[16]。
- アメリカ:ドナルド・トランプ大統領は、ミネソタ州で「ひどい火災だ。ノートルダム大聖堂は国を越え、われわれの成長、文化、そして人生の一部だ。私も行ったことがあるが、本当にすばらしい大聖堂だ」と述べた[17]。また、トランプ大統領はツイッターで「見るに耐えない」、「水のタンク(空中消火機)を飛ばしたらどうか」などと消化方法の提案をしたが、フランスの消防当局幹部たちはこの提案に笑って「笑える」と反応した上で、上空から放水すると大聖堂全体の崩壊を招く恐れがあるとしてトランプ案の採用を見送った[5][18]。さらに、トランプ大統領は2019年4月16日にフランス大統領のエマニュエル・マクロンと電話会談を行い、大聖堂の火災被害へ見舞いとアメリカ合衆国としての再建に向けた援助を申し出た[19]。
- 韓国:文在寅大統領はSNSに「われわれみんなの喪失だ」「フランス国民の無念さは計り知れない」などと書き込んだ[20]。
- 中華人民共和国:習近平主席はマクロン大統領に宛てた見舞いのメッセージを送った[21]。
- イギリス:テリーザ・メイ首相は2019年4月16日、ツイッターに「私の思いは、火災と闘う消防隊およびフランスの人々とともにある」と投稿した[14]。
- エジプト:アブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領はフェイスブックに「偉大な建造物を失ったことは、人類社会にとって大きな損失だ。心はフランス国民と共にある」と投稿した[14]。
政府機関
- 日本:菅義偉官房長官は、記者会見で「ユネスコの世界遺産でもあるノートルダム大聖堂の焼失は世界にとっての損失であり、非常に心を痛めている。日本政府として、マクロン大統領をはじめとするフランス政府とフランス国民に謹んでお見舞いを申し上げる」と述べた[16]。
- バチカン:ローマ教皇庁は、「フランスと世界のキリスト教の象徴である大聖堂が被害を受けた恐ろしいニュースを衝撃と悲しみをもって受け止めている。私たちは消防士や事態解決のために尽力している人たちのために祈っている」という声明を報道官を通じて発表した[16]。また、文化評議会議長で枢機卿のジャンフランコ・ ラバージは2019年4月16日に文化財修復の専門家を派遣する考えを示した[22]。
- アメリカ:ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は、「ノートルダムは、宗教の自由と民主主義を含め、これからもフランスの象徴としての役割を果たし続ける。われわれは、2001年に米国で発生した9.11同時多発攻撃を受け、翌12日に鳴らされたノートルダムの鐘の音を、感謝とともに思い出す。鐘は、ふたたび鳴らされるだろう」とする声明を発表した[19]。
国際機関
- 国際連合:ユネスコ事務局長のオードレ・アズレは、Twitterで「1991年に世界文化遺産に登録された大聖堂でこれほど激しい火災が起きたことは遺憾だ。ユネスコとして事態を注視するとともに、貴重な遺産を保護し復元するためフランスを支援する準備がある」とコメントしている[17]。
再建運動
- 実業家のフランソワ・アンリ・ピノーは、大聖堂の再建のため、自身の投資会社を通じて1億ユーロを寄付する考えを明らかにしている[16]。
企業
- 動画サイトYouTubeは、本事件のライブ中継ページに「9・11事件陰謀論」に対する注意喚起のパネルを誤って挿入した。YouTube社の担当者によると、大聖堂から立ち上がった煙を9・11事件に誤認したことが原因だという[23]。
- 大聖堂を舞台にしたミュージカル『ノートルダムの鐘』を上演していた劇団四季は16日、会場の名古屋四季劇場にお見舞いのメッセージを張り出したほか、公式ツイッターに日仏英3カ国語でお見舞いの言葉を投稿した[24]。
- 大手ゲーム企業のユービーアイソフトはこの火災を受け、「以前の大聖堂の美しさを知ってもらいたい」との理由から、4月18日から1週間限定でフランス革命の時代のパリを舞台とし、ノートルダム大聖堂も登場するアサシンクリード ユニティのPC版の配布を決定、さらにユービーアイソフトはノートルダム大聖堂の修繕のために50万ユーロを寄付することを明らかにした。[25]
- フランスの航空会社エールフランスは、大聖堂の修復に関連する人の航空券を無料にすることを発表した[22]。
- フランスの保険会社グルパマは、火災前の大聖堂で用いられていた量に相当する1,300本分の木材提供を実施することを表明した[22]。
脚注
- ^ “仏ノートルダム寺院で大規模火災 尖塔が崩壊”. AFPBB NEWS. (2019年4月16日) 2019年4月16日閲覧。
- ^ “パリのノートルダム大聖堂で大規模火災”. 毎日新聞. (2019年4月16日) 2019年4月16日閲覧。
- ^ a b “パリ ノートルダム大聖堂で火災、尖塔崩れ落ちる”. 日本経済新聞. (2019年4月16日) 2019年4月16日閲覧。
- ^ “一夜明けて鎮火 ノートルダム大聖堂火災 屋根裏付近から出火か”. NHKニュース (日本放送協会). (2019年4月16日). オリジナルの2019年4月16日時点におけるアーカイブ。 2019年4月16日閲覧。
- ^ a b c “ノートルダム大聖堂で大火災 尖塔と屋根が崩落”. BBC NEWS JAPAN. (2019年4月16日) 2019年4月16日閲覧。
- ^ a b c “崩落「尖塔」の修復はコンペで ノートルダム大聖堂火災”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2019年4月18日). オリジナルの2019年4月18日時点におけるアーカイブ。 2019年4月18日閲覧。
- ^ Nossiter, Adam; Breeden, Aurelien (15 April 2019). “Notre-Dame Cathedral in Paris Catches Fire”. The New York Times. ISSN 0362-4331. オリジナルの15 April 2019時点におけるアーカイブ。 15 April 2019閲覧。
- ^ “Photos show center of Notre Dame cathedral miraculously intact”. New York Post (15 April 2019). 15 April 2019閲覧。
- ^ “France vows to rebuild Notre Dame Cathedral after devastating fire — live updates”. CBS News. 16 April 2019閲覧。
- ^ Hinnant, Lori (16 April 2019). “Shock, sadness, but no panic: Minutes that saved Notre Dame”. AP NEWS
- ^ Hignett, Katherine (16 April 2019). “Notre Dame "miracle"? Rose windows' stained glass appears to have survived savage blaze”. Newsweek. 17 April 2019閲覧。
- ^ ノートルダム大聖堂、聖遺物「いばらの冠」と「聖ルイのチュニック」 - ハフポスト
- ^ “空飛ぶ伝道師!? ノートルダム寺院などで修復作業 仏パリ”. AFPBB NEWS. (2019年4月12日) 2019年4月16日閲覧。
- ^ a b c d “ローマ法王「悲しみに寄り添い再建願う」 連帯の声続々”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2019年4月16日). オリジナルの2019年4月18日時点におけるアーカイブ。 2019年4月18日閲覧。
- ^ “両陛下、ノートルダム火災でお見舞いの言葉 仏大統領へ”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2019年4月17日). オリジナルの2019年4月18日時点におけるアーカイブ。 2019年4月18日閲覧。
- ^ a b c d “パリ ノートルダム大聖堂火災 ほぼ消し止められる”. NHKニュース (日本放送協会). (2019年4月16日). オリジナルの2019年4月16日時点におけるアーカイブ。 2019年4月16日閲覧。
- ^ a b “パリ ノートルダム大聖堂で火災 中央部分が崩落 大きな被害”. NHKニュース (日本放送協会). (2019年4月16日). オリジナルの2019年4月16日時点におけるアーカイブ。 2019年4月16日閲覧。
- ^ “ノートルダム火災に空中消火機、トランプ氏提案に仏消防当局「笑える」”. AFPBB News (フランス通信社). (2019年4月17日). オリジナルの2019年4月18日時点におけるアーカイブ。 2019年4月18日閲覧。
- ^ a b “トランプ米大統領、ノートルダム火災で仏に見舞い 支援申し出”. Reuters. (ロイター). (2019年4月17日). オリジナルの2019年4月18日時点におけるアーカイブ。 2019年4月18日閲覧。
- ^ “ノートルダム大聖堂火災 文大統領がお見舞いのメッセージ”. world.kbs.co.kr. 2019年4月17日閲覧。
- ^ “習近平主席、マクロン大統領に見舞い電 ノートルダム大聖堂の火災受け”. ライブドアニュース. 2019年4月17日閲覧。
- ^ a b c “ノートルダム修復に来るなら航空券無料 エールフランス”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2019年4月18日). オリジナルの2019年4月18日時点におけるアーカイブ。 2019年4月18日閲覧。
- ^ “ノートルダム火災の動画に9.11テロ情報、ユーチューブが誤掲載”. Bloomberg.com. 2019年4月16日閲覧。
- ^ “劇団四季、上演中「ノートルダムの鐘」会場でメッセージ”. 朝日新聞. 2019年4月17日閲覧。
- ^ Ubisoftが地元パリのノートルダム大聖堂の修復に支援を発表、さらに同聖堂が登場する「アサシンクリード ユニティ」PC版も無料配布Eggplantgaming