高校の野球部引退5か月後のオーディション突破で映画の主役に…木下暖日を支える事務所社長も元高校球児

スポーツ報知
木下暖日

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 驚くほどのスピードで高校球児が切り開いた未来に、令和の時代ならではの多様性を感じた。

 2月1日、東京・新宿の映画館。一昨夏まで神奈川の県立校・大師で「5番・左翼手」として白球を追っていた当時18歳が、新作映画の舞台あいさつで出演者の真ん中に立っていた。

 青年の名は、木下暖日(だんひ)。野球部の引退から5か月後に初めて受けたオーディションで「約2000分の1」の難関を突破し、世界的な映画監督・三池崇史氏(64)が指揮する「BLUE FIGHT~蒼き若者たちのブレイキングダウン~」の主役の座をつかんだ。

 木下が所属する芸能事務所「YKエージェント」の栗原健社長(39)も球児だった。同じ神奈川の桐蔭学園で主将を務め、03年センバツに出場した経験を持つ。「極めてレアなケース」と栗原氏も驚くシンデレラストーリー。その裏には、高校野球という“糸”で結ばれた縁があった。木下をタレントとして発掘したのは、栗原氏が在学時、桐蔭学園でコーチを務めていた日本ハム・坂本晃一スカウト(58)だった。

 神奈川担当の坂本スカウトは、大師を重ねて視察するうちに「格好いい」と木下にタレント性を感じ、かつての教え子に紹介した。栗原氏は「直感でしかないが、雰囲気や話し方など『この子で勝負できるかな』と感じた」と振り返る。

 栗原氏は、大学時代のアルバイト先の経営者が芸能関係者だった縁で、プロダクションへの就職を決めた。「何者でもない子をスターにする。それが、やりがいです。(木下は)世界で活躍できるような俳優になってほしい」。二人三脚で、大きな夢を追う。(アマ野球担当・浜木 俊介)

 ◆浜木 俊介(はまき・しゅんすけ)1987年入社。アマチュア野球に携わって6年目。趣味は大相撲観戦。両国に本社があることが誇らしい。

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