【報知映画賞】山崎貴監督、「ゴジラ―1.0」で監督賞 小3で怪獣映画に憧れ半世紀「夢かなった」

今年の映画賞レースの幕開けとなる「第48回報知映画賞」の各賞が27日、発表された。監督賞は「ゴジラ―1.0(マイナスワン)」の山崎貴監督(59)が受賞した。表彰式は12月上旬に都内で行われる。
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ゴジラとの出会いは、山崎監督が小学3年生の時だった。地元の銭湯に貼ってあった「三大怪獣 地球最大の決戦」(64年)のリバイバル上映ポスターに心を奪われ、両親にせがんで見に行った。怪獣映画の世界に魅了されてから半世紀。「まさに夢がかなった。スーパースペシャル怪獣ごっこでしたね。それで監督賞まで頂いちゃっていいのかな」と頬を緩める。
05年の第30回報知映画賞で作品賞を受賞した監督作「ALWAYS 三丁目の夕日」の続編(07年)冒頭で、フルCGのゴジラを登場させている。「これがゴジラの監督を先延ばしにするきっかけでして。たった2分の登場シーンに半年間かかりきりのスタッフがいて、これは大変だと。技術的にも時期尚早だな」と気持ちに蓋をしてきた。
以降、数々の作品でVFX(視覚効果)への挑戦と試行錯誤を重ねた。満を持して監督を務めた本作では「(54年の)第1作を見た人が感じたゴジラの圧倒的な恐怖を再現すること」に注力。VFXによる緻密(ちみつ)で壮大な映像と、胸を打つ人間ドラマを同居させ、スクリーンに“最恐”のゴジラを出現させた。公開24日間で興行収入は34億円を突破。北米でも日本の実写映画では最大規模の1500館超で来月公開される。
早くも続編を望む声が上がっており「気の遠くなる作業の連続でしたが楽しかった。またスタッフたちと苦労してもいいかも」と意欲。「自分たちの映画で観客をびっくりさせたい。それが僕の映画の原体験でもありますから」と、映像への尽きない情熱と探究心をのぞかせた。(奥津 友希乃)
★ゴジラ―1.0 終戦直後の日本。元特攻隊員の敷島(神木隆之介)は、戦争で家族を亡くした典子(浜辺美波)と出会い、生活を立て直そうとするも、ゴジラが東京に上陸し、街を破壊する。敷島は、戦後処理の特殊任務を担う船の船長(佐々木蔵之介)や研究者(吉岡秀隆)らとゴジラに立ち向かう。
◆山崎 貴(やまざき・たかし)1964年6月12日、長野県松本市出身。59歳。86年に映像制作プロダクション「白組」に入社し、映画のミニチュア製作やデジタル合成を担当。2000年、「ジュブナイル」で監督デビュー。05年に映画「ALWAYS 三丁目の夕日」で報知映画賞作品賞を受賞。その他の代表作に「永遠の0」「STAND BY ME ドラえもん」など。
▼監督賞 選考経過 複数の候補が挙がったが、最初の投票で石井裕也監督と山崎貴監督が接戦に。決選投票で「ゴジラ―1.0」の山崎監督に決まった。「過去に数多く製作されてきたゴジラという作品に挑む難しさがある中、とても面白く仕上げた」(藤田)、「この世あらざる光景をヒューマンな人間ドラマにした圧倒的な腕力」(見城)
【選考委員】 荒木久文(映画評論家)、木村直子(読売新聞文化部映画担当)、見城徹(株式会社幻冬舎代表取締役社長)、藤田晋(株式会社サイバーエージェント代表取締役)、松本志のぶ(フリーアナウンサー)、YOU(タレント)、LiLiCo(映画コメンテーター)、渡辺祥子(映画評論家)の各氏(50音順、敬称略)とスポーツ報知文化社会部デスク及び映画担当。