森永卓郎氏が直言
その税率や公的負担についても、公平どころかむしろ、富裕層の方が安いと指摘するのは、『書いてはいけない――日本経済墜落の真相』の著者で経済アナリストの森永卓郎氏だ。
「国民負担率は直近で46.1%――これは財務省が公表している数字です。一方で、大金持ちは資産管理会社を作っているので、日常生活の一部は経費で支払え、消費税分ですら、税額控除で還付されるので支払わなくて済む。株の譲渡益なら20%です。
これは『1億円の壁』とも言われ、1億円を境に所得が増えるほど、実際の税負担率が下がるとされ、岸田総理は2021年の総裁選で『壁』の解消を訴えていたほどですが、いまだ未着手です。
実際の負担率は大金持ちの方がむしろ軽いのです。政治家は口では賃上げ要請など、労働者に寄り添う姿勢を見せますが、実際の制度では結果的に企業やお金持ちのプラスになることしかやっていないのです」(森永氏)
これでは国民が疲弊して経済が弱くなるのは必然かもしれない。格差拡大と言われて久しいが、これはたまたまではなく、国が政策として作った制度がもたらした結果なのか。