まぬままおまさんの映画レビュー・感想・評価

まぬままおま

まぬままおま

ジジ(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

MyFFF

彼(三人称単数)は、女性の身体になったことで肯定的に現在に至る道を語っている。しかしそのアイデンティティーを獲得したと思わせる理想化された身体に、そう思われることに女性はずっと異議申
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セザールが持つもの(2024年製作の映画)

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MyFFF

デジタルビデオの画質で撮られる警察の取り調べシーンで、この映画がただの嘘だということを露わにしてしまっている。姉が性暴力を受けたことを警察が弟に伝えるとかありえないでしょう。もちろん
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幸せを呼ぶ歯(2023年製作の映画)

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もう中盤ぐらいですが、My French Film Festival(https://www.myfrenchfilmfestival.com/)!

子どもたちの方が、大人たちよりひどいことして
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恋多き女(1956年製作の映画)

5.0

「世界で最も知的な映画」(☆1)。そう評したのはゴダールであるが、その知的さは今みても全く色褪せるものではない。

濱口竜介監督も2024年にルノワール特集上映で再鑑賞して、「精密な活気」を感じる作
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水になる雪(2018年製作の映画)

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サラエボ。

スコープを映すことは映画の優しさ。

子どもたちは撃たれなくて済んだ事態の重さを全く分かっていない。部屋の中での雪合戦によって。

孤独な夜の出会い(2024年製作の映画)

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カメラワークや照明など、かなりこだわっているのが感じられる。
無言の演技で緊張感を生ませる上手さも素晴らしい。

嗤う蟲(2024年製作の映画)

4.0

手を握る無根拠さ。

完成披露上映会にわざわざ参加して公開前に観に行ったのは、城定監督作品が好きだからである。というのはもちろん建前で、若葉竜也と深川麻衣を間近でみるためなのが本意ではある。
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モーリ(2024年製作の映画)

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会えないのなら、会わす。

現実の困難さを映画でドキュメントしたところで、感傷に浸る以上の何ものでもない。それが気持ちいいことなのは重々承知でありつつ、まだ映画でできることを信じている。

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いつまでも、いつまでも(2021年製作の映画)

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寄らないと友情は生まれない。
それならカメラも寄らないといけない。

引き画で何事かを語るのはとても現代的な気がするけれど、
その先を行きたいよね。

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.0

父と久しぶりに会った。
私は帰りが遅く先に部屋に入ってもらったのだが、この映画をみていた。

父はこれから小林秀雄の全集を集めようとしているらしい。
私は全く興味を惹かれず、むしろ『中国女』(
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トーテムシーウルフ(2021年製作の映画)

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楽しくないから伝統や儀式で正当化が行われ、けれどそこには共同体を維持するための切迫さがあって。

しかしその大義名分は骨抜きにされて、エスティ側の異議申し立ても当然に受け入れられるものだ。
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夏の庭 The Friends 4Kリマスター版(1994年製作の映画)

5.0

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散種。

死を目撃しようと小6の少年トリオが、生い茂る庭が不気味でボロボロな家に住んでいる気難しげなおじいさんを見張る。その見張りは小学生の可愛さで案の定バレてしまうのだが、彼らとおじいさんはなぜ
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お引越し 4Kリマスター版(1993年製作の映画)

5.0

レンコが鴨川デルタを覗く賀茂大橋を全力疾走する姿。あの溌剌さがスクリーンに映し出されたとき、この映画が傑作でしかないことが分かってしまうのだが、本当に素晴らしかった。
物語は、加茂川と高野川が合流す
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東京上空いらっしゃいませ(1990年製作の映画)

4.0

相米慎二監督作品。

1カットの長回しでこんなにも登場人物が世界を駆け回れることに驚愕した。物語の展開はハチャメチャだし、成り立っているの?とは思うけれど、長回しのシーンが凄すぎてそんなことどうで
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アット・ザ・ベンチ(2024年製作の映画)

4.0

久しぶりに映画をみて笑った。

ポスタービジュアルをみて、これは『ナイト・オン・ザ・プラネット』じゃんと思っていたが、案の定で、ジム・ジャームッシュ好きには堪らない作品だった。そして『ナイト・オン
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その夜(2013年製作の映画)

3.0

こういうのいいと思える体調になってきた。

「コンビニエンスストアで
 350mlの缶ビール買って
 きみと夜の散歩」

本作も悪くないけど、こちらの情景の勝ちです。

最後の望み(2014年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

会話劇で不在の者が浮かび上がることが映画でできるのは重々承知ではありつつも、伯父も父も知らないし、登場人物もはじめましてなわけで、彼らの深刻さと同じ水準に立てなかった。どうやって想像を可能にさせる準備>>続きを読む

ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

蘇生

「だから、もしもあなたが生きているなら、私が今この生を生きていることは、あってはならない。
 今、私が生きているのなら、あなたが存在してはならないのだ。」(p.147 ハン・ガン『すべて
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トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

クシシュトフ・キェシロフスキ監督作品。
トリコロール三部作・赤、イレーヌ・ジャコブ。

真赤な秘密、照らす光。

ヴァランティーヌが独り身で気難しげなジョゼフと親密になる理由は少し欠落してい
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トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

5.0

クシシュトフ・キェシロフスキ監督作品。
トリコロール三部作・白、ジュリー・デルピー。

前作の青では「最も尊いものは“愛”」と結論付いていたのに、
物語の始まりが離婚裁判であることが痛烈である
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トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

5.0

クシシュトフ・キェシロフスキ監督作品。
トリコロール三部作・青、ジュリエット・ビノシュ。

なぞる。

『ポンヌフの恋人』と『汚れた血』で恋愛観を完成させた(?)私としては、絶対にみないとい
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.5

最悪を最愛へと書き換えるのは、自立した〈わたし〉でなくていいし、そのために二人の亡き者がいることを、ドレス服姿のユリヤの背中から書いていきたい。

というか、もう書いたのですが、「ベストタイミング」が
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東京暮色(1957年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

和了れないひと。

『わたしは最悪。』に触発されて、今みなければいけないような気がした。そして明子はユリヤと同様「最悪な人」だった。

しかし明子が最悪な人にならなければいけないのは、彼女の本
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どうすればよかったか?(2024年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

おまじない

「伝わる言葉を 探して黙っているけど
 言わずにしまう思いはないのと同じだった」(yonige「愛しあって」)

見終わったあと、この歌を聴いて帰った。

カメラにドキュメ
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ジュリアの終わりなき旅(2014年製作の映画)

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旅人こそ情に厚いし、湿っぽい。
動かないと終われない。

インフルエンサー(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

レトロフューチャー!

友情とか、親子愛とか、アンドロイド≒非人間との絆とか古くさいものを擁護していて面白い。サイバーパンクの世界線が進めば、魂とか存在しないはずなのに。それに演出とか臭すぎてとて
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もういちど愛して(1971年製作の映画)

5.0

柵を通り抜ける風。

アラン・ドロンとナタリー・ドロンの元夫婦による共演が公開当時大いに話題になった本作。死んだ妻が夫にもういちど愛されるために生き返ってくるという物語も相まって、かなりゴシップ的
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危険なささやき(1981年製作の映画)

5.0

アラン・ドロンが初監督をしたハードボイルド・アクション!

これはかなり偏見ですが、俳優が監督をした作品は基本つまらない。主演をしていたらさらにつまらない。「自分が主人公の作品をつくりたいと思って
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暗黒街のふたり(1973年製作の映画)

5.0

ジョゼ・ジョヴァンニ監督作品。アラン・ドロンがジャン・ギャバンと最後に共演した作品でもある。

ジョゼ・ジョヴァンニは、第二次世界大戦中ゲシュタポ狩りなどナチズムに加担する政治活動を行って、194
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黄金時代(1930年製作の映画)

4.0

連行。

ルイス・ブニュエル監督・脚本、サルバード・ダリも脚本にクレジットされている。

ぶっ飛んでる…ブニュエルとダリの頭の中どうなっているんだ…50年間上映禁止・封印されているのも納得です
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極北の怪異/極北のナヌーク(1922年製作の映画)

4.0

『キノ・ライカ 小さな町の映画館』をみたら絶対にみたくなる作品~
カウリスマキと同じで『黄金時代』と「2本立て」でみました。1月にユーロスペースで特集が組まれるそうなので、ぜひ!

本作は、ドキ
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クリスマス・ゲーム(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

何のゲームをやっていて、何が面白いのか分からないゲームの不快さが、家族や伝統へ生き延びるために自発的に追従する不快さと重なって、なお不快。性暴力が含まれる物語の重さとタッチのズレは意図されていないので>>続きを読む

愛に関する短いフィルム(1988年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

『デカローグ』の第6話を長編劇映画として再構成した本作。

第6話は、19歳のトメクが年上の女性であるマグダとの「愛」でイニシエーションを果たす印象が強い。それに対して、本作は、窃視の被/対象の逆
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殺人に関する短いフィルム(1987年製作の映画)

5.0

現在、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で『デカローグ』が上映されている。ポーランドの団地の風景はこの季節にぴったりだし、今年で国内配給権が終了とのことなので、絶好の機会でしかないと思う。全10話>>続きを読む

キノ・ライカ 小さな町の映画館(2023年製作の映画)

4.2

私もアキ・カウリスマキみたいに気難しい人、ではなく街に明かりを灯せる人になりたいものだ。

文化人が住んでいるとは言えど、鋳物工場が象徴的なカルッキラに自分たちの手で映画館をつくってしまうのがかっ
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