鬼に逢うては鬼を斬る
仏に逢うては仏を斬る
ツルギの理ここに在り
概要
ニトロプラスより2009年10月30日に発売されたスラッシュダークADV(18禁)。
正式名称は『装甲悪鬼村正 -Full Metal Daemon MURAMASA-』。
ニトロプラス創立10周年記念作品で、同社では初となるワイド&縦書きフォーマット仕様。
更に美麗なCGグラフィック、戦闘シーンを盛り上げる劔冑(ツルギ)の3Dアニメ、純和風でハイクオリティなBGM、ニトロ史上過去最多の登場人物&豪華声優陣、「デモンベイン」を超えるボリュームの重厚なシナリオ、更に主題歌「Muramasa」に小野正利を起用するなど、同社からの異様な力の注ぎようが随所に伺われる。
まさにニトロプラス10年の集大成とも言える作品。
シナリオは同社の『刃鳴散らす』を執筆した奈良原一鉄が担当。
「暗黒大河」と銘打っているように人を選ぶ内容ゆえ、購入に際しては体験版(第一幕・第二幕を収録)をプレイして確認することをオススメする。
なお「刃鳴散らす」は少しアッーだったが、今回はちゃんとした純愛物語であるのでご心配なく。
好感度次第でヒロインとか容赦なく殺しちゃうけれどね。
10周年にあたってか、ニトロプラスの過去作のネタも豊富に詰め込まれているのも特徴。また、初回限定版は紙箱ではなく木箱で包装されるという仕様になっている。
わけのわからん所にこだわる辺りやはりニトロ。
外伝やアンソロジー、メディアミックスを精力的に行っているのも特徴。
- アンソロジー
- 『装甲悪鬼村正 邪念編』 - 公式パロディアンソロジー。
- 『装甲悪鬼村正 暴走編』 - 公式パロディノベル。
- ドラマCD
- 『装甲悪鬼村正 妖甲秘聞』 - 本編以前、因縁の始まりを描いたドラマCD。
- コミカライズ
- 『装甲悪鬼村正 鏖』 - 「月刊チャンピオンRED」連載。本編の前日譚、第一章に至るまでを描く。
- 『装甲悪鬼村正 魔界編』 - 「月刊コミックブレイド」連載。本編終了後の新たなる戦いを描く。
- 『装甲悪鬼村正 英雄編』 - 「月刊コンプエース」連載。ヒロインの一人、綾弥一条が主人公。
- ノベライズ
- 『装甲悪鬼村正外伝 琴乃の劔冑』 - 公式外伝の小説&フォトストーリー。
- 『装甲悪鬼村正 妖甲秘聞』 - ドラマCDを基にしたノベライズ。
- 『装甲悪鬼村正 宇宙編』 - 原作から未来、宇宙を舞台にした新作。
メディアミックスに定評の無いニトロなのにどれも出来の良いメディアミックスである。特に『魔界編』はファンから高い支持を得ている。
ただし、本編後の物語なのでネタバレのオンパレードとなっている。プレイ後に読む事を推奨。
第二回人気投票において『貴方の邪念を叶えますコンテスト』が開催、応募により二次創作作品が多数寄せられた。
このうち大賞を受賞した作品が『装甲悪鬼村正 贖罪編』としてノベルゲーム化。2016年7月29日より無料配信されている。
また「県立地球防衛軍」「巨乳ハンター」の作者・安永航一郎によるWebコミックが、公式サイトにて公開。(※体験版のネタバレが入る為、プレイ後に読む事を推奨)
鬼才の名にふさわしく、なんかもういろいろとんでもない事になっている。そして真改さんに萌える。
ストーリー
魂が宿る鎧――劔冑(ツルギ)。
世界最強の兵器である劔冑を纏う者は武者(ムシャ)と呼ばれ、空を舞い、鋼を断つ力を得る。
六波羅幕府が統治する極東の島国・大和では、白銀の劔冑を纏った武者の噂がまことしやかに囁かれていた。無差別殺戮を繰り返す武者・銀星号。数多なる人々を虐殺していく魔王の畏怖は、次第に大和中に伝播していく。
その銀星号に立ち向かう武者がひとり。
血のように紅い劔冑――村正を纏う彼は、宿敵・銀星号を負う傍ら、悪逆を働く代官や連続殺人犯をもその刃で断ち斬っていく。
しかし彼は正義を名乗ることはしない。なぜならば、彼の纏う劔冑は勢洲右衛門尉村正。
かつて大和を地獄に変えた、呪われし劔冑であるからだ。
――これは英雄の物語ではない。英雄を志す者は無用である。
世界観
日本に良く似た島国「大和」が舞台。
大和人の他、北海道に当たる地域に「蝦夷(えみし)」と呼ばれる一族が暮らしている。
独立国家として隆盛していたが、二度目の世界大戦において大敗を喫した。
物語の開始時には国際連盟軍から派遣された大英連邦の進駐軍「GHQ」の占領を許している。
大戦の傷は少しずつ癒えているものの、大和を実効支配する六波羅幕府の圧政に加え、白銀の劔冑を纏った武者による虐殺、通称「銀星号事件」が発生しており、情勢は明るいものではない。
- 六波羅幕府
- かつては大和の一軍事組織だったが、大戦中に国を裏切り、国際連盟軍に大和を売り渡した。
それにより大和の実効支配、および軍事力である劔冑の所有を認められている。
その成り立ちや無期限の軍政による圧政により、国民の印象は良くない。そのため、たびたび各地で反乱が起きている。
- GHQ
- 正式名称は「国際連盟大和進駐軍司令部」。
「大和の民主化と平和回復」を掲げて駐留しているが、政権を六波羅幕府に丸投げしている。
実は民主化そのものは建前でしかなく、六波羅を「自国を亡ぼす暴虐の徒」として排除するのが目的。
- 大英連邦(ブリテン)
- イギリスおよび植民地、海外領土によって形成される世界最大の超大国。世界の半分を統治している。
最大の敵である「ロシア帝国」を封じる為の包囲網を画策中。
その要となる大和を手に入れる為、GHQを大和に派遣した大元。GHQを通じ、敗戦後も六波羅幕府によって余力を残している大和を今度こそ完全支配しようと画策している。
- 新大陸独立派(アメリカン・ドリーマー)
- 大英連邦に支配されている新大陸を解放・独立させようとする一派。大英連邦にとっては獅子身中の虫。
たびたび武装蜂起を起こしているが、ある理由から戦力を多く保有出来ずにことごとく失敗している。
劔冑という戦力を多数保有する大和を支配する事で、大英連邦に対して新大陸独立戦争を画策している。
この他にも様々な国家や組織の存在が確認され、個々の思惑によって暗躍している。
人物紹介(少々のネタバレあるので注意)
- 湊斗景明 CV:石川ゆうすけ
- この物語の主人公。
作中では20代と明言しており、いろいろな時間軸と照らし合わせるとおそらくは29歳と思われる。
ある理由から、これでもギリギリorアウト。
内務省警察局鎌倉市警察署属員として、「銀星号」と呼ばれる謎の武者を追っている。
善悪相殺の呪いを持つ劔冑「村正」の仕手。
作中で「暗闇星人」などと比喩される陰鬱な雰囲気を醸し出しているが、根は真面目人間の極地。ちょっぴり、どことなく、そこはかとなくSっ気があるかもしれない。局所的な意味で。
学生時代には山岳部・サッカー部・茶道部に所属、野球においてはバントの魔王と呼ばれ、装甲競技(アーマーレース)のファンで真面目にレーサー目指していた頃があり、将来骨董商の生活も良いと考えていた時期があり、吉野御流合戦礼法を修めている。多趣味ってレベルじゃねーぞ!
ガチンコ人気投票09~10ではおよそ三カ月に渡る長い戦いの果て、1位を獲得。
- 綾弥一条 CV:海原エレナ
- メインヒロインの一人。
とある過去から病的なまでの正義感を持ち、圧政を敷く「悪」である六波羅に強い憎悪を持つ女学生。
名前と苗字をよく逆に読まれる。芸術的な方向感覚の持ち主。
- 大鳥香奈枝 CV:吉川華生
- メインヒロインの一人。細められた糸目と巨乳が特徴。
GHQに所属する軍人で、作中において大きな意味を持つ姓「大鳥」を持つ。
- まともなヒロインがいないこの作品の中でも、最も狂った設定の持ち主。詳細は個別記事にて。
- キャラデザがライターの前作『刃鳴散らす』に出てきた某キャラに似ている為、雑魚呼ばわりされたりする事もある。でもどっかの雑魚と違ってこっちは雑魚じゃないよ!!
- 足利茶々丸 CV:金田まひる
- メインヒロインの一人。
六波羅四公方の一人であり、紅一点。父親を殺して地位を奪った過去を持つ。
- 政治方面に秀でた人物であり策士。劔冑の知識も深い。
- ヒロインというよりはキーキャラに近い。
- ???? CV:九条信乃
- 「銀星号」と呼ばれる武者。
名の通り白銀の劔冑を纏い、大和各地に出没しては無差別殺戮を行っている。体は景明の義妹、湊斗光。
- 雪車町一蔵 CV:氷河流
- 胡散臭げな白髪のチンピラ風の中年男。GHQと六波羅の双方に顔が利く筋者。
自他共に認める「悪党」であり、卓越した剣術を持つ。
善でも悪でもそれを真剣に生きている者を好む一方、どちらにもよらない半端者を忌み嫌う。
- 警察署長 CV:祭大!
- 景明を影ながら支援する人物。
景明が銀星号事件に専念出来るのは彼の尽力が大きく、景明を動きやすいように警察署属員にした。
- 遊佐童心 CV:居口伝衛門
- 六波羅四公方の一人。古河公方。
婆娑羅者を自称する坊主であり、作中でもっとも裏表のない性格。
四公方の中では年配という事もあり調整役をやることも多いが、その実ry
中の人がこのキャラを気に入ったのか、エロゲ名義を遊佐童心にしてたりもする。
- 大鳥獅子吼 CV:蒼井大地
- 六波羅四公方の一人。篠川公方。
実利重視の合理主義者であり、毒舌家、雷蝶とよく衝突する。
発売前は「噛ませ臭がする」など散々言われていたが、本編プレイ後にはプレイヤーの多くがジャンピング土下座をする羽目になった。
明言はされてはいないが、色々血筋に疑いがある。デザインのモデルはどこぞのライター兼剣術の師範代。
- 今川雷蝶 CV:杉崎和哉
- 六波羅四公方の一人。小弓公方。
今川護氏の妾腹の子。オカマ口調で話し、何よりも美を愛する、本作品四公方最大のネタ要員。
- 策謀を巡らせる事を好むが、策謀が非常に下手。だが彼の本来の土俵においては「六波羅において並び立つ者はいない」とされる実力者。モーニングビューティータァァイムは本作最大級の露出を誇る。
- 足利護氏 CV:秋山樹
- 六波羅幕府、元帥竜軍大将にして正三位六衛大将領。
六波羅幕府のトップに立つツンデレおじじ。
- 己の覇道を敷くべく行動する。だが、配下である四公方のキャラが濃すぎたりするせいで、六波羅で一番影がry
- 湊斗統 CV:奏雨
- 景明の母。年齢詐欺な若い風貌。煙草と酒を愛と家族をこよなく愛する巫姫(かんなぎ)。
武人としての力量も高く、ある意味万能超人。物語開始時点で故人。
- チャールズ・ウィロー CV:秋山樹
- GHQ参謀第二部部長。階級は少将。
歴戦の猛者であり、女王から勲章を授与された経験を持つ。
- 部下たちからも高い信頼を持たれているが、他人に依存しやすいのが欠点。新大陸独立派。
- クライブ・キャノン CV:転河統一
- GHQ資料管理下所属。階級は中佐。
白人には珍しく、差別主義者ではない。大和人の能力を評価し、人当たりの良い会話術と柔軟な思考を使いこなす策謀家。
チャールズ・ウィローからも深く信頼を受けているGHQ側の中心人物。新大陸独立派。
- ジョージ・ガーゲット CV:瀬路啓維
- GHQ資料管理課所属。階級は少佐。
大和語を完璧に使いこなす程の頭脳明晰さを持つが、に白人至上主義であり差別主義者。
新大陸出身。新大陸独立派。
- ウォルフラム・フォン・ジーバス CV:野☆球
- 通称:パンツ教授。
GHQの学術顧問であり、独逸統合連邦出身の学者。
- 「何故、人はパンツを穿いているのか?」という哲学に悩む変態。
- ルーヴィ・サシュアント CV:竹田いづも
- 出落ち。
- 新田雄飛 CV:葵海人
- 鎌倉に住む少年にして、この物語の真の主人公。この物語はこの少年が成長していく物語である。
生まれもなにもかもが主人公属性なのだが、出た作品が悪かった。
- 山賊の首領 CV:木村あやか
- 元六波羅の武士、新陰流六波羅派を扱う。
猫属性ツンデレ、やまとなでしこ風味。長い笑い声が特徴。
- 永倉さよ CV:千代鈴
- 大鳥香奈枝の侍従を務める小柄な老婆。柔和な外見に反して毒舌家で、主人すら容赦なくDisる。
老体でありながら、高い戦闘能力を保有する。隠しで彼女とのエロシーンがある。
- 柳生常闇斎 CV:空乃太陽
- 新陰流六波羅派宗主にして、六波羅厩衆元締。
大和一位の剣客。その実力は状況が揃えば、生身で劔冑を圧倒する事が出来るほど。
- 皇路操 CV:河合春香
- 「競技用劔冑(レーサークルス)」を用いた人気競技・装甲競技(アーマーレース)の仕手。
大和で最も人気がある装甲騎手。無口かつ無表情だが、装甲競技にかける情熱は高い。
- 牧村 CV:
- 景明が住む邸宅の家政婦。
彼女を中心人物の一人とした二次創作『装甲悪鬼村正 贖罪編』がゲーム化された。
ある意味では、全ての元凶。彼女にその責を問うのは余りに酷ではあるが......。
- オーリガ CV:木村あやか
- 終盤に登場する和装外人。とある組織の渉外を担当している。
ほんの数回しか喋ってないのに、何故か人気投票上位に残る人。
劔冑紹介
「劔冑」については個別記事を参照。
- 村正 CV:須本綾奈
- 千子右衛門尉村正。
景明の操る劔冑であり、真打と呼ばれる部類。
妖甲の異名を持ち、かつて大和を地獄に変えたとされる。
- 性格はドジっ子で天然。魔導書、グロ生物と手を出し、ついにニトロは鎧萌えに手を出した。
- 独立形態は蜘蛛。
- 銀星号 CV:北都南
- 各地で虐殺を繰り返している白銀の劔冑。
- その性能は他の劔冑を圧倒的に凌駕し、作中でも驚異的な戦闘力を見せる。
正式名称は二世右衛門尉村正。三世村正の先代(母親)。
- 正宗 CV:転河統一
- 相州五郎入道正宗。
天下一名物と名高い剱冑だが、数百年に渡り死蔵されていた。
正義の遂行をなによりも優先する正義馬鹿。戦闘中もやかましい。
ある理由から、間違いなく使いたくない剱冑ナンバー1に輝くお方。余程信念強い人間かドM末期じゃないと使えない。
独立形態は天牛虫(カミキリムシ)。
- 真改 CV:滑川菊太郎
- 井上真改。または和泉守国貞とも。
大坂正宗と謳われた名甲で、朝廷の倉に置かれたこともある。
性格は謙虚。「作中一の紳士」「乗るなら真改さん」と、プレイヤーから愛されている。
独立形態は百足。『装甲教師鈴川』ではヒロイン。
開発の経緯
図説西洋甲冑武器辞典に洗脳された奈良原さんが
奈良原「刀の次は鎧ってどうですかね」
社 長「いいんじゃね?」
10周年でもニトロは平常運転である。
その他
2015年1月にリリースされたブラウザゲーム「刀剣乱舞」は、ニトロプラスが原作を担当している。
その後2017年1月31日、「千子村正(刀剣乱舞)」が実装。なまにくATK氏がキャラクターデザインを担当するという奇縁が生まれた。なお、こちらはたいへんえっちなおにいさんである。
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