地球儀(ちきゅうぎ)とは、
本項では両方について触れる。
球体としての地球の模型であり、世界地図の役割を同時に兼ねている。
地球は球体であるため、平面の地図では正確に再現できない距離や面積などをほぼ正確に再現できるという利点がある。また地軸の傾きを再現するため、斜めに台に固定され、横に回転させられるようになっている。陸地や海溝が浮き彫りになっているタイプのものもある。
一般にも学習教材、インテリアとして広く普及しており、子供の頃に学習机と一緒に買ってもらった古い地球儀が部屋や押し入れにまだあるという人は多いだろう。
「シイゼエボオイ・エンドゼエガアル」と。母は静かに朗読した。竹筒の置ランプが母の横顔を赤く照らした。
「スピンアトップ・スピンアトップ・スピンスピンスピン――回れよ独楽よ、回れよ回れ」と彼の母は続けた。
「勉強がすんだらこっちへ来ないか、だいぶ暗くなった」と祖父が言った。母はランプを祖父の膳の傍に運んだ。彼は縁側へ出て汽車を走らせていた。
「純一や、御部屋へ行って地球玉を持ってきてくれないか」と祖父が言った。彼は両手で捧げて持ってきた。祖父は膳を片づけさせて地球儀を膝の前に据えた。祖母も母も呼ばれてそれを囲んだ。彼は母の背中に凭りかかって肩越しに球を覗いた。
「どうしても俺にはこの世が丸いなどとは思われないが……不思議だなア!」祖父はいつものとおりそんなことを言いながら二三遍グルグルと撫で回した。「ええと、どこだったかね、もう分らなくなってしまった、おい、ちょっと探してくれ」
こう言われると、母は得意げな手つきで軽く球を回してすぐに指でおさえた。
「フェーヤー? フェーヤー……チョッ! 幾度聞いてもだめだ、すぐに忘れる」
のちに幻想的な作風で「ギリシャ牧野」と呼ばれた牧野信一だが、本作は初期の私小説路線の作品である。著作権が切れているため、青空文庫でも読むことができる。
2013年度大学入試センター試験にて、国語の第2問(小説)として出題。短いため、抜粋ではなく全文が掲載された。
上記の引用部分にあらわれている 「シイゼエボオイ・エンドゼエガアル」「スピンアトップ・スピンアトップ・スピンスピンスピン」「フェーヤー? フェーヤー……チョッ!」といったそこだけ見れば何かの呪文めいた言い回しに加え、途中で小説の中に登場人物の書いた私小説が挿入されるという構造が多くの受験生を混乱させ、試験後に各所で話題となった。→スピンスピン
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最終更新:2024/12/23(月) 04:00
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