元禄繚乱とは、1999年に放送された第38作目のNHK大河ドラマである。
「赤穂浪士」「元禄太平記」「峠の群像」に続き、忠臣蔵を題材にした4作目(かつ2015年現在では最後)の大河ドラマ。タイトルの通り、元禄時代の人々が織りなす愛憎劇や政治ドラマがふんだんに盛り込まれており、忠臣蔵大河の集大成とも言える作品になっている(例えば、討ち入りの最大の目的は吉良上野介への復讐ではなく、不公平な判決で浅野赤穂藩を取りつぶした幕府への抗議という点は「赤穂浪士」、柳沢吉保が一連の事件を裏で操る黒幕的存在だる点は「元禄太平記」など、過去の作品へのオマージュも多い)。主人公の大石内蔵助役である中村勘九郎(後の中村勘三郎)は、「元禄太平記」で息子の大石主税を演じたことがあり、大河ドラマで大石父子を両方演じることとなった。本作ではその主税役を、彼の次男である中村七之助が演じている。
通常なら序盤で起きる刃傷松の廊下が、本作では全49話中、第19回・第20回(5月放送)とかなり遅かったのも特徴のひとつで、刃傷松の廊下に至るまでの出来事が丹念に描かれている。前半はどこか狂気を帯びた徳川綱吉のワンマン専制ぶりと、その中で頭角を現しのし上がっていく柳沢吉保、そして綱吉に許嫁を奪われた挙げ句、時代に翻弄される本作架空の人物・岡島忠嗣(後述)の3人がメイン。初回は刃傷松の廊下から20年以上前から始まるため、大石内蔵助や浅野内匠頭がそれぞれ家督を継いだばかりで、初登場時の吉良はまだ黒髪の壮年といずれもまだ若々しい。
後半になると、赤穂藩再興の夢が絶たれると幕府への抗議のため討ち入りを果たそうとする大石、わざと赤穂浪士の討ち入りによる騒ぎを拡大させて、赤穂藩のみならずその本家である浅野広島藩と吉良の息子が藩主を務める上杉米沢藩もろとも取りつぶしを企む柳沢、藩の改易を防ぐために大石・柳沢に対抗する米沢藩家老・色部又四郎の3人による謀略劇が中心となる。
このため、本作の吉良は悪役ではなく、刃傷松の廊下も吉良の浅野いじめではなく双方の意見の対立という意味合いが強く、後半になると大石・柳沢・色部の3人の抗争に翻弄された被害者として描かれている(その最期も、大石に「みども(自分)を真の敵と思うてか?」と問いかけた後に、粛然と死を受け入れる堂々としたものとなっている)。また、柳沢も単なる悪人ではなく、あくまで主君・綱吉と幕府に領土を献上するために謀略を巡らせるが、いざ討ち入りが起こると綱吉が赤穂浪士を絶賛しはじめ、ある意味最後の最後で綱吉に裏切られるという顛末となった(もっとも、側室の染子が産んだ子を綱吉の落胤に仕立て上げたことがばれ、綱吉に散々叱責されるのだが)。一方、討ち入りに参加した赤穂浪士は、大石や吉田忠左衛門らごく一部を除き、ほとんどが吉良の首を取ることに固執する脳筋ばかりという難点もあった。
忠臣蔵を題材にした大河ドラマでは、毎回狂言回し的な架空の人物が登場するが(「赤穂浪士」の堀田隼人・蜘蛛の陣十郎、「元禄太平記」の柳沢兵庫、「峠の群像」の石野七郎次)、本作では先述の岡島忠嗣というキャラクターがその役を担っている。彼は許嫁の染子を綱吉に奪われた挙げ句、故郷の上州沼田藩を綱吉に取りつぶされ(しかも、藩の改易を食い止めるために切腹した彼の父と兄の犠牲が無駄死となる)、柳沢の側室となった染子と密通したり、綱吉の暗殺を企むなど色々やらかした後、後半では友人の堀部安兵衛を介して赤穂浪士の討ち入りを手助けする。最終的には史実で赤穂浪士の生き残りとなる寺坂吉右衛門に役目を代わってもらい、討ち入りを見届けた後に内蔵助から事件の真実を後世に伝える役目を託されるのだが、前半が忠臣蔵とあまり関わりの無い話であることや、オリキャラでありながら赤穂四十七士の一人となる(但し、あくまで見届け人として加わるのみで、戦闘には参加しない)などの展開が批判されることもあったという。
なお、脚本の中島丈博はこれ以前にも「草燃える」「春の波濤」「炎立つ」と計4作の大河ドラマの脚本を担当したベテランだが、後に「真珠夫人」「牡丹と薔薇」などの昼ドラも手掛けているだけあってか、日曜の夜8時に放送するには際どすぎるお色気シーンがたびたび見られる(ドラマ放送時に出版されたノベライズは、官能小説並の濡れ場もあり)。また、大石の愛妾となり彼の子を妊娠する遊女・お軽を、人気子役として活躍した安達祐実が演じたことでも話題になった。安達は当時18歳で実年齢に近い役柄なのだが、子役のイメージが強い上に安達がかなりの童顔であるため、当時「犯罪臭がヤバい」「大石内蔵助がロリコンになった」と色々話題を呼ぶこととなった。
本作は、多くの大河ドラマのディレクターを務めた大原誠のNHK最後の作品であり、彼が演出を務めた作品を中心に、過去の大河ドラマの主演を務めた俳優が最も参加している。太字は本作やそれ以降の作品を含め、歴代大河ドラマの主人公を演じた俳優・女優である。
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掲示板
3 ななしのよっしん
2020/06/14(日) 08:41:47 ID: 5DkqeAA5Ch
4 ななしのよっしん
2023/09/19(火) 12:42:47 ID: QDnTNivqmu
視聴当時11歳の自分には刺激の強い内容だった
染子さんが岡島と合体したかと思えば、綱吉に抱かれたり、柳沢の側室になったりという流れは、悪女的な生き様というものを自分に強く印象付けることになったと思う
5 ななしのよっしん
2023/11/10(金) 21:59:15 ID: hdinh57Oxv
忠臣蔵ネタをやるなら、
・井上ひさし『不忠臣蔵』
・森村誠一『吉良忠臣蔵』
…辺りを大河ドラマ化するのもアリや。
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最終更新:2025/01/08(水) 13:00
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