この記事は第298回今週のオススメ記事に選ばれました! よりニコニコできるような記事に編集していきましょう。 |
レーション(英:ration)とは、各国の軍人の朝食・昼食・おやつ・夕食・夜食のことである。
本来は「割り当て」「支給」などを意味しており、軍隊で支給される配給品(歯ブラシや手袋など)全てを指す語であったが、最近では作戦行動などに当たって個人に支給される携行糧食(コンバットレーション)のみを指す場合が多い。
その支給品の1つである携行糧食は、近年では携行性や保存性を考慮し缶詰にレトルトパックを組み合わせたタイプが現代では主流となっている。現地の気候などによっては簡易燃料や水清澄剤といったものが同梱されることもある。
また糧食の中には缶などで包装された物もあるため、兵士にはアーミーナイフ(十徳ナイフ)が支給され、有事の際にはアーミーナイフ等で缶を開封するよう訓練している軍隊も多い。
レーションは「兵士を戦闘可能な状態に維持する」「大量に生産・消費され、補給路遮断を考慮して長期間保存されることがある」「戦地に置かれ、火も水もない状況での維持食たりうる」「末期の食事になるかもしれない」といった様々な条件のもとに作られている。高いストレスと死の恐怖に晒される交戦地域では「食事」も兵士や将官の士気に響くため、ある程度自国民の味覚や好みに配慮し、バリエーションを増やしたレーションが多い。
レーションの中身は「包装に至るまで各国の事情を表現している」と言われており、味に特化したフランス、ティータイムを重視したイギリス、デザートにワインつきのイタリア、肉料理にこだわるドイツ、異色の「米飯+おかず」という形態の日本、実用本位のアメリカ、寒地のため熱を加える事前提のロシア・中国など、国ごとに内容物が違う。中にはモンゴルのように大量の軽食様の食品を袋詰めしておき、兵士は常時それをボリボリつまんで過ごすというレーションもある。
また、係争中でない国同士の軍人は平和的に接しており、特に複数の国の将兵が一堂に会した時はレーションの大交換会が催されることもある。最も高く評価されるのはフランスのレーションだが、"異色"の日本も好評を得ており、自衛隊がカンボジアに派遣された際での交換会では参加国32ヶ国中で「戦闘糧食II型」が最も人気があったといわれている。
些か失礼な話だが、軍事趣味者としても「味」がもっとも気になるところであり、よく「一番美味なのはどこの国のレーションか」等と議論になる。各所のWEBサイトなどではフランスを筆頭に、イタリア・ドイツや日本が好意的に評価されているが、逆にほとんどの場で「一番マズイ」として槍玉に挙げられ、またレーションネタでオチをしめる役回りが多いのが、米国のレーション「MRE(Meal, Ready-to-Eat)」である。
このMRE、特に1981年頃から支給された初期型MREには様々な蔑称がつけられた。「誰もが食べることを拒否したメニュー(Meals Rejected by Everyone)」や「食べ物に似た何か別の物体(Materials Resembling Edibles)」など。その極めつけはタイトルの「(当時国全体が飢餓状態に置かれていた)エチオピア人さえも拒絶するメシ」であろう。あまりのまずさにここまで罵られたのである。
この初期MREはまさに大量生産保存性最優先のマクドナルティックレーションであり、その味はさながらヨハネスブルグのガイドラインで列挙できそうなほどまずく、散々各国から味覚オンチと揶揄されたアメリカ人でさえ拒否反応を示し、残飯が40%も出て兵士が1日に必要なカロリーを補いきれなかったであろうという報告が出る程に忌避された。
現在のMREではそのまずさはいくらか改良されているが、現在でも「マズイ」糧食の比喩表現として使われる。
一部には「レーションの味と戦争の強さは反比例する」などと言う話もあるが、あまりアテにはならない。
「心身の健康を保つ」ことが料理の存在意義である以上、特に長期の絶食状況に置かれる可能性を考慮して、レーションは味の他に栄養についても配慮がなされている。保存が効き大量に備蓄されていて、カロリーが高く調理しなくても食べられるため、災害などの際に民間にも配給されることがある。ただし兵士(≒激しい運動を行う者)が食べることを基準として作られているため、長期連食した際には栄養バランスの点でやや難があり、そもそもレーション自体長期間の連食は想定していないことが多い。
また上述のように、各国レーションはできるだけ「自国の味」を再現しつつ栄養も考慮されて製作されている場合が多く、レーションのみで最低限の必要栄養素を満たせるように想定されている。つまり、レーションの中身は兵士の激しい運動に堪えうるように高カロリー(一般に3,000~4,000kcal、体力の減耗が激しい厳寒地のレーションは最高7,500kcal、成人男性が1日に必要なカロリーは約2,300kcal)なメニューになっているので、もし食べる機会があったとしても、相応にエネルギーを消費しなければ急速に太ってしまうだろう。
また、自衛隊の災害派遣の際には被災者感情に配慮し、缶メシ(戦闘糧食I型)から赤飯を外しているという。
レーションといえど各国軍隊の軍需物資であり、国民の血税で作られる官品である。通常、これらは軍隊内で配給され軍隊内で消費されることが義務付けられているため、上記のような災害時等のケースでもなければ「食用の」正規レーションが民間に出回ることは基本的になく、ましてや金品と取引されることはありえない。もし金品とのやり取りがあったならばそれは横流しであり、発覚すれば官品横領の罪で逮捕されることは間違いない(外国では実際にレーションを横領したグループが逮捕されている)。
よって、しばしば「実物レーション」として民間に出回るものは、長い間食べられず軍内でも必要要件(消費期限)を満たさなくなった古いレーションが「観賞用グッズ」という名目で払い下げられたものがほとんどである。その場合、あくまでそれはコレクターグッズであり、食品としての健康的保証は一切されていないので留意されたい。実際、その点については多くのレーション紹介サイトで特記している。
しかし、血税を利用しているがためにレーションはコストを限界まで抑えていることが多く、ほとんどの国で民生品(市販されている食品)をレーションに加えている。例えば三立製菓やカニヤが自衛隊に卸している乾パンは納入の際の合格基準が厳しいだけで、中身自体はスーパーなどで販売されているカンパンと同じものである。
また、最近は企業が民間向けにカジュアル仕様にした「ミリメシ」を販売する場合もある。例えば自衛隊の朝霞駐屯地では民間向けのPX内でレーションと同等の「災害保存食」が販売されている。他、民間で売られている「災害用保存食」も、レーションに準じている。
「スパムメール」やモンティ・パイソンのスケッチで有名になった「スパム(SPAM)」。このスパムに「飽きられるほど連続する」という意味が付会したのは、これがレーションに含まれていたからである。
携行性に優れ、塩分・脂質・タンパク質が多く、ソフトシェル包装で開けやすいといった特徴を持つこのランチョンミート「SPAM」は、その利便性・保存性を買われてアメリカ軍に納入されていた時期があった。スパムも他のMRE同様とにかく大量に米軍に納入され、しかも保存性が高すぎるので食糧庫にはSPAMばかり溜まり、しかしながら塩味が強く連食すると飽きが来るため早くから飽きられ、兵士たちはうんざりしながらSPAMを食うはめになり、「今日もスパム、明日もスパム、明後日もスパム、来週もスパム…」という状況に陥った。 [1]
さらに「レンドリース法(武器貸与法)」が米国で可決されると、これ幸いとばかりに死蔵されていたSPAMを含むレーションも各国に軍事物資として大量に送付された。特に英露にはたっぷり送られた。当然、イギリスに送られたレーションはイギリス軍の食糧ということになり…モンティ・パイソンがネタにするほどSPAMがシティに溢れることになったのだ。
これが、「飽きられるほど大量に送りつけられる」という意味でのSPAMの語源である。
掲示板
222 ななしのよっしん
2024/03/15(金) 11:15:41 ID: 5TwtfsmB/G
基本的に味付けされてないから小分けの袋の塩をぶち込んでようやく料理として食えるレベル
223 ななしのよっしん
2024/08/17(土) 02:52:24 ID: JjZ4UQECFf
缶詰が廃止になりレトルト中心の非常用糧食になってから
品質の低下とコストダウンが著しいからな
昔は日本ハムとかハウス食品が作っていてそれなりに食えたんだけど
今じゃ競争入札で得体の知れないメーカーになってたり
原材料も中国産ばかりでどうしたものかと
224 ななしのよっしん
2024/12/15(日) 15:59:58 ID: Nv+PDdFoV6
【ミリ飯】米軍と自衛隊のレーション(戦闘糧食)で3日間生活してみた。【ずんだもん&ゆっくり解説】
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最終更新:2025/01/03(金) 04:00
最終更新:2025/01/03(金) 03:00
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