カレリアとは、フィンランド共和国とロシア連邦にかけて広がる地域の呼称。カレリア語とフィンランド語ではKarjala(カルヤラ)、ロシア語ではКарелия(カレリヤ)、スウェーデン語ではKarelen(カレーレン)と呼ぶ。
フィンランド人にとって精神的な原郷であると共に、白海カレリアはサーミ人の、南部のインゲリア(インゲルマンラント)はエストニア人も含めた北西フィン・ウゴル語族の故地である。
現在、ロシア連邦のカレリア共和国とレニングラード州、フィンランドの北カルヤラ県と南カルヤラ県に分割されている。北では、コラ半島とポフヤンマー、西にサヴォ、ハメ、ウーシマーとフィンランド湾、南から東ではラドガ湖やスヴィル川、オネガ湖を挟んでインゲリアや狭義のロシア、そして北西に白海がある。
先史時代には、フィン・ウゴル語族が住み始めた。400年頃からはスヴェーア人(現在のスウェーデン人の祖先)がこの地域で活動を始めた。特に、東方ではヴァリャーグ、西方ではヴァイキングやノルマン人と呼称されるこの人達は、この地域にノブゴロド公国を建国した。一方で本国スウェーデンもその領域を拡大しており、中世には、この地域はスウェーデン対ノブゴロド、カトリック(後にはプロテスタント)対正教徒の前線となる。
近世に入ると、バルト帝国としてバルト海に君臨したスウェーデン王国によって西カレリアが治められるが、ピョートル大帝の下で強大化したロシア・ツァーリ国は、大北方戦争でスウェーデンを打ち破り、最終的にロシア帝国となったこの国によって、現在フィンランドが持つ南北カルヤラを除くカレリア全土を奪われることとなった。更に、ロシア・スウェーデン戦争を経て、ほぼ全カレリアをロシアが支配することとなる。
ロシア革命によってロシア帝国が崩壊すると、西カレリアはフィンランドとして独立した。ところが、ソ連第二の都市レニングラード(現サンクトペテルブルグ)から当時のフィンランド国境まではわずか32kmしかなかった。これを気に食わないソ連はカレリアの割譲を要求。国土と経済の中枢を奪われる事になるフィンランドはこれを拒否して冬戦争が勃発した。冬戦争でフィンランドは善戦したが、周辺国の支援は全くなく、逆にソ連の軍事力は増強されていく中でやむなく、カレリアを割譲。ナチス・ドイツがバルバロッサ作戦でソ連に攻め込むとフィンランドも旧領奪回を狙い、継続戦争を戦うこととなる。一時は冬戦争以前の国境まで進みそれどころか、東カレリアさえ奪う勢いだったが、ナチス・ドイツが敗北していく中で、フィンランドはまたも劣勢に追い込まれ、現在の国境が確定することになった。
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最終更新:2025/03/03(月) 21:00
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