ウボ=サスラ(Ubbo-Sathla)とは、クラーク・アシュトン・スミスが創造した生物であり、クトゥルフ神話の神の一柱。
ウボ=サスラは粘液と蒸気のなかに横たわっている手足のない不定形の存在であり、アメーバのようなものを吐き出しているという。冷たくじめじめした洞窟の中に潜んでおり、その洞窟の入り口は南極大陸の氷の割れ目かドリームランドの凍てつく荒野の秘密の入口など探検隊くらいしか行き着かないような場所であるという。
また、古のものはウボ=サスラの体組織からショゴスを作り出したといわれている。
『ネクロノミコン』や『エイボンの書』はウボ=サスラについて言及しているので、ぜひ一読して頂きたい。
別名:頭手足なき塊 (a mass without head or members)、始まりにして終わり(the source and the end)、無形の白痴なる造物主(the formless, idiotic demiurge)、自存する源(the unbegotten source)
クラーク・アシュトン・スミスが、この地球の全生命は一つの巨大な原形質から誕生したという設定で作品を書いた時、彼はその細胞原形質をウボ=サスラと名付けたが、後にオーガスト・ダーレスは、旧支配者の親とした。だが、これは設定と言うより、その場限りの呼称めいたもので、ダーレスとしては多くの作家たちの創造した存在を羅列する事が重要だったものと思われる。
スミスはウボ=サスラから二つのものが生まれたとした。
うち一つは「地球の生命のおそるべき原始型(プロトタイプ)」と言うもので、リン・カーターは、「七つの呪い」に登場している生き物たちのアルケタイプの事であるとした。
そして、もう一つは「灰色の原初の無形のイモリ」とされているが、リン・カーターはやはり「七つの呪い」に登場しているアブホスの事であると・・・どうやったらアブホスがそういうものと同一視出来るのかは不明であるが、兎に角、カーターはアルケタイプたちとアブホスが子供であるとした。
スミスの小説『ウボ=サスラ』では原初のまだ熱かった地球に、神々の秘密が記された超星石の銘板(tablets of ultra-stellar stone, 別名『旧き鍵』)に囲まれるようにして原始生命を生み出し続けているウボ=サスラの姿を描写している。
古代ハイパーボリアの魔術師ゾン・メザマレック(Zon Mezzamalech)が、乳白色の水晶―過去の生物(前世かどうかは不明)に意識を飛ばす力がある―を使って銘板の秘密を探ろうとする。その顛末を、作品発表当時のロンドンに住むポール・トリガーディスが身をもって知るという筋書き。
ローレンス・J・コーンフォードの『アボルミスのスフィンクス』は、メザマレックのライバル(自称)魔術師のホルマゴールが、無貌の神バイアグーナ(自称)によって破滅させられる話だが、バイアグ(ry(自称)は上記の水晶を『ウボ=サスラの目』という裏がありそうな名前で呼んでいた。
ル=クトゥの魔神たち版バイアグーナと全然違う姿のバ(ry(自称)さん…一体何ラトホテップが名前を借りているんだ…
リン・カーター著『深淵への降下』でのウボ=サスラは、半ば超空間となっている「深淵のイカー(Y'quaa)」にいるでゲソ。スミスとの共著の体裁を取っているけれど、スミスに帰する部分は原案メモぐらいのもんじゃなイカ。ちなみに日本語訳収録書籍では著者名が誤記されているので注意でゲソ。
スミスの『七つの呪い』の登場人物(?)の一人だった、人類誕生以前の魔術師ハオン=ドル (Haon-Dor, the antehuman sorcerer)が銘板『旧き記録』(Elder Records)の探索に挑むでゲソ。道中、各種族の親玉(ダゴンと同クラス)が動物園よろしく並んだ「原始型達の洞窟」を通るシーンは設定マニアのカーターの本領発揮と言えるんじゃなイカ。
ちなみに名無しの落とし子(クトゥルフ神話TRPGの「ウボ=サスラの雛」の元ネタ?)もチラリと出てくるけど、ハオン=ドルに踏まれるだけという可愛らしい出番だったでゲソ。
この探索行はアブホスの住処であるヴーアミタドレス山の割れ目から始まっているので、他の作品では作家の好みによりアブホスとウボ=サスラのキャラ被りコンビが同一の存在と見なされることも稀によくあるでゲソ。
ゲーリー・メイヤーズの『Omega』(未訳、『Dark Wisdom』収録)では、グリーンランド(かつてのハイパーボリア)の氷の下にあった遺跡の凍結した池(?)から切り出してきた謎の白い液体が増殖し、接触した生物を融解する半流動体のプールになっていた。
採取者は、「ウボ=サスラは氷河期が到来する少し前に『生命を生み出すサイクル』から『全ての生命を吸収して一つに戻ろうとするサイクル』にモードが切り替わっていた」などと主張していたが、これが本当なのか、おなじみの狂信者の妄想なのか、犠牲者を誘い込むために話を引き延ばしていたのか、全然わからない。このウボ=サスラの欠片・オメガ形態(仮名)、触手も出さないし移動すらしないので本当にただの白い半流動体というかどう見ても精子ですなんだけど、何となく知性を持っているかのような仄めかしがされていた。
コリン・ウィルソンの『宇宙ヴァンパイアー』(おっぱい映画『スペースバンパイア』の原作)では、宇宙人の種族名にウボ=サスラとニーオス=コルガイの名が採用されている。後者はスミスのゾティーク大陸もの小説『墓の落とし子』からもらってきたもの。
『クトゥルフ神話TRPG』のモンスターとして宇宙ヴァンパイアー達(ニーオス=コルガイ族)が輸入された際には、彼らの崇拝するウボ=サスラにあやかって自分たちの種族名をつけた、という設定にされている。
なお、リン・カーターは、アザトースと共に旧神に創られたが、叛旗を翻した為、知性を剥奪されたとしており、作家によってはウボ=サスラの周囲の銘板こそが奪われた知性の一部であると考える者も居るらしい。『旧き鍵』を巡る旧き神々との星間戦争の物語はなんとも壮大で浪漫を感じるものである。
カーターの『暗黒の知識のパピルス』では、ウボ=サスラの知性とか、地球の生物の起源とかいろいろ矛盾したことが書いてあるけど、この文章は超古代語から何度も翻訳しなおされた書物だから、翻訳過程のミスかもしれないし、そうでないかもしれないよ! という人を食った注釈がくっついている。
掲示板
10 ななしのよっしん
2016/12/16(金) 00:05:35 ID: 2DmZHitK33
「灰色の原初の無形のイモリ」の原文で "the grey, formless efts of the Prime"と複数形になってるのは何でなの。電子振込システムか何かなのアブホス。
11 ななしのよっしん
2017/06/11(日) 18:21:30 ID: L1XGVPyUHS
>その細胞は刃物で易々と切り取れるが外気に晒しておくと増殖し、接触した動物を融解してしまう。
バイオブロリーの映画に出て来た培養液のような性質だな
あっちは海水で凝固(石化)したが
12 ななしのよっしん
2018/06/03(日) 17:21:53 ID: 2DmZHitK33
『Omega』の設定を掘り下げると、アフーム=ザー御大が結果的に地球上の全生命を救ったことになりそうなのが草。もう全部氷河期と星辰のせいでいいんじゃないかな…
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最終更新:2024/12/20(金) 19:00
最終更新:2024/12/20(金) 19:00
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