PowerPCとは、アップルコンピュータ(現アップル)、IBM、モトローラの3社協同で開発された、POWER ArchitectureをベースとしたCPUである。
概要
1991年当時、IBMはPOWER(performance optimized with enhanced RISC)プロセッサ(ワークステーションRS/6000のCPUとして開発したもので、7~9チップでCPUを構成していた)を1チップ化する作業を進めていた。ここに次世代Macintosh用プロセッサの開発に手間取っていたモトローラと、RISCプロセッサへの切り替えを検討していたアップルが合流して3社共同のPowerPCプロジェクトとなり、1992年12月にPowerPCの最初の製品PowerPC601が登場した。[1]
その後、PowerPCを搭載したMacintosh「Power Macintosh」が発売されたが、PowerPCとMC680x0の間に互換性は無かったので、68系のアプリケーションはソフトウェアエミュレーションで動作させていた。
IBMはPowerPCの拡販を狙い、PReP(PowerPC Reference Platform)という「PowerPCベースのPC」規格を策定、これは後にCHRP(Common Hardware Reference Platform)に発展する。[2]しかしこれはうまくいかず、結局PowerPCは、パーソナルコンピュータ市場ではPowerMacintosh専用のプロセッサという立ち位置しか得ることが出来なかった。
そのMac市場でも、大きな転機が訪れる。POWER4を転用したPowerPC970(G5)は非常に高性能であり、性能の進化も順調であったが、ただ唯一省電力化が上手く行かず、当時のアップルにとって稼ぎ頭であったPowerBookの進化の停滞を引き起こした。このことを重く見たアップルは、ついにPowerPCの採用を取りやめ、インテルに移行することを発表してしまった。
また、主要な第7世代据置型家庭用ゲーム3機種では全てPowerPC系プロセッサを採用していたが、第8世代ではWiiUを除いてAMDのx86系マイクロプロセッサへと移行している。
PowerPCは組み込み向けに活路を求め続けたが、IBMが離脱、残るFreescale(モトローラの半導体部門が分離して設立されたもの)の製品も徐々にArmベースに切り替わっていき、2020年代には事実上消滅している。[3]
関連動画
関連項目
- CPU
- IBM
- アップル
- Mac
- Xbox 360 / Wii / WiiU
- PLAYSTATION 3 / Cell Broadband Engine
- NINTENDO GAMECUBE - PowerPC750をベースにしたCPUを搭載している。
脚注
- *「最新マイクロプロセッサ・テクノロジ 増補改訂版」 神保進一 1999 日経BP p.200
- *PC互換機はIntelだけではない ジョブズのいないAppleが進めたPRePとCHRP 2021.10.30
- *最新CPUは50年前の__万倍速い!進化の歴史を辿ってみた 2024.1.29
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