非現業とは、仕事の分類に使われる言葉で、以下の意味を持つ。反対語は現業である。
1.は企業などで広く使われる言葉である。研究・開発は設計の範囲内として1.に含むことが多い。営業は管理の範囲内として1.に含むとも考えられるし、販売サービスの一種として1.に含まれないとも考えられる。
2.は行政で使われる言葉である。本記事では2.について述べる。
2.の概要
権力を行使する業務
非現業とは、政府・地方公共団体が行う仕事の1つで、国会または地方議会に議決された予算に基づいて権力を行使する仕事である。
権力を行使するというのは、人からの届出を受け付けて人を管理したり、人に許可・認可を与えて人の行動を規制したりすることである。
政府が国会に議決された予算に基づいて権力を行使することを国の非現業という。
地方公共団体が地方議会に議決された予算に基づいて権力を行使することを地方の非現業という。
非現業公務員には国家公務員法や地方公務員法が適用される
政府・地方公共団体の中で非現業に関わる公務員のことを非現業公務員という。非現業に関わる公務員については、国家公務員法や地方公務員法によって定められる。
雇用される労働者の安心感が強い
非現業は、人件費などの予算を国会または地方議会に承認してもらった政府・地方公共団体が労働市場に参加して労働力を購入するものである。
このため非現業に参加する労働者は「自分たちの雇用は国会または地方議会に承認されており、極めて強く保障されている」とか「自分たちが勤務しているところは絶対に倒産しない」と確信することになり、非常に強い安心感に恵まれることになる。これを俗に言うと「親方日の丸」という。
日本では財政民主主義が憲法に明記されており、国会が政府の財政をすべて牛耳る体制になっている。その国会によって予算が決められた組織に所属する労働者は、心の底から安心することができる。
雇用される労働者の数が少ない
非現業の業務は人手というものがあまり多く必要ではないから、政府・地方公共団体が少量だけ雇用をすることになる。
安心した労働者が少量だけ発生するので、労働運動が強くない
政府・地方公共団体の非現業の労働者が結成する労働組合は構成員の数がさほど多いわけではなく、かつての三公社五現業の労働組合のような大勢力にはならない。
そのため政府・地方公共団体の非現業の労働者が結成する労働組合は、かつての三公社五現業の労働組合に比べると、国内の労働運動を牽引する力が弱い。
労働三権が一部制限される
日本において、非現業の公務員に対して、労働三権が一部制限されている。団結権が認められているが、団体交渉権の中の労働協約締結権や「事務の管理・運営に関する交渉をする権利」が認められていない。そして団体行動権の中の争議権が認められていない。このことについては日本国憲法第28条の記事を参照のこと。
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関連項目
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