曖昧さ回避
概要
煉瓦は粘土や泥などを型枠に入れて焼き固めて作られる建築材料である。通常、煉瓦は鉄分の影響で赤くなるため赤煉瓦と呼ばれている。なお、製鉄所で発生するスラグを粉砕して生石灰・水を混ぜ、乾燥させて固化させた鉱滓煉瓦というものも存在する。こちらは暗灰色である。
海外では古くから用いられている煉瓦であるが、日本で煉瓦が使用されはじめたのは明治初期であり、最も使用されたのは明治~大正初期までである。この頃の建造物や鉄道の構造物(橋脚・トンネルなど)で多く使用された。現在でも、阪神間の東海道本線では明治7年に作られた煉瓦構造物が現役である。
コンクリートや鉄と違って耐熱性、耐寒性に優れ、温度差に強い。また風雪にも耐え、防火性能も高いため、室内に暖炉が基本のヨーロッパやロシアでは今も煉瓦作りが多い(『3びきのこぶた』は正に煉瓦の優秀さを説いた話である)。そして、非常に劣化に強いため、ヨーロッパでは築100年以上の煉瓦建造物が健在だったりする。
しかし、地震に弱いという欠点もあり、日本、メキシコ、チリ、インドネシアなど煉瓦が敬遠された国も少なくない。特に関東大震災以降、小型の建造物以外ではあまり使用されなくなった。ただし実際は、関東大震災以前から鉄道構造物などでは鉄筋コンクリートに置き換えられており、煉瓦の衰退は必ずしも震災がきっかけではないとも言われる。
日本では北海道の江別市が煉瓦の町として有名であり『江別のれんが』として北海道遺産の一つに選定されている。
また、住宅素材だけでなく、ブロック塀やバーベキュー用の竈などの需要もある。
煉瓦の形
煉瓦は直方体である。大きさに関してはJISで決まっており、現在においては210mm×100mm×60mmとなっている。JIS制定以前に関してはこれよりも大きさの大きい煉瓦も存在する。
なお小さい方(100mm×60mmの面)を小口、大きい方(210mm×60mmの面)を長手と呼ぶ。
煉瓦の積み方
煉瓦の積み方は主に次の4つがある。なお、下記イギリス・フランス・ドイツなどの名称は日本における煉瓦積みの慣用名であり、実際の国とは関係がない。
イギリス積み
イギリス積みは、小口のみの段と長手のみの段を交互に積み重ねたものである。強度が最も強いと言われ、ほとんどの建造物・構造物がこのイギリス積みを基本としている。横浜赤レンガや旧万世橋駅をはじめ、全国各地で見られる。 |
フランス積み
フランス積みは、同じ段で小口と長手を交互に並べたものであり、美観に優れたものと言われているが、同じ段でレンガの向きを変えて積む必要があり、積むのに手間がかかるためか、国内で採用例が少ない。富岡製糸場や旧九州鉄道本社などで見られる。 |
小口積み
小口積み(ドイツ積み)は小口のみを並べたものである。東京駅が有名であるが、東京駅近辺の高架橋に対しては化粧用のタイルパターンとして用いられている。それ以外は採用例が少なく、あまり見られない。 |
長手積み
長手積みは、表面が長手のみで構成される積み方であり、強度的に弱いため通常は用いられない。建造物などでこの積み方が採用されている場合、コンクリート製の建造物の表面のみを煉瓦にした化粧煉瓦である。ただし、トンネルや拱渠・橋梁のアーチ部では巻厚の調整が容易な長手積みが基本になっている。 |
実物の画像
背景の中の煉瓦
漫画やアニメ・ゲームなどの背景で、特にヨーロッパを意識した背景の場合は煉瓦構造物が見られることがある。しかし煉瓦は長手積みで書かれている場合が多い。上記の通り、通常の建物はイギリス積みが基本であるため、構造物の表現としては誤りである。
実際、イギリス積み・フランス積みで構造物が書かれている例はほとんどないのではないかと思われる。
ゲームの煉瓦
ゲームの煉瓦は、コンクリートやブロックと比較して壊れやすい物体に採用されることが多い。スーパーマリオブラザーズ、ロードランナーなどが代表例。
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関連項目
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