曖昧さ回避
抵抗とは抗っているもののことであり、以下のものを指す。
- 外からの力(暴力・侵攻・不正・支配・権力など)に逆らうこと。
- 受け入れがたかったり反発したりする気持ちのこと。
- 流体中を運動する物体の運動方向とは逆向きに生じる力のこと。空気抵抗など。
- 電気抵抗のこと。レジスタンスとも。
- 抵抗器のこと。
この記事では(1)(2)を少々、(4)を主に記述する。
概要(1・2)
外からの力(暴力・侵攻・不正・支配・権力など)に逆らうこと。
突然見知らぬ人間が襲いかかって来た際や、不当な評価・処遇に対する反論などが良い例。
相手や敵軍を撃退(返り討ち)ないし目的達成を阻止・遅延する、思い通りにさせないためのもの。また蜂起する人をレジスタンスといい、破壊工作(サボタージュとも)なども行う。
百科項目としては正当防衛、護身術などが該当する。いざという時には周囲のものを武器にする手もあるが、よほど訓練を積んでいる人でない限り硬直して動けなくなるため異常を早期警戒・早期発見し逃げられるうちに逃げるのが最善策である。
戦闘・戦争などは早期発見によって逃走以外の選択肢・時間的猶予が増えるといった視点も。
またフィクション・現実問わず「無駄な抵抗」と嘲笑される場合もある。
不当な処遇など
直接戦闘ではなく不当な事象(不正・支配・権力)などは録音・録画といった記録・通報・幅広く公開するといった手もあるため、違和感や理不尽があれば黙って従わず、必ず疑い調べるといった手も非常に有効である。
無知を利用し「これが普通」と納得させようとする場合もあるが、単純に法律違反の場合もある。「よく分からないけど調べるのは面倒だし、相手がそう言ってるから」なんて良いカモでしかない。
(例)不当に安価な報酬、権利を行使させない。
(例)相場以上の価格で売り付ける、不当な安価で買い取る。
概要(4)
電気抵抗のこと。レジスタンスとも。
抵抗とは、回路中の2点間の電位差(電圧)に対する電流の比である。直感的なイメージは名前の指す通り、電流の流れにくさである。電気を通す物体は電位差を掛けると電流が流れ、そのエネルギーが抵抗によって熱などに変換され失われていく。抵抗はその物体固有のものであり、基本的に大きく変動しないが、熱によって流れにくくなったり逆に流れやすくなったりする。また、大電流により化学組成が変化したり物理的に破壊されたりすれば不可逆的に変化し、回路中の素子であれば故障という扱いになる。
抵抗値Rは、電位差V、電流Iにより以下の式で表される。
R=V/I
単位は国際単位系ではΩ(オーム)となっている。単位の組み立てはm2·kg·s−3·A−2, V/A。なお、抵抗の逆数はコンダクタンスといい、単位はS(ジーメンス)、または℧(モー)と言う。
抵抗の値(電流の流れにくさ)から物体は以下の3つに分類される。
- 電気伝導体・・・金属など抵抗値が非常に低いもの。導体とも。超伝導体は抵抗が0である。
- 絶縁体・・・プラスチックや空気など抵抗値が非常に高いもの。雷は絶縁破壊という現象を起こして無理矢理通る。
- 半導体・・・上記2つの中間のもので添加物により値を変動させやすい。電化製品の頭脳(CPUなど)には必ず使われる。
電気回路や電子回路は上記3種類の物体を組み合わせることにより構成されている。
インピーダンス
電流と電圧は本来時間により変化するため、抵抗値も時間の関数となる。電流、電圧が時間変化する電気回路は通常交流回路を想定する。
直流は時間変化の無い極限である。直流回路における抵抗は概要で語った通り、単に電流の流れにくさを示す値となる。しかし、電圧が時間変化する回路の場合、単純な流れにくさだけでなくなる。
交流の抵抗として登場するのはコイルとコンデンサである。コイルは電気伝導体を螺旋状に巻いたもので、コンデンサは絶縁体を電気伝導体で挟んだものである。
直流であれば、コイルは単に長い導体であり抵抗器と同等となり、コンデンサに至っては絶縁体で分断されているため電流を流せず回路として成立しない。これを交流にするとコイルでは電流に対し慣性力になるような電圧を生じ、コンデンサはバネのような電圧を生じる。この電圧が2点間の電位差と電流に変化を与え、結果として抵抗と同じ組立単位の物理量をもつこととなる。
その時の物理量はインピーダンスと呼ばれる。インピーダンスZは直流時の抵抗R、コイルの誘導係数L、コンデンサの静電容量C、交流の角周波数ω、虚数jを用いて以下の式で表される。
実数部をレジスタンス、虚数部をリアクタンスといい、単位は変わらずΩである。虚数部を見ると分かる通り、コイルの成分は正でコンデンサの成分は負である。虚数部が負の時容量性リアクタンス、正の時誘導性リアクタンスという。そのため、回路の余計な抵抗を下げるためにコイルとコンデンサを適宜入れて虚数部が0になるように調整していくのである。
文系や理系の一部ではお世話にならない虚数という概念は交流では必須となる。「虚数ってなんだよ、存在しないものを何で計算しなくちゃいけないんだ」と思った人も多くいると思うが、こんな感じで現実世界に影響を与えてくるのである。
インピーダンスはなぜ複素数値なのか?
なぜインピーダンスは複素数値を持つのだろうか。交流回路の入門的な教科書には何も説明されていないか、複素数として扱うとベクトルになって計算に便利だから、とだけ説明されていることが多いように思う。しかし実際はなんとなく便利だから複素数にしているのではなく数学的な意味付けが存在する。
端的に説明すると、「実数値しかとらない時間の関数をフーリエ変換して周波数空間で表現しているから必然的に複素数値になる」ということである。表記の都合上そうなるだけで別に交流になったとたん電圧がベクトルになったり複素数値の電流が流れだすわけではない。
いったん原理を知ればそこまで厳密に考えてもしょうがないので、便利な公式を利用するだけで十分であろう。
フーリエ変換
時間 | tω=1 | 周波数 | ||||||
f(t) | F[f](ω) | |||||||
奇関数 | 偶関数 | 奇関数 | 偶関数 | |||||
実部 | sr(t) | cr(t) | ⇒ | フーリエ変換 | ⇒ | F[si](ω) | F[cr](ω) | 実部 |
虚部 | si(t) | ci(t) | ⇐ | 逆フーリエ変換 | ⇐ | F[sr](ω) | F[ci](ω) | 虚部 |
実数値関数f(t)は、f(t)=cr(t)+sr(t)と表される。
これをフーリエ変換すると、F[f](ω)=F[cr](ω)+iF[sr](ω)となる。一般に実数値関数をフーリエ変換することで複素数値関数の和で表現されてしまうことが原因なのである。
ある周波数ω0の成分について注目したとき、fω0(t)=aCos(2πω0t)+bSin(2πω0t)=rCos(2πω0(t-θ))であり、それを周波数表示すれば、F[f](ω0)=a-bi=rExp(-2πiω0θ)という複素数値となるのである。(ただし、F[cr](ω0)=a、F[sr](ω0)=b)
交流回路の理論
R(t)=V(t)/I(t)=rVCos(2πω0(t-θV))/(rICos(2πω0(t-θI)))
これのフーリエ変換は、F[R](ω)=(F[V]*F[I-1])(ω)=である。(*は畳み込み)
Rω=F[R](ω0)=(rVExp(-2πiω0θV))/(rIExp(-2πiω0θI))
となる。抵抗の振幅は(電圧の振幅)/(電流の振幅)で表される。ここから、インダクタンスは電圧と電流の位相がそろえば実数値に、異なれば複素数値になることがわかる。また、電流がω0の成分を持たなければ上記の式は意味をなさない。
抵抗は位相を変化させないが、コイルやコンデンサは電流の位相を変化させるような作用を持つため、コイルやコンデンサを含む回路の抵抗は複素数値で表現されるのである。
このフーリエ変換する考え方に暗に基づいた交流回路の表示をフェーザー形式という。
本来は、抵抗値など上記の値は全て周波数のかんすうであり、時間または周波数で積分した関数を考える必要があるが、非常に込み入ったことになるので適当にごまかした省略した。
電力PはP(t)=V(t)I(t)で表され、フーリエ変換することで電圧と電流のフーリエ変換の畳み込み(F[V]*F[I])(ω)となる。複素数値関数F[V]、F[I]の畳み込みという計算のせいで、ある周波数ω0のときの電力に注目すると、P=VI*、つまり「複素電圧」と「複素電流の複素共役」との掛け算になってしまうのである。インピーダンス同様、「電力は複素電圧に複素電流の共役を取ったものを掛け算する」と作法だけ説明されることがほとんどだが、こういう背景があるのである。
交流回路の微分方程式
周波数表示をするということは、三角関数または複素指数関数で表現するということである。どちらも微分すると定数倍になるという著しい特徴から、周波数表示にすることで微分方程式がとても簡略化される。
理想的なコイル(誘導係数L)、抵抗器(抵抗R)、コンデンサ(静電容量C)を繋いだ回路は電流に対して以下の微分方程式を満たすようにふるまう。
V,Iが振幅V,I、角周波数ωの三角関数である場合、上記方程式は以下のようになる。
Z=V/I=Lωj+R+1/(Cωj)=R+j(ωL-1/(ωC)) ←(ここで暗黙の裡にフーリエ変換している)
となる。先ほどの項の結果が得られた。
この式からわかるように、周波数が大きいほどコイルの影響がおおきくなり、周波数が小さいほどコンデンサの影響が大きくなる。コンデンサやコイルは周波数によって抵抗値の変わる抵抗と見なすことができるので、回路の途中にコンデンサやコイルをグランドと並列に繋ぐことで低周波や高周波のノイズを選択的にカットすることができる。
また、回路には導線の曲がりや重なりにより設計者の意図しないような微小なコイル、コンデンサが形成されることがある。これらを寄生インピーダンスといい、特定の周波数帯で回路に悪影響を与えることがある。
関連動画
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関連項目
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